レッドベリルにさよなら(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『レッドベリルにさよなら』とは、みちのくアタミによるボーイズラブ漫画作品。舞台は高度成長期の日本。小林昭彦(こばやしあきひこ)は、天涯孤独な身の上で生きるのが嫌になっていた。事故で危うく死にかけた昭彦は、津田和重(つだかずしげ)に命を救われる。和重は不老不死の吸血鬼だった。昭彦は和重の世話を焼くようになり、次第に惹かれていく。人間と吸血鬼のまま、共に生きていくことは出来るのか。大切に想っている相手を置いて逝くことができるのか。限りある命の人間とは相容れない吸血鬼と人間との恋愛を描く。

津田和重(左側)、小林昭彦(右側)

和重は、昭彦と一緒にいたいという気持ちはあるものの、昭彦を吸血鬼にするのは嫌だった。かといって、自分よりも先に死んでいく昭彦を看取るのも嫌だった。そのため、昭彦とはもう会わないようにするという選択肢を取ろうとしたが、傷つきたくないというのは自分のわがままにすぎなかったと思い、「だから俺も…幸せになる覚悟を決めよう」と心の中で言う。不老不死なのに死ぬことばかり考えていた和重が、昭彦の影響で前向きになったことがわかる場面。

津田和重「誕生日だって、また一緒に祝って、何度も同じ朝を迎えたい」

津田和重(右側)、小林昭彦(左側)

風で飛んだマフラーを追って屋上から落ちそうになった師夏を助けた昭彦は、屋上から地上に落下して致命傷を負う。和重は吸血鬼に変える覚悟を決め、昭彦の血を飲んだ。その直後、まだ吸血鬼となって蘇ってこない昭彦を腕に抱き、和重は内心で「誕生日だって、また一緒に祝って、何度も同じ朝を迎えたい」と言う。自分が吸血鬼であることを嫌って、昭彦を吸血鬼に変える決心が出来なかった和彦がついに覚悟を決め、本当に大切なのはふたりが一緒にいることだと、和重は自分の気持ちを再確認する。

『レッドベリルにさよなら』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

60年代の日本を意識した作風

『レッドベリルにさよなら』の舞台は高度成長期の日本。作者のみちのくアタミは、60年代のファッションやヘアメイクなどを調べ、当時のことについて友人や親に訊いたり、書店巡りをした。また、当時の雰囲気を伝えるために、絵のタッチも変更されており、通常よりもトーンをなるべく使わないようにするという工夫がされている。作者にとって、日本の高度成長期は、活気にあふれて輝かしく、エモーショナルで大好きな時代だという。

作者が探し続けたテーマ「不老不死」

『レッドベリルにさよなら』の不老不死というテーマは、作者のみちのくアタミにとって、幼い頃から本や映画で影響を受け、答えを探していたテーマだった。永遠の命は幸せなものなのか、誰にとってそうなのかという問題についての答えや考えは人それぞれと思われるが、和重や昭彦を通して一つのありかたを描ければと作者は述べている。

小林昭彦の髪型のモデルはジュリー

小林昭彦の髪型のモデルは、沢田研二(さわだけんじ。歌手。ニックネームはジュリー)であることを作者は明かしている。物語の舞台が高度成長期の日本であるため、60年代後半から活躍していた沢田研二の髪型を参考にしたのだと思われる。

「pixiv」でデビューのチャンスを掴んだ作者

みちのくアタミ氏のデビューのきっかけは、二次創作での活動を経た後、イラストコミュニケーションサービス「pixiv(ピクシブ)」で創作漫画を掲載していたところ、出版社から声がかかったことだった。

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