サイバーパンク エッジランナーズ(Cyberpunk: Edgerunners)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サイバーパンク エッジランナーズ』(Cyberpunk: Edgerunners)とは、暴力と退廃と電脳と機械義肢サイバーウェアに満ちたナイトシティで、少年の成長と終焉を描いたアニメ作品。オープンワールドRPG『サイバーパンク2077』と世界観を共有している。
デイヴィッド・マルティネスは、母の死により生活基盤を失い、半ば自暴自棄で遺品の中にあったサイバーウェアを装着。サイバーウェアとの異常な親和性を発揮したデイヴィッドは傭兵として注目されていくが、その果てには残酷な運命が待っていた。

『サイバーパンク エッジランナーズ』の概要

『サイバーパンク エッジランナーズ』(Cyberpunk: Edgerunners)とは、暴力と退廃と犯罪と電脳と機械義肢サイバーウェアに満ちたナイトシティで、少年の成長と終焉を描いた2022年のアニメ作品。
オープンワールドRPG『サイバーパンク2077』とは世界観を共有しており、ゲームの時間軸より前の時代を舞台としている。ただのアニメ化ではなく、ゲームの内容を補完し新たな魅力を作り出した怪作として絶賛され、一時は『サイバーパンク2077』の接続数を数倍に高める要因ともなった。

ナイトシティの学生デイヴィッド・マルティネスは、母の死により生活基盤を失い、半ば自暴自棄で彼女の遺品の中にあったサイバーウェア「サンデヴィスタン」を身に着ける。サンデヴィスタンは裏ルートで母が手に入れた軍用の正規品で、これを巡ってエッジランナーズことナイトシティで裏仕事を請け負う傭兵たちと関わることとなったデイヴィッドは、生きていくために彼らの下で働く道を選ぶ。
サイバーウェアとの異常な親和性を発揮したデイヴィッドは、やがてエッジランナーズとして注目される存在となっていくが、その果てには苛烈にして残酷な運命が待っていた。

『サイバーパンク エッジランナーズ』のあらすじ・ストーリー

日常の終焉

世界的巨大企業アラサカとミリテクの抗争の舞台ともなっている、暴力と退廃と犯罪と電脳と機械義肢サイバーウェアに満ちたナイトシティ。この地で学生として暮らしていたデイヴィッド・マルティネスは、母グロリアの急死により生活基盤を失い、半ば自暴自棄で彼女の遺品の中にあったサイバーウェアを装着する。その施術をした技師のリパードクによれば、このサイバーウェアは「サンデヴィスタン」という軍用の正規品で、まともに使えば数回で人間を廃人にしかねない強力な代物だった。
しかしデイヴィッドは先天的にサイバーウェアとの異常に高い親和性を備えており、サンデヴィスタンの使用にもある程度耐えることができた。当初は横暴なクラスメイトへの制裁などにこの力を使っていたデイヴィッドだが、ややあって電車の中で乗客から高価な電子チップを盗んでいるルーシーという女性と知り合い、「生きていくならこの力で金を得る方法を見つけなければならない」と考えて彼女に協力を申し出る。

初仕事ながらかなりの量の電子チップを集めたデイヴィッドは、ルーシーとの仕事にやりがいと手応えを感じ、今後も一緒に稼ぎたい旨を伝える。ルーシーはデイヴィッドの度胸とサンデヴィスタンの性能に一定の評価を与えるも返事を保留し、彼を自分の部屋に誘う。
そこでルーシーは、他人の経験を追体験できるBD(ブレインダンス)というシステムを使い、デイヴィッドを電脳空間内の月面へと連れていく。いつか月に行くことが自分の夢だと語るルーシーに、デイヴィッドは次第に心惹かれていくのだった。

エッジランナーズ

翌朝目覚めると、デイヴィッドは謎の男たちに囲まれていた。彼らはルーシーの仲間で、「グロリアから購入する予定だったサンデヴィスタン」を探しているのだという。軍用の正規品などそうそう出回るものではなく、デイヴィッドが身に着けたものこそ仲間たちが探している品だろうと考えたルーシーが、密かに連絡していたのである。ルーシーに騙されたことを知り、デイヴィッドは愕然とする。
彼らはデイヴィッドを殺してでもサンデヴィスタンを回収しようとするが、彼がグロリアの息子であると知ると、そのリーダーであるメインは若干態度を軟化させる。グロリアは何度も横流し品を回してくれた取引相手で、メインたちからしても見知った人物であり、一同は不思議な巡り合わせを感じるも、それはそれとして金は払ったんだからサンデヴィスタンは返せとデイヴィッドに迫る。これに対し、デイヴィッドは「サンデヴィスタンは渡さないが、母が受け取った金の分は働いて返す」と返答し、自分を仲間に入れてほしいとメインに頼み込む。

メインたちのような、企業に雇われて様々な裏稼業を遂行する傭兵を、ナイトシティでは「エッジランナー」と呼んでいた。デイヴィッドの度胸を気に入ったメインは、彼に仕事を与えてその結果次第で仲間にするかどうか決めると言い出す。デイヴィッドはこれに見事に応え、晴れてメインたちの仲間に加わる。メインは身内には親切な性格で、彼にエッジランナーとしての素質を見込まれたデイヴィッドはあれこれと世話を焼かれる。
そんなメインを尊敬し、何かと頼りにする一方で、デイヴィッドはルーシーとの距離を不器用に詰めていく。ルーシーに騙されたことに怒りは感じても、デイヴィッドは彼女のことをなぜか嫌いにはなれなかった。そのルーシーはデイヴィッドにエッジランナーとしての資質があることを認めつつ、“一歩踏み外せば破滅しかないエッジの上を走り続ける”というエッジランナーの語源について説明し、「行き着くところまで行って死にそうな気がする」と言って彼の身を案じるのだった。

メインの死

やがてデイヴィッドはルーシーと恋仲になり、エッジランナーとしても成長してメインのチームの重要な戦力になっていく。しかしこの頃、体の大部分をサイバーウェアに換装しているメインは、生身の肉体と機械部分との拒絶反応から来る不調や幻覚に苦しむようになっていた。最終的には錯乱し暴走した末に命を落とす、サイバーサイコシスという精神障害の初期症状だった。
エッジランナーに仕事を斡旋するフィクサーのファラデーから大きな仕事を請け負ったメインだったが、その際についにサイバーサイコシスを発症。仲間に手を上げ、ナイトシティ警察の介入を招き、絶体絶命の窮地に陥る。

ハッキングによってアラサカに関するなんらかの重要な情報を抜き出したルーシーから必死に止められるも、デイヴィットはメインを助けるために彼の下へと駆けつける。しかしメインはもはや自分が助からないことを理解しており、デイヴィッドに「走り続けろ」と言い残して壮絶な最期を遂げる。

ルーシーの過去

その後デイヴィッドはメインのチームの生き残りを率いてエッジランナーとしての活動を続け、サンデヴィスタンと新たに体に組み込んだサイバーウェアの力でナイトシティでも注目される存在となっていた。ルーシーとは同棲する間柄となっていたが、彼女はメインが命を落とした現場以降はエッジランナーとしての活動はしておらず、日々ハッカーとしてなんらかの工作を続けるようになっていた。
しかし自分のサイバーウェアとの異常に高い親和性を過信したデイヴィッドは、さらなる力を求めて次々に自分の肉体を機械と入れ替え、やがてサイバーサイコシスの兆候を見せ始めるようになっていく。これに気付いたルーシーは、もうエッジランナーとしての活動はしないでほしいと彼に懇願。同時に今まで秘密にしていた自分の過去について打ち明ける。

ルーシーは、ハッカーとしての資質を見込まれてアラサカによって育てられた使い捨ての工作員だった。アラサカは過去の災害によってインターネットから切り離された領域の情報を欲しており、密かにここにサイバーウェアを利用したハッカーを送り込むことを繰り返していた。膨大な情報の海と無数のトラップによって仲間たちが次々に発狂する中、ルーシーは生き残るためにアラサカの施設を脱走し、ナイトシティに行き着いたのだという。
これ以上無茶なことはせず、サイバーウェアも生身のパーツに置き換えるべきだと訴えるルーシー。デイヴィッドはこれに即答せず、ファラデーから大きな仕事を依頼されたことを彼女に伝える。デイヴィッドもまた自分の命が長くないことを薄々覚悟しており、その前にルーシーにできる限り金を残したいと考えていた。

エッジの向こう側へ

この頃、アラサカはデイヴィッドのサイバーウェアへの異常な親和性に注目し、彼を新型軍用サイバーウェア「サイバースケルトン」の実験台にしようと考えていた。ルーシーはメインが命を落とした現場でこの情報を入手し、なんとかデイヴィッドを守ろうとアラサカのハッカーを相手に妨害工作を続けていたのだった。しかし彼女のこの行為は、「デイヴィッドの近くに高レベルのハッカーがいる」ことをアラサカに教えることともなり、密かにアラサカと通じていたファラデーの手の者によってルーシーは捕らえられてしまう。
デイヴィッドはデイヴィッドで、ファラデーの依頼でアラサカの輸送隊を襲撃するも、その場に現れたミリテクの軍勢に襲われて窮地に陥っていた。全てがファラデーの策略だったことに気付くも時すでに遅く、切り抜けるには輸送車両の中にあったサイバースケルトンを装着するしかない。すでにサイバーサイコシスの症状が現れ始めていた彼がサイバースケルトンを身に着けることはイコールで死を意味していたが、他に手は無いと判断したデイヴィッドはこれを決行。リパードクからもらった特性の抑制剤を湯水のように打ち込んでサイバーサイコシスの発症を抑えながら、ミリテクの軍勢を蹴散らしていく。

かつてのメインのごとく、もはや自分の死は不可避であると理解したデイヴィッドは、最後にルーシーを助けるべくアラサカの本社ビルに突撃。自分たちを裏切ったファラデーを殺し、ルーシーの救出にも成功するが、彼女を逃がすためにその場に留まって奮戦した末にアラサカの伝説的傭兵アダム・スマッシャーの前に敗れて命を落とす。あたかもその様は、破滅しかない「エッジの向こう側」を目指して駆け抜けたかのようだった。
その後ルーシーは無事に逃げ延び、デイヴィッドが最後に残した大金を受け取り、夢だと語っていた月面旅行に赴く。念願叶った彼女の顔に笑顔は無く、かつてデイヴィッドと共にBDで月面旅行した時のことを思い出し、ただ静かに涙するのだった。

『サイバーパンク エッジランナーズ』の登場人物・キャラクター

デイヴィッド・マルティネス

CV:KENN

本作の主人公。ナイトシティの名門校に通う学生だったが、もともと貧しい家庭の生まれで、母であるグロリアが無理をして学費を工面していた。学生としてはかなり優秀だったようである。
グロリアの急死により生活基盤を失い、半ば自暴自棄で彼女の持ち物の中にあったサイバーウェアを身に着け、生きていくためにその力を利用してエッジランナーになる。サイバーウェアとの異常に高い親和性の持ち主で、新進気鋭のエッジランナーとして頭角を現していく。

ルーシー

CV:悠木碧

本作のヒロイン。サイバーウェアを利用した電子ハッカー「ネットランナー」として卓越した技術を持つ。極細の糸を絡みつかせて対象を斬断する技能も心得ている。
退廃と暴力に満ちたナイトシティにおいて、本質的には純粋で善良なデイヴィッドのことを気に入り、だからこそ彼がエッジランナーとしての資質を兼ね備えていたことに不安を覚える。アラサカの使い捨て工作員として危険な情報領域の探索に従事させられていたという過去を持つ。

メイン

CV:東地宏樹

ナイトシティで活躍するエッジランナー。デイヴィッドの見せた度胸と機転、反動の大きいサンデヴィスタンを使いこなす才能を高く評価してチームに加える。
敵には容赦しないが身内には甘い性格で、仲間になって以降は何かとデイヴィッドの世話を焼くようになり、ルーシーとの恋がどこまで進んだか尋ねたりもしている。

レベッカ

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

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