見る人を不安にさせるシュールリアリズムの現代アート「ジョン・ブロジオ」の世界

アメリカの画家ジョン・ブロジオ(1968~)は、シュールリアリズムの画家です。子供の頃、スターウォーズに熱中した彼は、モンスターや魔女などのモチーフに魅せられ、超現実的な世界を描き出すようになりました。

「Lorna」(2004)
ダースベーダーのマスクを被って佇む女性の肖像画。しかしその表情は、マスクに覆い隠され当然のことながら誰にも分かりません。何気ないポートレートなのに、見る人に奇妙な居心地の悪さを感じさせます。

「Edge of Town」(1998)
竜巻が迫る中、穏やかに談笑する人々と何ごとも無いかのように歩く人物。ジョン・ブロジオは遠景に竜巻を配置し、手前に普通の日常をおくる人々を描くことで、普通の生活に潜む恐怖を煽る手法をよく使います。

「Queen of Suburbia」(2012)
こちらに向かってにこやかに笑いかける女性。しかし、彼女の表情ははっきりと分からず、どこか不気味な雰囲気をかもし出しています。背景は暗雲がたれこめ、今にも巨大で恐ろしい竜巻が発生しそうな空模様です。アメリカの日常に潜む不条理な恐怖は、まるでスティーブン・キングの小説世界の一ページを表現しているようです。

「Fatigue (Version 2)」(2011)
帰宅すると、家が巨大タコに侵略されていて、呆然と立ちすくむサラリーマン。彼の家族はどうなってしまったのでしょうか?よく見ると窓の明かりの中にテレビの光が瞬いているような?…1960年代に流行った不条理な侵略物SFの世界に迷い込んでしまったような気分にさせられます。

「Breaking News」(2013)
強盗をするドナルドを外から眺めているシュールなシーン。ピエロやドナルドの白塗りの顔に恐怖を覚える、「ピエロ恐怖症」という症状がありますが、それを表現しているのかもしれません。

「Bride in Headlights」(2011)
夜中のドライブでこんな人に遭遇してしまったら、もうどうしたらいいのかわかりません…。まるで恐怖映画のワンシーンを切り取ったような画面。彼女は捨てられた哀れな花嫁なのでしょうか?それとも人外の魔物なのでしょうか?

www.johnbrosio.com

とんとん
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@tonton