鬼滅の刃は面白い。ただ…。
社会現象にもなっているこの漫画を、私も流行の波に乗って単行本を全巻読破しました。最初の10巻くらいを読んだ感想は、「流石話題になるだけあるなあ」と、とても満足しました。
バトルシーンの白熱さは読んでいるこちらにも緊張感が伝わってきて、次から次へと展開が気になりました。登場人物のキャラもとても魅力的で、これほど好きなキャラクターが多い漫画も珍しいと感じました。
ただ人に勧めたいかと聞かれれば、意外とそうでもありません。それはなぜか。
感動を誘うシーンがほとんど死に纏わる展開だからです。
もちろん、登場人物が死ぬことが悲しくてこう言っているのではありません。ただ私は、登場人物が死ねば面白くなるという構図になってしまっている気がして、心の底から好きといえる作品とは思えなくなりました。
私が思うに、この世で最も感傷的なことは、人が亡くなることだと思います。この作品はその展開が最後の方に何度も訪れます。幾度となく訪れるので、私は正直「この作者は死ねば展開が面白くなると思っているのではないか」と感じてまいました。かといって、命のはかなさの表現も伝わりませんし…。
もっといえば、何度も同じような(死ぬ)展開で読者を感動させるお涙頂戴感があり、独自性がないとも感じるようになってしまいました。