乙嫁って面白いですか。はい、面白いです。
中央アジアが舞台の歴史漫画である「乙嫁語り」。
そう書くとなにやら堅苦しいものを想像しがちですが、これは違います。
そもそも中央アジアってどこ?という知識レベルでも、作者の森薫の巧みな筆づかいで自然に明らかになっていきます。
第一巻は年上の女性アミルと年下の少年カルルクの結婚の儀式からはじまります。
当地の風習や文化がこれでもかというくらい、ふんだんに描かれていきます。
食事のシーンも大変多く、当時はこういうものを食していたのかというのがわかります。その描写のおいしそうなこと。
作者は丁寧に生活のすみずみを描いていきます。そして現代とは違う、人間関係のありかたも。
この漫画のなかでは何度も激しい戦闘シーンが出てきます。
人々は自分の暮らし、プライド、家族などさまざまな理由のために争うのです。
それぞれの立場があり、その数だけ正義があります。
騎馬上の戦いや、武器(弓矢や刀などから、近代的な兵器も登場します)で争うのですが、
この時代は平和そうにみえて、戦闘が身近にあったのだなということを痛感させられます。
各巻ごとに、乙嫁=花嫁さんがそれぞれ登場します。
薄幸、元気、不器用、みんな性格は違います。もちろん彼女たちがたどる人生も。
これほど丁寧に描かれた歴史漫画はなかなかないと思います。