作者である小山鹿梨子さんが、2011年から2013年まで別冊フレンドで連載していたマンガ作品。
「LDK」や「私がモテてどうすんだ」など、キャッチーな恋愛作品が多く掲載されている別冊フレンドでの連載であることや、小山さんの可愛らしい絵柄からときめき系少女マンガかと思いきや、内容は小学生の「いじめ問題」を取り扱っています。
はじめは和やかな雰囲気ではじまりながら、途中からあれよあれよという間に不穏な空気に陥っていく様は、2015年話題となった「がっこうぐらし!」に通ずるものがあるのではないでしょうか。
「衝撃のエレメンタリー・サスペンス!」というキャッチコピーの通り、可愛らしい恋愛ストーリーを楽しみにしていた人は愕然としてしまうかも……!?
引っ込み事案な主人公・後堂理花が転校してくるところからはじまる今作。
はじめは不安なこともたくさんありますが、クラスメイトの協力も得ながら、晴れて赤ヶ瀬小学校の四年二組の一員として受け入れられます。
しかし、四年二組は大人の目も欺く狡猾な小学生たちが集まった恐ろしいクラスであり、理花はその餌食となってしまうのです。
「うら天」が連載されていた「別冊フレンド」は、以前、いじめ作品を多く扱うすえのぶけいこさんも作品を発表していました。
「ライフ」や「ビタミン」などの作品には、いじめを中心に衝撃的な内容がつづられドラマ化をされたことも。
そして「うら天」は、それらと差別化するいくつかの要素があります。
・キャラクターたちが幼い
→これまで、いじめを取り扱った作品は主人公が中高生であることが多かったものの、今作の主人公は小学四年生。
→それでいて、キャラクターはいわゆる「マンガに登場する子供」らしくはなく、幼さと狡猾さのどちらも見え隠れしているためリアリティを感じさせます。
・いじめの内容が苛烈である
→いじめの中には、怪我や事故を故意に引き起こす言動も含まれます。
→さらに男女問わず服を脱がして写真を撮影するなど、精神的に苦しめる過激なものも。
→作品の中には、つらさに耐えかねて自殺を選んでしまうキャラクターもいます。
・誰もが強制され、納得しないままにも巻き込まれている
→「中心となっている人物が怖いので、いじめに加担する」「自分は『られる側』になりたくないので、いじめる」など、子どもたちはそれぞれに悩みながら輪を大きくしてしまいます。
このように、とにかく壮絶&衝撃な「うら天」。
購入の際には、表紙に騙され(?)ないように注意を!