『オルガニスト』とは、山之口洋のデビュー作である長編小説。第10回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しており、NHK-FMにてラジオドラマ化された。
バッハのオルガン曲が全編を彩るバロック・ミステリー。交通事故で途絶えた天才の再来と、盲目の大巨匠の対立を軸に展開する。前半は音大生の瑞々しい青春劇を描きつつ、後半はミステリーやSF的要素を帯びた幻想的な物語へと急速に変化する。美しい音楽描写と切ないストーリー展開が魅力の一冊である。
ドイツの聖ヤコビ教会のオルガン。
ちょうど物語の舞台に近く、イメージもおそらくこのような感じだと思われる。
オルガニスト(英: organist)は、オルガンを演奏する演奏家を指す呼称である。演奏形態は多岐にわたり、演奏会などでパフォーマンスを専門に行うコンサートオルガニストが存在する一方で、歴史的・機能的にはキリスト教の教会に所属し、ミサや礼拝において伴奏やBGMを担当する専属オルガニストとしての役割が非常に強い。特にカトリックやプロテスタントの儀式においては、進行に合わせて即座に楽曲を展開する即興演奏の技術が不可欠とされており、著名な教会のオルガニストに就任する際には、既存曲の表現力だけでなく卓越した即興技術が重視される。
小説『オルガニスト』においては、オルガニストは単なる「オルガンの演奏家」としての側面に留まらず、教会や宗教儀式と不可分に結びついた「宗教と一体化した存在」としての意味合いが強く描写されている。このように、オルガニストという言葉には単なる技術的演奏者という枠組みを超えて、聖なる空間や音楽の本質と対峙する職能的・信仰的な側面が含まれている。
声優・塩沢兼人の遺作となったラジオドラマ『オルガニスト』
小説『オルガニスト』は、NHK-FMのオーディオドラマ番組「青春アドベンチャー」にてラジオドラマ化された。本作では、語り手であり主人公のテオ役に塩沢兼人、天才オルガニストのヨーゼフ役に松田洋治が起用され、両名による繊細な演技と好演が作品の大きな見どころとなっている。
同番組には舞台俳優や宝塚歌劇団出身者が多く出演する傾向があった中で、アニメ分野でも第一線で活躍していた両名の共演は印象的なものとなった。特に塩沢にとって、同番組内での主演作品は限られていた(他には『タイム・リーパー』等)ことから、本作は「青春アドベンチャー」における彼の代表作として高く評価されている。
しかし、初回放送からわずか5か月後の2000年5月、塩沢は46歳の若さで急逝した。これにより、本作は塩沢兼人にとって「青春アドベンチャー」における事実上の遺作となった。
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