君たちシビアだね!クールな目線の子供が出てくる映画

子供って、純粋で無垢で…そんなのが幻想であることなんて、とっくに分かっているのに、ついそう思ってしまうのは何故なんでしょうか。映画にも出てきますね。何だか目線が大人以上にクールというか現実的というか、シビアな子たちが。

マイキー、ジュディ兄妹(『ベイビー・トーク』1及び2)

赤ん坊が胎児、より前の段階から「心の声」で話す、というスタイルの映画です。マイキーの心の声の吹き替え版は「ジャストミート!」という掛け声で一時人気を誇った福沢明さんでした。一作目ではマイキーの胎児より前から1歳くらいまでを、二作目では妹ジュディとの「戦い」等が描かれます。胎児期のマイキー、「のど渇いた、何か飲ませろ」とへその緒を振るうさまが酔っ払いの親父です。

この映画のキモはギャップでしょうか。3歳かそこらであろうと、男の子だったら「心の声」は男性声優が担当します。渋い声で幼児語を口にしたり、「ママがそう言ったんだ」と言ったり。一方、大人びた単語も使います。「つまんないこと聞いてもいいかなぁ」との前置きや、友人に対する「理解に苦しむ」…。父親(実父じゃありません)から映画をタダ見する時「ポップコーンがほしいって騒げ」と小声で言われた時は「任せてパパ!生き甲斐なんだ!」

大人なんてちょろいモンよ…。

でも口をついて出るのはかわいい「子供の声」ですし、幼児語。何だかんだで感性は子供ですしね。それでも「子供って見てるんだなあ、侮れないなあ」と思わせる作品です。父親が「あやして」くれる手の内を全部知ってますし、映画をタダ見する際も「またあの手で行くの?」なんて思ってたりします。そして、二作目ラスト。兄妹は大人に対し、ある結論を得るのでした。三作目もあるんですが、こちらは兄妹が自分でしゃべれる程度に成長している上、喋るのが犬なので割愛します。

ケビン・マカリスター(『ホーム・アローン1及び2』)

もう地上波放送回数だけで三桁超えどころか四桁近く放送されてると思われるクリスマス映画の定番です。言わずもがなの悪知恵と、親の心配をよそに「一人暮らし」を満喫するさま。アイスクリームてんこ盛りにして「見せてもらえなかった」ビデオを見たり、意地の悪い兄貴(冒頭のピザ食べちゃうシーンは悪意のないおふざけなのか、ホントに意地悪なのか)の部屋の「宝物」を物色したり、大きなピザを注文したり。続編じゃ、手違いで一人だけニューヨークに行って超高級ホテルの一番高い部屋でセレブ気分…。たまりませんね。羨ましくて。

こんばんわー。

一方で殺人の噂がある近所の老人や泥棒に怯えたりと、年相応の面も。しかし負けないのが凄い所です。老人諭してますし。

アレックス・プルット(『ホーム・アローン3』)

主演子役は変わりましたが、『ホーム・アローン』です。で、この子。兄姉からも、オウムにさえ小馬鹿にされてますが、頭はいいんです。スパイたちが空軍のチップを仕込んだラジコンカー(もちろん、ダミーとして)を手違いで入手した際そのことに気づくんですが、誰も信じてくれない。警察からも皆からも怒られます。

スパイが同級生の親を装って電話をかけてきた時も、一応「あの子のママじゃない!」と主張しますが聞き入れられず。ため息をついて出したのは、電話帳。「じゃ、あの子の家に電話して確認したら」。しかし、敵もさるもので電話線をいじって「さっきお電話しましたよ?」。抜け目ないですが、そのことに気づくのも凄いですわ、この子。8歳なのに。

ったく、どいつもこいつも…。

スパイの一人が犬の散歩(大型犬)を装ってきた時は犬笛で混乱させますし、トドメはこのシリーズお決まりの「仕掛け」です。電話帳出す時や、警察に信じてもらえなかった時の「こいつらしょーがねえな…」と言いたげな態度がまたいいのです。その感性と頭脳を保ったまま大人になったら…それはそれで大変そうですが。

アダムス姉弟(『アダムスファミリー』シリーズ)

常に仏頂面の姉ウェンズデーと、小太りな弟パグズリー。一般人と価値観がずれまくったアダムス一家の姉弟だけあってやることがエグイです。一作目じゃ悪役が生きてようが関係なく墓に埋めるし、二作目じゃ新しく生まれた赤ん坊を殺そうとしますし。ただ赤ん坊もタダモノではなく、落ちてきたギロチン(元々ギロチンや電気椅子で「遊ぶ」のが好きなんです、この姉弟)の刃を素手で受け止めたりと、簡単には殺られません。

赤ん坊が生まれる時、母親が担ぎ込まれた病院では同じく赤ん坊が生まれる女の子が脳内お花畑感満載の「赤ちゃんができたわけ」を話してたんですが、それに対して「ウチにも赤ちゃん産まれるの」と、「赤ちゃんができる方法」をズバッと言ってのけるわけです。怖い…。両親、祖母、伯父の寵愛を独り占め状態の赤ん坊に嫉妬するのはアダムス家においても変わらないらしく、暗殺を企てるんですが、「男は一人いればいい…」と弟の恐怖心を煽りたてて暗殺に加担させるのはさすがと言うか。

右がフランス革命ごっこでギロチンキャッチのシーンです。

ベビーシッター(伯父の遺産目当てで誘惑するために来た連続殺人鬼です)にウザがられて「健全さの押し売り」のようなサマーキャンプに放り込まれますが、そこでも負けません。一見健全な少女との、壮絶なるバトル、女子たちの「怪談大会」シーンは必見です。あのわざとらしい驚きの声やら、ウェンズデーの話した内容を聞いてのギャン泣きやら…。ぶっちゃけ、ウェンズデーの初恋よりもそっちの方が気になります。

純粋、ある意味ではそうかもしれません。でもだからこそ怖いし、侮りがたい存在でもあるんですよね、子供っていうのは。だからこそ憧れるし、いい意味での「純粋さ」を期待してしまうのかもしれません。

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