だんだらごはん(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『だんだらごはん』とは、殿ヶ谷美由記によって、2015年から『pixivコミック×講談社ARIA』にて連載されている青春ストーリー漫画である。
江戸時代に実在した新選組の歴史を軸に、隊士の等身大の青春を描いている。激動の時代を生き抜いた新選組について、当時の食文化という新しい視点から描かれた作品である。
物語は斎藤一と沖田総司を中心に、2人の出会いや新選組結成前の様子からじっくりと描かれている。

現代でいう”つみれ”のこと。江戸では食べられていたが、京や大阪ではあまり見かけなかったと言われている。
斎藤と沖田が京の町人からカレイをもらった際に、試衛館出身の面々でつみいれ汁を作った。その日の夕食当番は永倉だったが、料理が得意ではなかったため、ほとんどの調理過程は原田が担当した。

重(じゅう)

会津の代表的な郷土料理で、現代でいう”こづゆ”のこと。干し貝柱、里芋、干しきくらげ、干し椎茸、豆麩などの材料を小さく切り揃え、鍋で煮た料理。
特別な日には欠かせないもてなし料理で、浪士組が会津藩の前で剣術を披露した後に振る舞われた料理である。

頭芋(かしらいも)

里芋の親芋のことで、正月のみに食される縁起物。京の雑煮では、人の頭になるようにと願いを込めて、一家の主人と長男のお椀に入れるのが主流であった。
作中では喧嘩が起きないようにという配慮で、新選組隊士全員の雑煮に頭芋が入れられた。

いちご揚げ(いちごあげ)

山芋やくわいを摺りおろし、箸の先で野いちごほどの大きさに巻き取ってごま油で揚げたもの。江戸時代の「いちご」は、一般的には粒状の実が集まった野いちごのことを指す。いちご揚げ以外にも、食材を野いちごに見立てて名付けた料理がいくつか存在していた。
土方、山南、斎藤が参加した会食で提供された料理。

その他

じれった結び(じれったむすび)

江戸末期頃の女性の髪形の一種で、櫛巻き風の髪形のこと。主に庶民の女性が、風呂上りに無造作に結った髪形に対して使われていた言葉。
照が浅草に訪れた際にしていた髪形である。

蓬髪(ほうはつ)

蓬(よもぎ)のように無造作に伸びて乱れている髪のこと。
本来身分の高い者がする髪形ではないが、作中では会津藩主である松平が上等な着物に蓬髪という姿で町中を散策していた。その髪形と着物の違和感から、出会った当初は松平の身分を知らなかった斎藤も只者ではないことを察していた。

虫拳(むしけん)

じゃんけんのような手遊びの一種。へび、かえる、なめくじを指で形作り勝負する。試衛館の面々が、宿での部屋割りを決める際に使われた。

煤払いの日(すすはらいのひ)

12月13日は江戸城の煤払いを行う日であったため、次第に庶民もそれに合わせて大掃除をする日となった。煤払いの後は、主人やその周辺にいる者を胴上げするという謎の風習もあったとされている。
芹沢一派粛清後の新選組は、為三郎主導でこの日に八木家の大掃除に協力した。その後は八木家の主人や近藤を胴上げする様子が描かれている。

『だんだらごはん』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

土方歳三「見通しがないんじゃなく志があると言ってくれ」

江戸に帰還する清河と決別し、京に残る決意を表明した時の土方の言葉。将軍を守るという目的を果たすために京に残る土方たちの姿勢を、清河は「見通しのない時代遅れの義理」と批判する。それに対して、土方は「うるせえ」と一蹴し、「見通しがないんじゃなく志がある」と表現した。
尊皇攘夷の傾向が強くなっていることを理解しつつも、己の信じた主人を守りきるという土方の意地や義理堅さが垣間見える言葉である。

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