これはバトル漫画の仮面をかぶった哲学書だ!
ストーリーは、ザ・バトル漫画といった感じで、複雑な伏線などもなくわかりやすいです。
鬼との戦いに勝利をしながら展開していくので、爽快感がありますね。
また登場するキャラクターが個性豊かで、読むうちにすべてのキャラクターのファンになってしまいます。描写が細かいのにストーリーの邪魔をしない、ちょうどいいタイミングと分量で自然に描かれている点に、作者の技量を感じました。
あと何といっても、鬼が絶命する間際に語られる人間時代のエピソードが泣ける!
「この人こんなつらい目にあったら、そりゃ鬼にもなっちゃうよ!」と共感してしまうくらい。
鬼は完全悪ではなく、耐え難い現実から逃れたいがために、誰しもがなってしまう可能性のある悲しいものだという風に描かれていたのが、とても印象的でした。
コミックスの2巻で炭治郎が言ったセリフ。
「失っても失っても 生きていくしかないのです どんなに打ちのめされようと」
このセリフは、鬼にならずに、辛い過去を背負って、人間として生きていくためにどれほどの心の強さを必要とするのかを、端的に表していると思います。
この作品の土台には「困難に挫けず(鬼にならず)、自らで運命を切り開いていこう」という作者の熱いメッセージが隠されているような気がしました。
筆者も「鬼滅ブーム」には乗らずに過ごしていました。「子供向けの、鬼退治のお話でしょ」と。しかし、とあるきっかけから読んでなるほど、これはバトル漫画であること以上に、哲学書としての意味合いが大きいと感じました。
子供よりもむしろ、大人が読んで深く感銘を受ける作品なのではないでしょうか。
是非読んでみられることをお勧めします!