ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 / Little Women

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 / Little Women

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』とは、1868年出版のルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説『若草物語』が映画化されたもの。2019年12月に全米、2020年6月に日本公開。監督のグレタ・ガーウィグが脚本も担当。今作に挑むに当たってガーウィグ監督は、著者であるオルコットが「本当は何を言いたかったのか」という命題を深く掘り下げることに焦点を当てた。古来、女性が置かれてきた状況を顕在化することで、自分らしく生きたいと願う現代の女性へのオマージュに昇華させている。

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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 / Little Women
10

少女時代との別れとそれぞれの幸せ

アメリカ児童文学として古くから親しまれている若草物語を、新進気鋭の監督グレタカーヴィグが実写化した作品。
主人公のジョーは四姉妹の次女、女性らしさにうまくはまれず結婚こそが幸せの形という風潮にいたらさを感じています。彼女を中心に思慮深く美人な長女メグ、大人しいながらも姉妹の中を取り持つベス、良くも悪くも女の子らしく奔放な末っ子エイミーからなるマーチ四姉妹の日常を描いていきます。
過去と現在を順に映し出していくこの作品の大きなテーマの一つが女性の幸せです。
南北戦争時代の女性は結婚し家庭を持つことが何よりの幸せとされており、その相手が経済的に安定していればなおよしという認識でした。
姉妹はそれぞれこの幸せの形にうまくはまったり、反発したりと自分らしい形で向き合っていきます。
その姿を後押しするそうに映されるのが姉妹の母親と叔母です。
貧しいながらも家庭を持ち幸せを謳歌する母と持ち得た財力を駆使して、独身でもたくましく幸せに生きる叔母の2人は相対する存在として少しずつ影響を残していきます。
結婚し子供を持つだけが幸せじゃないと声高に語られるようになってからしばらく経ちますが、それでも女性としては追いかけづらい幸せな形も存在します。
そんな幸せとどう向き合ってどう手に入れていくのかを、思い描いていた理想と現実にぶち当たりながら少女時代に別れを告げる女性たちに考えさせられる作品です。