この世界は不完全すぎる(このふか)のネタバレ解説・考察まとめ

『この世界は不完全すぎる』とは2020年から左藤真通により『コミックDAYS』で連載している漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。ハガという男に小さな村の少女ニコラが命を救われ物語は始まる。実はその世界はゲーム世界であり、ハガはそのゲーム世界を観測する現実世界の人間であった。ハガに憧れたニコラと共に旅をするという異色の冒険ファンタジー作品である。デバッガーというゲーム開発側の役割に焦点を置いた数少ない作品であり、敵の倒し方等がバグやゲームの仕様を利用していて、飽きない斬新な設定の作品である。

『この世界は不完全すぎる』の概要

『この世界は不完全すぎる』とは2020年から左藤真通により『コミックDAYS』で連載している漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。2024年7月から9月にかけて毎日放送・TBS・BS-TBS『アニメイズム』B2枠でアニメが放映されたことで海外からの評価も得ている。
物語は辺境の小さな村で平穏な暮らしをしていた少女ニコラがドラゴンに遭遇してしまう場面から始まる。その際、「ハガ」と名乗る謎の男に窮地を救われる。ハガは「王の探求者(キングス・シーカー)」と呼ばれる世の中の異常事態などを調べる勅命の役職の者であったが、実はその世界はゲームの世界であり、ハガは現実世界からやってきた人間であった。そして、そのゲーム世界のバグの調査・報告を行うデバッガーなのであった。そうとは知らず、平凡な毎日に飽きていたNPC二コラは「王の探求者」に憧れ、ハガと共に旅をすることにした。旅を続けるにつれ、ハガと敵対するデバッガー達が登場し、デバッガー達がゲーム世界からログアウトできないことから、自暴自棄になり、傍若無人な振る舞いをするようになっていることが明らかになっていった。そうして、旅をする中で出会った、他のデバッガーやNPCと共にログアウトを目指して、クエストなどを進行する冒険ファンタジーである。
ゲームの開発側であるデバッガーという職に注目し、取り上げている数少ない作品である。ゲーム世界において殺し合いが発生していて、デスゲームのような雰囲気を持ちつつも、バグやゲームの仕様をうまく利用して窮地を切り抜ける、見ていて飽きない設定になっている。メタAIの登場や姿が正常に表示されないなど開発段階のゲームならではの設定が組み込まれていて斬新である。ひとりひとりの目的や指針がはっきりとしているため、それらの違いによって引き起こされるすれ違いや争いがよく起きる。しかし、一度目的がはっきりすることで見える団結力などが魅力の作品である。

『この世界は不完全すぎる』のあらすじ・ストーリー

はじまりの小さな村編

少女ニコラは宿舎の下働きとして平凡な日々を過ごしていた。ある日村の外で偶然ドラゴンに遭遇したところをハガと名乗る男に救われ、村に戻りその話をすると、ハガは「王の探求者(キングス・シーカー)」なのではないかと噂された。ニコラはいつもと違う日常に興奮したことで、ハガの存在が気になり、再び彼の元を訪れるも、その時、村に一匹のドラゴンが襲来してしまう。そのドラゴンをハガの尽力と村民の協力により倒すことに成功したが、村民全員が謎の発火により死んでしまった。その光景に耐えかねたハガの独白によって、その世界がゲームの世界であり、ハガはその世界のバグをチェックするデバッガーであると明らかになった。さらに、その村が全滅するのは確定している「負けイベント」であり、ニコラのハガの弟子になるという願いは潰えたかのように思えた。しかし、なぜかハガの寝床の前にニコラが倒れていて、翌日には「探求者を追って村を抜け出し旅に出た」という設定になっているようだった。そして、そのまま2人で旅を続けることとなった。

アダンの街編

ハガとニコラは王都ベイル城へ向かう道中アダンの街に寄り、デバッグ作業を開始し始めた。その夜、2人のデバッガーに遭遇する。実はデバッガー達は1年程前からログアウトすることができなくなっていて、そのせいで傍若無人な振る舞いをする者が多くなっていた。そして、ハガ達はそんな彼らに襲われてしまう。その2人のデバッガーはデバッグモードという力が制限されないモードを使用していた。デバッグモードの使用を危険視しているハガはデバッグモードを使用できず、窮地に追い込まれる。しかし、バグを真面目に調査していたハガ達は壁のすり抜けバグを利用し、デバッガーたちの撃退に成功するのであった。

降臨の祭壇編

デバッガー達撃退後、ハガ達は降臨の祭壇へと向かった。そこにはハガのデバッグ作業チームのメンバーがいたが、メンバー3人はデバッグモードを使用したことによりバグを誘発してしまい、全く身動きが取れないうえに意思疎通もできない状態である。そして、チームリーダーであった「神(ジン)さん」はゲームのクリアによるログアウトを目指し、ハガはデバッグ作業を続行し、彼らを救う方法を模索していた。そのため、ハガはデバッグモードの使用を危険視し、絶対に使用しないようにしていたのである。
ハガの話の後、ニコラの様子が急変し、自分はゲーム全体を統括する「メタAI」のテスラであり、ニコラの体を借りて、話していると告げる。そのテスラの目的は「デバッグ作業を行わずに好き放題するデバッガー達の排除」であった。そこで、ハガが悪行を行うデバッガー達のデバッグストーン(デバッグモードにしたり、バグを報告するために使用したりするタブレット端末のようなもので、IDが個人に紐づけされていて、その人物しか使用できない)を奪い、テスラがそのデバッグ権限を失効させるという協力関係を結んだのだった。

アマノ編

降臨の祭壇をあとにした2人はとある小さな村にたどり着く。そこには小さな獣のような姿をした「フェザー」と呼ばれる種族のアマノがいた。彼はアダンの街でハガ達を襲ったデバッガー集団の元仲間であり、悪行を行っていた彼らに馴染めず、組織を抜けてその小さな村でひっそりと暮らしていた。そして、そこで出会ったルゥというNPCに、自身が描いた漫画を読ませて生活を続けている。ハガ達との対話後、ハガ達を追いかけてきた悪デバッガー集団による襲撃で村は壊滅させられ、ルゥは殺されてしまった。それぞれの目的のため、一行は悪デバッガー集団が根城とするベイル城へと向かった。

ベイル城編

ベイル城にたどり着いた一行が城門を潜り抜けると同時にメインクエストが始まってしまった。そこでも真面目なハガはデバッグ作業をしつつ攻略を進め、最終的に悪デバッガー集団のリーダーである「社長」の部屋までたどり着くことができた。しかし、そこでは社長が仲間割れにより他のメンバーに殺されとぃるようだった。そしてハガ達は、「無敵(ゴッド)モード」を使用していた彼らに見つかってしまい、窮地に追い込まれる。しかし、ハガはゲームの場面が変わる時に発生するラグを利用し、彼ら全員をフリーズさせることに成功。すると、そこに殺されたはずの社長が現れた。彼は「身代わり石(ソウルストーン)」の力によって復活を果たしていた。その場で社長と別れるも、夜中にアマノが宿から抜け出し、社長と密会を行う。そして、社長の力によって、ルゥを復活させる代わりに、アマノは社長を手助けするという約束を結んだ。ルゥは復活していたが、突然現れた暗黒の鎧を着た騎士によって社長は殺されてしまった。騎士は加賀見アキラというデバッガーであり、彼女と彼女の仲間は世界のありのままを受け入れ、この世界の住人として自然に生きることを信条として活動していた。一行は彼女と友好的な関係を築きつつ、次なるクエストを進めるべく、アキラらの拠点であるサイ公国へと4人は足を進める。

サイ公国編

4人は道中も困難に見舞われたが、サイ公国にたどり着くことに成功した。そこでアキラの仲間である溝口レンと宮崎アカネと出会う。そこには彼らが信奉するメタAIアルバがいた。大陸にある5つの国にはそれぞれメタAIが存在している。アルバはサイ公国のメタAIであったが、プレイヤーであるデバッガー達に関わりすぎているのではないかという危惧をしたテスラはハガにバグとして報告をさせようとする。それを防ぐため、アルバはハガ・アマノ・アキラ・アカネの4人を地下ダンジョンへと転送した。途中アキラたちの仲間であるキノシタマユというデバッガーと出会い、バグやゲームならではの攻略法を利用しつつ、ダンジョンからの脱出に成功。しかし、脱出先でアルバ・レン達に再び襲われてしまう。その際、窮地に陥った一行をアサシンとしての修行を積んだニコラが救った。その後、レンたちと最後の決戦を行い、勝利を収めるもアキラが戦死。アカネはサイ公国に残り、ハガ・アマノ・ニコラ・マユの4人で次のクエストへと向かうこととなった。

始まりの台地編

次なる舞台へ向かうため、海路による移動を試みたハガ一行は、途中でクラーケンに襲われて船ごと飲み込まれてしまう。気がつくと、なぜかチュートリアルステージである「始まりの台地」へとワープしてしまっていた。そこで一行は、同じくクラーケンに飲み込まれてワープさせられてしまっていたデバッガーのマツタニと出会う。彼の努力と全員の協力により脱出に成功し、ウィルソード帝国へとたどり着くことができた。

ウィルソード帝国編

ウィルソード帝国の帝都はバグだらけの土地であり、正常にゲームを進行できるようなところではなかった。クエストの途中、1度やり直しをしたことにより、マツタニとは離れてしまったが、彼はかつての仲間の神林とヒカリに再会した。その後、ハガ達はクエストを難なくクリアし、リオーノ王国方面へと足を進めた。

ジン編

ウィルソード帝国を後にした一行は火の手が上がる街を発見した。その火災は神林すなわちハガのデバッグチームリーダーであったジンによるものであり、実はジンはハガ以外のかつてのメンバーも殺していたのだった。彼らは交戦を開始するも、無敵モードを使ったジン達に為す術もなく、全員捕らえられてしまう。殺される寸前でイガラシという男によって救われ、ジン達がハガ達を殺したと思ったまま離れることに成功した。そして、イガラシによれば、ログアウトの方法はデバッグモードを使用せずにクエストを全てクリアすることというものであった。そのため、イガラシはジンの監視をし、ハガ達はクエストのクリアを優先させることに決める。そして、ログアウトを目指すため、一行はリオーノ王国へと向かった。

リオーノ王国編

リオーノ王国にたどり着いた一行はまずはサブクエストを遂行し、資金集めから始める。そこで司祭(ブリースト)であるNPCのエミリィとアイザックと出会い、クエストを共にする。しかし、実は彼らはデバッガーであり、ハガ達から武器やアイテム、金貨を盗んだのであった。彼らはメインクエストのクリアとは異なるエンディングであるトレジャーコンプリートを目指し、レアアイテムの収集をしている関ヤマトと関タカシという兄弟であった。そして、彼らと再び協力してクエスト攻略を進めていく。

『この世界は不完全すぎる』の登場人物・キャラクター

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