あの夏で待ってる(なつまち)のネタバレ解説・考察まとめ

『あの夏で待ってる』とは2012年に黒田洋介が脚本を手掛け、J.C.STAFFにて制作されたオリジナルテレビアニメ作品。高校生の映画制作をテーマにした夏の恋愛ラブコメアニメ。何もないけど、何かしたい。そんな思いを抱えた主人公・霧島海人は仲間とともに映画を撮ろうと相談していた。そんな夏休み前のある日、記憶に残る見知らぬ風景の所在を探し求めて宇宙からやってきた「特別」な少女・貴月イチカ。これはそんな2人と、彼らを取り巻く周囲との関係を描いた、かけがえのないひと夏の物語。

有沢千春(ありさわちはる)

CV:井口裕香
佳織の友人。黒髪ショートヘアでボーイッシュな元気な性格。
沖縄旅行に佳織と訪れており、哲朗に一目惚れして積極的なアタックをしている。
肉食系と思われ、身体能力も高く、筋力・スタミナもあり哲朗に驚かれている。

貴月エミカ(たかつきえみか)

CV:堀江由衣
イチカの姉。ピンクのロングヘア。
作中での登場回数は少なく謎も多いが、イチカと同じように宇宙船でやってきた。イチカ同様同じ景色が記憶にある模様。
捜索隊の無人ロボが海人によって壊され、心配になりイチカを直接連れ戻すために来た。しかし海人との交際について二人から話を聞き、驚きつつも認めることにしたためにすぐに一人で帰還する。帰還する前に檸檬に接触しており、イチカが地球に残る策を授けている。

小倉 聡(おぐらさとし)

CV:川田紳司
真奈美の夫。作中では最終話でしか登場していない。真奈美同様檸檬の先輩にあたる。
真奈美とはよく喧嘩しているようだが、喧嘩の内容がくだらないものが大半のようで、真奈美が買ったゲームを先にクリアしてオチまで話して聞かせたり、真奈美が録画した番組を消してしまったり、いい加減な部分もある模様。
最終話で檸檬同様MIBの一員であることが明かされた。イチカのために哲朗と美桜が囮になっているところを救っている。

謎の声

CV:井上喜久子
イチカやエミカの記憶に残る風景に関わりのある先祖で、作中ではイチカが故郷へ帰還する際に謎の光とともに声のみ現れた。
正体などは不明だが、イチカと同じようにこの星に不時着し、ここの住民に助けられたという。そしてその人を好きになるものの、接触は本来禁じられており帰還を命じられる。その際にこの星で過ごした記憶は消されてしまうと分かっていたため、どうしてもその人との記憶を残しておきたいと、大木に記憶を刻み込み見つけてくれた人の思い出になるように願った。

『あの夏で待ってる』の用語

辺境惑星

海人たちの住む地球のこと。
イチカ・エミカの宇宙の側から見て地球のことを辺境惑星と呼んでおり、開発レベルFということだった。
宇宙側から見てこの辺境惑星の現住住民との会話は禁じられており、恋人まで作ってしまったイチカは本来は銀河連盟の連盟法により裁かれるという。

セル

作中解説はされていないが、第1話にて海人の首にできていたキスマークのような痣。悪化した際にセルと呼ばれる恐らくイチカの故郷の宇宙の成分のようなものが、代謝が悪くなると発現する模様。痛みが発現し、海人は倒れてしまうが、イチカとりのんの処置により治癒される。

MIB

「みんな、異星人に、ぶっちゃけ会いたい」の頭文字を取って略称「MIB」という組織。
最後まで謎の組織だが、檸檬、聡が所属している。最終話ではりのんが特別顧問として保護されているのが分かった。

『あの夏で待ってる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

霧島海人 「だから、人は何かを残したいと願うのだ」

湖の風景を写真に残したくてレンズを調整しているシーンで自分の思いを語っている。

物語の始まりでは、海人が橋の上から広がる湖の景色を、8ミリカメラで撮影しようとしていた。
祖父から受け継いだそのカメラをなぜ回し続けるのか、海人が心の中で語った内容が「人が死んだら天国に行けるという。でも、僕はそうは思わない。死んだ人間は、きっと誰かの心へ旅立つのだ。思い出となって、生き続けるのだ。父と母がそうだったように。僕らの心に宿るのだ。けれど、それもやがて消えてゆく。だから、人は何かを残したいと願うのだ。忘れてしまわないように。忘れないように」である。

思えば、人は何かの感動や、喜び、思い出を、カメラで写真や動画を残している。
心の中の「記憶」だけでなく「記録」を残す。
そうすることで、人は半永久的に消えない思い出を残すことができるだけでなく、それを誰かと共有できるのだ。
だからこそ、人は人の心の中だけでなく写真や映像といった消えない記録の中でも生き続けるのだ。

北原美桜「好きな人ができると、強くなれるんだよ」

哲朗が柑菜に振られているところに美桜が慰めにくるシーン。

哲朗は柑菜が海人のことを大好きであることを知っていながら、その真っ直ぐさに惹かれて、ついに想いを告白する。柑菜が海人に振られれば、と考えてしまいつつ、柑菜を応援し続ける。いきなりの告白に驚く柑菜と、自分で告白しておきながらタイミングが悪いと苦笑いする哲朗。しかし、哲朗には柑菜が真っ直ぐで想いを曲げない心を持っていることを知っている。だからこそ好きになったのだが、哲朗は最後まで柑菜を応援し続けてその恋は終わった。

海人のところへ走って向かう柑菜の背中を見届けて、力が抜けたように膝をつく哲朗を、後ろから優しく抱きしめるように包み込む美桜。美桜も同じく、哲朗の柑菜への想いを知っていながらも好きでい続けた。お淑やかで慎ましい彼女がなぜ気持ちを貫くことができたのか、なぜそこまで強くなれたのか、哲朗が問うと「女の子は強かなんです。好きな人ができると、強くなれるんだよ。私は、哲朗くんのおかげで変われたよ。少なくとも変わろうって、強くなろうって、思えるようになった。だから、ありがとう」と答えた。

作中でも一番大人しい性格で、慎ましく遠慮がちな美桜。彼女は作中でも海人、柑菜、哲朗それぞれの想いを全て把握していたかのような描写があった。だからこそ自分の想いは隠しながら皆を見守っていたのだと思われる。しかし、哲朗に猛烈なアタックを仕掛ける千春の登場で勢いのまま哲朗に想いを告白してから、とても強くなったと感じるキャラクターでもある。彼女のように、人は何か大事なもののため、大切な人のためなら、本当に強くなるのだろうと気付かされる名シーンである。

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