【神社の女の子】怖くない都市伝説まとめ!心が温かくなる不思議な話を紹介【一つ目のおじちゃん】

心が温かくなる不思議な話や都市伝説をまとめました。京都で出会った少女との話「神社の女の子」や、山で迷子になった少年の不思議な体験を綴った「一つ目のおじちゃん」など、怖くない話を掲載。暇つぶしにもおすすめです。

…東京から車で二時間も走れば着く、或る山の中なんだけど川魚の稚魚を漁協が放流してるだかで、勝手に入れない綺麗な渓流があるんだよ。

小さな滝もある、10坪くらいの砂地もある、絶景のロケーションなんだけど、林道に金網張って鍵を掛けて、地元の青年団が結構厳重に管理してるの。

ところがその青年団の、副団長がおれの大学の同級生でさ、釣りはしない、ゴミは残らず持ち帰るってのを守ってさえくれれば密猟者の監視代わりに自由に使っていいって言ってくれているんだよ。

お言葉に甘えて、毎年気の置けない仲間で、命の洗濯しに行ってるの、そこに。
で、3年前だったか、おれの中学時代の友人、Bを誘ってそこ行ったときの話。

Bは高校を卒業すると、音楽の道に進んだんだ。

音楽って言っても、ジャズね。しかもパーカッション。大変なのは判ってる。

だけど、奴は夢を叶えようと、20歳のころ、ニューヨークへ武者修行に出た。

Bはアルバイトをしながら、N.Y.で20年も頑張ってたんだがとうとうその道で喰えるって処までは行かず、その年、日本に帰って来た。

女房子供の生活もあるし、心機一転日本でやり直す、って。
諦めた、って言葉は使わなかったが、流石に寂しそうでさ。
だから、気分転換にと思って、おれ達の渓流キャンプに誘ったんだよ。

いつも参加している連中は、勿論慣れたもので、現地に着くとテント貼ったり、メシの支度したりと、それぞれテキパキ働きはじめるんだけどキャンプに慣れないBは、最初は戸惑っていたようだった。

それでも、桃源郷もかくや、って絶景を肴に、そのうち楽しそうに酒を呑み始めた。

やがて日も落ち宴もたけなわって頃、ひたすら呑んでたBはすっかり出来上がって何を思ったか、ナベやらコッヘルやらを嬉々として自分の周りに並べ始めた。

最初は、酔っぱらって意味不明の行動を始めたのか?と心配してたんだがやがて奴は、菜箸をスティック代わりに両手に握り、いきなり演奏会を始めた。

たかが空き缶やペコペコのコッヘルがBの手に掛かると立派な打楽器に変身した事に、皆あっけにとられた。

普通の奴がやると、気に障るってか、うるさいだけじゃん。あんなのとは別格。
やはり伊達に20年も海外で修行した訳じゃない、って感心したよ。

Bに初めて会う仲間も何人かいたが、皆惚れ惚れと演奏会を楽しんでた。

…演奏が始まって、10分も経った頃かな、おれの隣にいた奴が、
「おい、オレ達の他に誰かいるぞ。」
と囁いた。

おれはぎょっとして耳をそばだててみた。
確かに、渓流の向こう岸で、息づかいが聞こえる、ような気がする。

演奏と水音が大きくて判りにくいが、何かの気配は確かに感じられた。
霊現象と結びつける奴はいなかったけど、この場合、獣の方が逆に怖い。
Bひとりが、相変わらず陶酔して独演会を続けていた。

~タヌキじゃないか?~クマだったらどうする?~襲って来るかな?~
おれ達が蒼くなってひそひそ声で相談しているのに気がついたか、Bはスティック(=菜箸)を操るテンポを落とし、やがて演奏を終了した。 そのとたん。一瞬なんだが、たしかに向こう岸で「わあっ!」って歓声が挙ったんだ。

若い女か子供が、何人かで一斉に喜んだ声って感じかなあ。 ほんの、一瞬。 そのあと気配は消え、渓流の水音しか聞こえなくなった。

皆の様子を見回すと、全員驚いた顔でお互いの様子を伺ってる感じ。

今の聞いた?うん、おまえは?みたいな。

拍手まで聞こえたぞ、って、誰かが言った。
そのあと、暫くみんな黙っちまってさ。でも耐えきれない恐怖、ってんじゃ無くて今のは何だったんだろ、とそれぞれ考え込んでたんじゃないかな。

やがて、Bが、なあ、今の何?と震え声でおれに訊いた。
おれは、さぁ、わかんねェよ、としか答えられない。いやマジで。

そしたら、仲間内で一番山経験の豊富な男がこんなふうに説明してくれた。
「たぶん、今のは山の精霊の歓声だと思うな。
B君の演奏があまりにも素晴らしいんで、聞き惚れて出て来たんだと思う。
君の音楽は山に歓迎されたんですよ。」
おれは、こいつ、キザなこと言うなぁ、と半ば呆れたが、納得もした。
まあ、きっとそうなんだろうな、と思った。たぶん、みんなもそうだったと思う。
そしたら、Bが泣いちゃってさ。

おれの音楽の腕を、山の神様が認めてくれたんだ!って。

日本でもアメリカでも認められなかったおれの腕を神様が認めてくれた!
おれのプレイで山の神様が喜んでくれた!って。

笑いながら泣いてやんのw

「もしかすると、狐とかタヌキが腹鼓の勉強に来てた可能性もあるぜ。」
と、軽口叩いてやったんだが、Bは、それでも良い、って言うんだよ。
山の精霊が、自分の演奏で喜んでくれただけで満足だ、って。

それから、神様だかタヌキ様だか判らない「聴衆」にも振る舞い酒を供えて
しみじみと呑み直すべ、って事にした。
Bは、ずっとニコニコ顔で、黙って酒の入ったシェラカップを抱えていた。
なんだか不思議と、ふっ切れたような表情をしていた。

…帰りがけに金網のカギを返す為、青年団副団長の家に寄った時確かめたけどやはりあの晩、あの渓流にいたのはおれ達だけだった。

Bは昔の仲間の紹介で、音楽系の出版社に就職して、堅実な生活を始めた。
青い目の奥さんも、子供も大事にして、幸せに暮らしてるよ。
…ただ、もうおれとはキャンプに行かない、って言ってやがる。
いや、例の体験が原因じゃなく。
二晩、枕を並べてこりごりしたんだとよ。
おれのイビキ。

・柿木の精

友人の話。

幼い頃、山中の実家へ遊びに行った時のこと。
祖父と一緒に庭で竹馬に挑戦していると、不意に背後で異音がした。

べしゃりっ

振り向いてみたが、何も黒土の上には確認できなかった。

気を取り直して竹馬に取り組み直したが、しばらくするとまた同じ音が聞こえた。
何度も聞こえると流石に無視出来なくなり、祖父に「変な音がする」と訴えた。

「ありゃよく熟れた柿が落ちる音だ。心配要らん。
お前は聞いたことがないから知らんだろうが、儂には懐かしい音でな」

祖父はあっさりとそう答えた。

そして庭の一角を指し示す。

「ほら、あすこに切り株があるだろう。
昔はでかい柿の木が生えていたんだ。
虫や病でボロボロになったんでな、何年か前に切り倒したんだよ。
でも何故かそれからも、柿の実が落ちる音だけは聞こえ続けてる。
柿の季節でもないのに音がするところを見ると、柿も迷っているのかもな」

迷っているって?

「成仏できてないってことだ。
耳がないから、ありがたい御経も届かんのかもしれん」

成人した今でも時々、べしゃりっという音を聞くと彼は言っていた。

・山の神様

俺が体験した不思議な話。
ちょっと長いけどごめん。

母方の実家は山奥のデカい家なんだが、その家には今は祖父母と叔父叔母と従兄弟(40近いおっさん)が住んでいる。

うちからはちょっと遠いこともあってなかなか行きづらかったんだが、数十年ぶりに母と姉と姉の息子(5歳)と一緒に遊びに行くことにした。

祖父母の家について翌日、真っ昼間から甥っこが行方不明になった。

近所の人までかり出して捜索したのだが、とうとう日も暮れてきていよいよ警察に届けようというところで、玄関に気配を感じて見てみると甥っ子がいる。

隣にはどこかで見たことのあるような、甥っ子より少し大きいくらいの男の子。

みんなに甥っ子が帰ってきたことを伝えると、母は大泣き、姉は泣きながら怒っていたw
そして気づくと男の子はいなくなってた。

俺はどうしてもあの子を見たことあるような気がして気になって仕方なかった。

甥っ子に詳しくきくと、遊んでるうちに裏の山に入ってしまい迷子になっていたそうだ。

どうやって帰ってきたのか訪ねると、
「おにいちゃんがつれてきてくれた」と。

「おにいちゃん」の話になると急にテンションの上がった甥っ子曰く、「へびがでたけどおにいちゃんがやっつけてくれた」らしい。

さらに「おなかがすいたけどおにいちゃんがちっちゃいいちごをくれた」らしい。

話を聞いていると、うちのじいちゃんと近所のじいさんばあさんが、「そりゃあ山の神様だ」と言い出した。

最初は「ああ、助けてくれたんなら神様でいいや」みたいな感じできいていたんだが、じいさんたち曰く「山には昔から神様がいて、子供を守ってくれたり、山の生き物を守ってくれる」らしい。

「子供の頃は一緒に遊んだり出来るが、いつの間にか見えなくなって、忘れてしまう」んだそうだ。

それで俺は思い出した。

さっき玄関で見た男の子、俺はあの子と子供の頃に遊んだことがある。

小学生の頃、遊びにきたじいちゃんちの裏の山で一緒に虫をとった子がいた。

そいつは流石地元の子供らしく、俺よりずっと虫がいる場所も虫の取り方もうまかった。
あの玄関にいた男の子は、あのとき一緒に遊んだあの子にそっくりだ。

まさかと思っていると、従兄弟がぼそっと言う。
「○○ちゃん(甥)、そのおにいちゃんはこれくらいの背の高さで、これくらいの髪の長さで、女の子みたいな顔をしているおにいちゃんか?」

その特徴は玄関にいたあの子と完璧に一致した。
甥っ子もぶんぶんと頷いてる。

従兄弟は「あー、山の神さんだったんかー。昔よう一緒に遊んだなぁ」と感慨深そうに言った。

俺はそのとき20代前半で、従兄弟とは一回り以上年が離れてた。
なのに、従兄弟と俺は同じ男の子と遊んでいたことになる。

そして驚くことに、近所の人たち(甥っ子の行方不明はけっこう大きな事件になってしまい、かなりのご近所さんが集まっていた)も「あー、その子なら知ってる!」とかなりの人数が言い出した。

うちのじいさんも見たことがあるらしく、うちの母も遊んだことがあるが、叔父(母の兄)は見たこともないらしい。

甥っ子の話では「近頃はこの辺に子供がいなくなったから遊び相手がいなくて寂しい」と言うようなことを山の神様は言っていたそうだ。

すると従兄弟はいきなり窓を全開にして「山の神さん!!子供がいないんなら大人と遊んだらいいが!!俺がいつでも遊んだるが!!」と叫んだwww

あとで従兄弟にきいた話では、従兄弟が小学生のとき、川で溺れて死ぬところを山の神様に助けてもらったらしい。

今でも俺は甥っ子と一緒に年に1度は母の実家に行くことにしているが、山の神様は元気に民家にも現れているらしい。

特に従兄弟とは仲が良く、前回遊びに行ったときは俺と一緒に飲もうと大事にしまってあった高い日本酒が、封も開けてないのに三分の一減っていたことに対して従兄弟が本気でキレていたwww

「神さんが寂しくないように、子供がたくさんほしいな」という従兄弟は、めでたく40を超えて今も独身ですwww

nishin
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@nishin

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