地縛少年花子くん

redfreesia8のレビュー・評価・感想

地縛少年花子くん
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願いを叶える、その本当の意味とは。

まず漫画の表紙を眺めてみて絵柄が好きだと思った方は読んでみて欲しいです。可愛らしいキャラクターの造形と色彩の美麗さがマッチしたイラストを眺めるだけでも、一読の価値があります。この物語はまずヒロインの少女・寧々が自身の願い事を叶えてもらうために、学校の七不思議の七番目「トイレの花子さん」を呼び出すところから始まります。しかしこのトイレの花子さん、呼び出してみたら実は女の子ではなく男の子。怖くはないかわりにどこかのらりくらりとして掴み所がなく、たまにセクハラ紛いな言動までしてくる始末。初めは信用していなかった寧々ですが、次第に彼の内にある優しさに心を開いていき、徐々に仲良くなりながら助手兼友達として彼と行動を共にするようになります。また後に祓い屋の家系である光という少年も加わって、寧々は学校で起こる怪奇現象の解決のため、生者と死者の世界の間を行き来するようになります。そこには生きている者と死んでいる者の越えられない隔たりがあり、越えられないからこそ引き起こされる行き場のない想いの葛藤が、どう転がっていくのかハラハラします。狂ってしまった此岸と彼岸のバランスの安寧を保つため、花子くん達は手を尽くすのですが、叶えたかった夢や人との繋がりなどの『未来』を、死者に与えることはできない。そんな届かなかった想いの行く末が切なかったり、残酷だったりと、怪奇を扱っているので全てがハッピーエンドの道に辿り着く訳ではなく、たまにホラーチックな一面もある作品です。でもそれだけではなく、寧々や花子くん達の交流は時に笑いあり感動ありと、見ていて微笑ましくなります。様々な展開を見せるこの物語を、是非とも読んでみてください。