伝説の投稿絵師 ぴんから体操について知っていること
素人投稿系の過激な写真誌の陰に、ひっそり隠れるように花咲く「投稿エロ・イラスト・コーナー」。
そこに毎月膨大な数のイラストを、それも長年に渡り投稿し続けている謎の人物”ぴんから体操”。
その異様とも言える独特のタッチは一部界隈でカルト的な人気を誇り、有志による個展の開催、作品集の出版もされた程である。
今回はそんな伝説の投稿絵師・ぴんから体操についてまとめました。
ぴんから体操のプロフィール
20年以上投稿を続けながらも彼の素性を知る者は誰もいない。
ぴんから体操プロフィール
太平洋に面した中部地方の小さな町に、ぴんから体操は1967年に誕生した。今年47歳になる彼は、いまも生まれ育った町に暮らしている。
中学卒業後に工員として働きながら、ぴんから体操が投稿を始めたのは19歳ごろのこと。最初は『ロリコンクラブ』や『オトメクラブ』、『お尻倶楽部』が投稿先だったという。
ぴんから体操の作風とその変遷 ~フラットな漫画期~
20年を超える長きに渡りイラストを投稿し続けているが、その作風は様々な変遷を辿ってきた。
まずはその最も初期であるフラットな漫画タッチの作品から。
ぴんから体操の作風とその変遷 ~点描期~
ぴんから体操の作風とその変遷 ~ぬるぴょん期~
書き殴り期
作風もさることながら、描く量がハンパない
彼はこのクオリティの絵を毎月30枚も投稿しているそうだ。
しかも20年以上の長期に渡り、投稿を続けている。
リリー そもそもこの絵を1枚描くのにしたって半端じゃない時間がかかるわけじゃないですか。
都築 数日はかかるんじゃないですか?
リリー 以前、ぴんから本人と電話で話したんですが、1日1枚ペースで描いてるって言ってましたね。編集部にも月に20~30枚は送られてきていたみたいですから、毎日じゃないと間に合いませんよね。
都築 あ、電話で話したことあるんだ?
リリー 今はどうやって連絡取ってるんです?
都築 手紙のみです。にしても点描で毎日ってすごいよね。
リリー 最低でも5〜6時間以上はかかりますよね。くわえて、これを描き上げたあとに、物凄い量の文章も書いてるわけですから。
出典: vobo.jp
リリー・フランキーがその異能に気づき、彼の個展を開催した
リリーさんがぴんから体操の作品に出合ったのは”点描期”である1995年頃。
投稿系エロ雑誌『投稿写真』の似顔絵コーナーに、アイドルの似顔絵を点描で送ってきていたのがぴんから体操だった。
彼の独特なタッチに加え、毎月30枚近くにも上ったというその膨大な作品量に”ただ者じゃない”感を感じ取ったリリーさんは、
渋谷で彼の個展を開催したこともあるそう。
リリー これは本にも書いたんですけど、まぁ展覧会といっても、渋谷の駅横の汚い川沿いにあるぼろぼろの二階建てのアパートの一室を、友達が画廊にするって借りた場所で。もちろん画廊としてもポピュラーなところじゃないし、飛び込みで入ってくる客というのはまずいない。一週間くらい展示していたんですけど、大体はぴんからのファンだって人が見にきて、当然そんなところにまで来たわけですからじっくり見ていくわけです。これは僕が居合わせたわけではなく、その画廊をやっている男から聞いた話ですが、展示期間中のある日にもろサーファーって感じの男がふーっと入ってきて、絵を全然見ることなく会場の様子だけ見渡して、そこで売ってた僕のTシャツだけ買って帰っていったらしいんです。で、あれってぴんからじゃね? と(笑)
出典: vobo.jp
実は文章もすごい
雑誌に掲載されるのはイラストだけにも関わらず、ぴんから体操はイラストと共に膨大な文章も同封していたそうだ。
その文章はどれも秀逸で、さながら現代詩のようだったという人もいる。
「骨まで、骨まで、骨まで愛した、あんた誰?」
リリー 一時期、ぴんからがアイドルNの似顔絵をずっと描いて送ってきてた時期があったんですけど、あるとき、それがパタリと止まったんです。で、止まる前、最後に送られてきた絵が、一切の揶揄も入っていない、ただぽつんと壁の前に立っているNの美しい作品だったんですよね。で、例のごとく、裏側に文章が書いてあったわけですが…、それがまた秀逸なんですよ。「骨まで、骨まで、骨まで愛した、あんた誰?」と。
出典: vobo.jp