ゲーマーズ(GAMERS!)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゲーマーズ!』(GAMERS!)とは、2014年から2015年にかけて連載された葵せきな作のライトノベル、およびそれを原作としたメディアミックス作品群。ゲームを愛する高校生たちの、友情や恋愛模様といった人間関係と彼らの送る日常を、繊細かつコミカルな筆致で描き、多くのファンからの支持を得ている。本作は『生徒会の一存』など、著者の葵せきなの過去作品と同一世界観上にあり、一部の登場人物や設定を引き継いでいることが示唆されている点も話題となった。

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『ゲーマーズ!』(GAMERS!)の概要

『ゲーマーズ!』(GAMERS!)とは、2014年から2015年にかけてKADOKAWA 富士見書房が運営する小説サイト『ファンタジアBeyond』で連載された葵せきな作のライトノベル、およびそれを原作としたメディアミックス作品群。表紙イラストは仙人掌が手掛けた。2015年に同サイト初の書籍化作品として、富士見ファンタジア文庫から単行本が刊行され、『このライトノベルがすごい!』の文庫部門で2017年版で7位、2018年版で8位を獲得する人気作品となった。
2016年に『月刊少年エース』で仙人掌がキャラクター原案を務め、高橋つばさ作画によるコミカライズ版の連載が始まり、2017年にはテレビアニメ化がなされている。また、本作の人気を受けて、2017年からはスピンオフ作品『ゲーマーズ! DLC』の単行本がリリースされた。
「史上最もぬるいゲームの物語」として執筆されており、対戦やバトルといったゲーム特有の要素は少し登場させる程度に留まり、あまり重要な位置づけはなされていない。勝ったり負けたりを繰り返しながらすべてを楽しんでしまうという、いわゆる「ヌルゲーマー」ならではの楽しみ方も決して間違ってはいないというのが、この作品のテーマのひとつであることが作者の葵せきな自身から明かされている。

ゲームを愛する高校生たちの、友情や恋愛模様といった人間関係、そして彼らの送る日常を繊細かつコミカルな筆致で描き、多くのファンからの支持を得た。
本作は『マテリアルゴースト』『生徒会の一存』といった、原作者の葵せきなが過去に執筆した作品と同一の世界観上にあり、一部の登場人物や設定を引き継いでいることが仄めかされている点も、ファンの間で話題となっている。

『ゲーマーズ!』(GAMERS!)のあらすじ・ストーリー

「うっかり」でカップル成立

ゲームが大好きな男子高校生の雨野景太(あまのけいた)は、ある日、学校内のアイドルで自身にとっても憧れの存在である天道花憐(てんどうかれん)とゲームショップで偶然遭遇する。これをきっかけに景太と花憐は交友を持ち始め、彼女が所属する部活「ゲーム部」の勧誘を受ける。
このゲーム部は大会で賞金ハンターとして常連になるほどの腕前を持つプレイヤーの集まりで、勝利への情熱は人一倍という雰囲気の漂う部活だった。
実際に部活の見学会に参加した景太は、ゲーム部のポリシーや活動そのものを肯定しつつも、勝敗よりも楽しむことを軸にしてゲームをプレイしてきた自分には向かないと入部を断ってしまう。他人にきっぱりと断られた経験がない花憐は、ショックを受けて泣きながら走り去ってしまった。
その場では強いショックを受けていた花憐だが、景太が自分の友人である上原祐(うえはらたすく)との会話で、「花憐のポリシーも尊重する」と熱弁しているのを目撃したことをきっかけとして、次第に彼に好意を抱くようになる。
その後、祐の配慮という名の策略によって、クラスメイトたちの前で「景太が花憐に友達になってほしいと申し込む」というイベントがセッティングされた。
いざ友人希望である旨を申し込む段になったものの、緊張した景太は前日にプレイしていた美少女ゲームの告白シーンをつい思い出し、誤って「付き合って下さい」と口走ってしまう。一方、日頃の自分の人付き合いを見つめ直し、反省していた花憐もその勢いに乗せられる形で「喜んで」と答えてしまい、クラスメイト達に見守られる中で一組のカップルが成立してしまうのであった。

交錯する恋愛模様

発端はうっかりと勢いではあるものの、そもそも互い相手のことは意識していたため、景太と花憐はぎこちないながらも男女交際を始める。
しかし、景太のゲーム仲間である星ノ守千秋(ほしのもりちあき)、祐とその彼女である桜野亜玖璃(さくらのあぐり)によって作られた「ゲーム同好会」の面々を巻き込みながらのすれ違いが続いており、なかなか関係を進展させることができずにいた。そんな中、自ら作って公開しているフリーゲームの大ファンで、いつもプレイした感想をくれていた人物が実は景太であり、さらにソーシャルゲームでもフレンドとして遊んでいる相手であったということを知り、千秋が景太に恋愛感情を持つようになってしまう。
想いを募らせた千秋は、景太が花憐のことを本気で好きなことを知りつつも告白し、自らの予想通り景太に断られる。だがその告白の現場を目撃してしまい、千秋が真剣に景太を想っていたことを知った花憐は、一度景太と別れて友達に戻り、ゼロの状態から千秋と勝負することを決意した。
そして祐も、軽い気持ちで亜玖璃と付き合っていた自分を反省し、一度関係を清算することを決める。

決戦のホワイトデー

千秋の妹である星ノ守心春(ほしのもりこのは)に追求されたことで、景太は千秋に対しても異性として意識している部分があることを認める旨の発言をする。この話を偶然聞いていた千秋に改めて告白された景太は、「まだ花憐が好きだが、千秋も異性として意識していないわけではない」という趣旨の返答をする。
ふたりの会話を耳に挟んだ花憐は、自分と千秋のどちらが景太に選ばれるか、ホワイトデーまでに決着をつけよう、と宣言する。
一方、祐は亜玖璃と向き合って話をしていた。「たまたま自分に彼女がいなかったから、という消極的な理由で交際を始めてしまっていた」と、交際に至るまでの事情を説明し、その上で「今は本気で亜玖璃を好きで、時期が来たら自分から交際を申し込みたい」と伝え、真摯に関係を構築しようと考えていた。

そんな話をしてから数日後、亜玖璃は自分の従姉の伏黒真音(ふしぐろまいん)に、景太を「自分の彼氏」として紹介していた。
それは「日頃から自己中心的に振舞っている従姉に本当の好きな人を知られたくない」という理由があってのものだったが、亜玖璃が祐にプレゼントしようと持っていたペアのぬいぐるみを、真音はゲームで勝負した賭けの対象として取り上げようとする。
亜玖璃の真意を知る景太はそれを止めようと、ぬいぐるみの代わりに「自分自身の所有権」と「亜玖璃の所有権」を賭けて真音とゲームで勝負するものの、敗北して自身の所有権を押さえられてしまった。
事情を知った花憐や千秋は「景太の所有権」を取り戻すため、真音に勝負を挑む。そして花憐が立てた作戦と特訓の成果によって、花憐と千秋は見事に勝利を治める。
そして、この勝負で優勝を勝ち取った千秋が「景太の所有権を景太自身に戻す」と宣言したことで、再び平穏が訪れるのであった。

その後、運命のホワイトデーがやってきた。この日まで考え抜いた景太は千秋に対して「友達になって下さい」と、花憐に対しては「付き合って下さい」とそれぞれに自分の想いを伝える。こうして景太と花憐は恋人同士に戻り、祐と亜玖璃も清算した関係を元に戻して、本当の意味での恋人同士となった。
恋愛模様や友情を育てながら、ゲーム同好会の楽しいゲームライフは続いていくのであった。

『ゲーマーズ!』(GAMERS!)の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

雨野 景太(あまの けいた)

CV:潘めぐみ
音吹高校2年F組。極度の人見知りで、ゲームをこよなく愛している。普段は教室の隅で一人でゲームに没頭する「ぼっちゲーマー」だが、学園のアイドルである天道花憐との出会いをきっかけに、少しずつゲーム仲間が増えていった。
ゲームの腕前そのものは平凡で、自信に欠ける卑屈な性格だが、ゲームに対して持っている「楽しむことが第一」という自身のポリシーは決して曲げない芯の強さも持ち合わせている。また、いざという時にはゲームよりも友人を優先する男らしさも発揮する。
コミュニケーション能力が極度に低いことから、悪気なくヒロインたちの勘違い騒動を引き起こしてしまうことが多い。感性は人一倍鋭敏でありながらも、素直に人を信じてしまう純粋な一面もある。
ゲームの好みや評価においては、同じゲーム好きの千秋と共通点が多い。だが、「萌え」に対する価値観だけは正反対であり、この点でしょっちゅう口論になるほどである。景太は「萌え」を最上級の褒め言葉だと捉えており、萌えを完全に否定する千秋とは、議論がかみ合っていない状況が長く続いている。

天道 花憐(てんどう かれん)

CV:金元寿子(アニメ)/種田梨沙(2015年テレビCM)
音吹高校2年A組。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能な「完璧超人」の少女で、学園のアイドルとして知られている。ゲーム部の部長も務めており、勝利にこだわる生粋のゲーマー。ゲームショップで遭遇した雨野景太をゲーム部に勧誘するが、「ゲームは楽しむもの」という景太のポリシーに共感できなかったことで入部を断られてしまう。これまで「完璧」を維持してきた自分に対してハッキリと断る人間はいなかったため、この一件で強いショックを受ける。しかし、後に景太が自分のポリシーを尊重してくれていたということを知り、彼に恋愛感情を抱くようになる。
当初は景太への想いを恋だと認識できず、彼との偶然の出会いを期待して行動を変えるようになる。その一方で、いざ景太に遭遇すると気づかないふりをして立ち去るなど、不器用で可愛らしい一面も垣間見せる。
ゲームの師匠は、小学生の頃に近所に住んでいた椎名真冬(本作の原作を手掛けた葵せきな作のライトノベル『生徒会の一存』の登場人物)である。

星ノ守 千秋(ほしのもり ちあき)

CV:石見舞菜香
音吹高校2年A組。極度の人見知りであり、景太と同じく教室の隅でゲームに興じる日々を送っていた。当初は癖のある髪を伸ばした、「いかにもオタク風」の風貌であったが、その後ショートカットにしたことで愛らしい容姿をしていることが判明している。
景太とはゲームの好みやプレイスタイルがほぼ完全に一致しているが、しかし、「萌え」に対する考え方だけは正反対であり、この一点において互いに天敵であると認識している。
だが、根底の性格や価値観は非常に似通っており、言い合いをすることを含めた景太との関係を、心地よいと思っている。正体はスマートフォンでプレイしていたソーシャルゲームにおける景太の相棒「MONO」であり、景太が熱中しているフリーゲームの作者「のべ」でもあった。こうした事実が浮き彫りになっていくにつれ、景太に対して恋愛感情を持つようになる。
海外ゲームが好きであり、小学生の頃から自身でフリーゲームを制作するほどのクリエイティブな才能を持っている。だが、その作品は独創的で超展開な内容が特徴である。

上原 祐(うえはら たすく)

音吹高校2年F組で、景太の友人。中学時代はゲーム好きの内向的な生徒だったが、高校受験の失敗を機にゲームを封印して高校デビューを志し、派手なグループに属するようになった。
かつての自分と似つつも景太の真摯な性格に感心したことから、彼とは唯一無二の友人になる。これをきっかけとして再びゲームを始め、周囲の人間関係も円滑に進めるため、ゲーム同好会を立ち上げるなど抜け目ない一面を持つ。周囲の人物の本質をすぐに見抜く鋭い洞察力を持っており、実質的に物語の解説役を担っていることが多い。しかし自身が人間関係に対して楽天的すぎるほど気楽な考えを持っているため、大きな騒動の火種となってしまうこともある。
半年以上付き合っている恋人の亜玖璃に対しては「高校デビューした表面的な自分を好きになった」と考えており、さして関心を持っていなかった。しかし、彼女が中学時代から一途に自分を想っていたことを知って真剣に恋心を抱くようになる。

桜野 亜玖璃(さくらの あぐり)

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