哀れな引きこもりの物語、『オブローモフ』

後に〈オブローモフ主義〉の言葉を生んだ頭でっかちな無気力人間・オブローモフ。彼の諦念と臆病ぶりは、当時のロシア青年から絶大な支持を得ましたが、現代でもなお共感できる人は多いのではないかと思います。

あらすじ・ストーリー

30歳を過ぎた貴族・オブローモフは夢想家で理想主義。1日中ベッドの上でごろごろする自分に焦りながらも、農奴が納める年貢をあてにしながら生活をしていた。

そんなある日、親友でパワフルな実業家・シュトルツによって彼は令嬢オルガを紹介される。親切で自分を立て直すことに積極的なオルガに対して恋心を抱いたオブローモフは普段から考えられないほど積極的になる。

けれども結婚となるとまるでダメ。領地の整理が面倒くさいと仮病を使ったり、オルガのところまで行く吊り橋が渡れなかったりと、結局言いがかりをつけて彼女と別れてしまう。

傷ついて旅行に出かけたオルガは、出先のパリでシュトルツと再会。彼は大人びたオルガに恋をし、熱烈なアプローチの末に結婚。
一方でその後も怠惰な生活を送っていたオブローモフは、運動不足と飽食がたたって亡くなってしまう…

魅力的なヒロイン・オルガ

引きこもりの主人公に協力的で快活なヒロイン・オルガ彼女はロシア文学史上熱狂的な人気を誇りました。オルガの好きな歌・『カスタ・ディヴァ』は当時のロシア青年たちがこぞって愛唱したそうです。

実写映画

『オブローモフの生涯より』

79年、ソ連で映画化されました。無気力な引きこもりをオレ―グ・バタコフ、快活なヒロインをエレーナ・ソロヴェイが演じます。

まとめ

昨今流行りの〈無気力系〉の先駆者・オブローモフ。客観的に見て良いことじゃないけど、どうしても憎めないのはそう言う臆病な側面が自分にもあるからかな、とちょっぴり切ない気持ちになりました…

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