残酷な現実に立ち向かう少年漫画
最新刊のネタバレも含まれていますので、閲覧に注意してください。
数々の少年漫画を見てきましたが、鬼滅の刃は衝撃的でした。まず、ラスボス鬼舞辻無惨がラスボスであるにも関わらず、小物すぎるところです。何か自分の野望を実現したいとかや鬼の世界を作りたいというわけでもなく、唯々、自分が生き延びるためだけに人を平気で大量に殺し、鬼を増やし、有能な鬼の部下を平気で使い捨てるところがとても斬新でした。おまけに部下の使い方も下手糞で、もっとうまく使えば主人公や仲間を絶滅させることができたのでは、とも思いました。
極めつけに、鬼舞辻無惨は、主人公たちに「しつこい。お前は生き残ったのだからそれでいいだろう。」と無茶苦茶なことを言ってのけます。主人公の大切な家族や仲間を殺して奪った本人が、「復讐なんてみっともないからやめろ。」なんてことを言うんです。ここまで、人を不愉快な気持ちにさせるラスボスはそうそういないでしょう。
また、鬼滅の刃を描いている作者自身が主人公や仲間に対してとても残酷で容赦がないです。これでもかというほど、悲劇を見せつけ、読者の心をえぐり取ります。主人公たちは残酷な運命に逢いながらも、鬼舞辻無惨を倒すために自分たちの命をかけて、100%以上の力を発揮して必死になって戦う姿に胸を打たれます。
また、主人公の仲間のキャラクター達が個性的でとても魅力的です。特に、主人公が所属する組織、鬼殺隊のトップに君臨する「柱」のメンバーが魅力的です。どのキャラクターも魅力的だから、絶対に自分が好きになるキャラクターが1人は出てくると思います。お気に入りのキャラや仲間が死んだり、ひどい目にあったりするときの心のダメージが計り知れません。自分を犠牲にして戦う姿はとても痛ましく、もうこれ以上死なないでほしいと願いました。
人気のキャラクターを情け容赦なく次々と殺していったからこそ、読者は心を打たれたのではと思います。