
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)は、1989年にイギリスで結成された電子音楽系ユニット。活動初期は地元マンチェスターのクラブでDJとして活躍し、デッド・カン・ダンスの曲をサンプリングした「Song to the Siren」でデビュー。ブレイクビーツを基調とし、そこにロックなどを融合した音楽性は「ビッグ・ビート」「デジタル・ロック」と呼ばれるようになり、クラブミュージックのシーンに大きな変化をもたらした。世界中で精力的にライブ活動も行っている。
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の概要
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)は、1989年にイギリスで結成された電子音楽系ユニット。マンチェスター大学で知り合ったTom Rowlands(トム・ローランズ)とEd Simons(エド・シモンズ)により結成され、1992年にThe Dust Brothers(ダスト・ブラザーズ)の名義で活動を開始する。結成当初はイギリスの人気ポストパンクバンド、New Order(ニュー・オーダー)が経営に携わるクラブ「ハシエンダ」のDJとして活躍した。オーストラリアの音楽ユニット、Dead Can Dance(デッド・カン・ダンス)の曲をサンプリングした「Song to the Siren」でデビュー。1996年にはOasis(オアシス)のノエル・ギャラガーをゲストボーカルに迎えた「Setting Sun」がヒットし、シングルチャートの1位を獲得する。イギリスでは2作目以降5作連続でアルバム・チャート1位を記録しており、クラブ・ミュージックとしては他に類を見ない大記録を打ち立てている。
グラミー賞も度々受賞し、1997年にはシングル「Block Rockin' Beats」で、初のグラミー賞となる「最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス」を受賞。2005年リリースの5thアルバム『Push The Button』では、収録曲の「Galvanize」がグラミー賞「最優秀ダンス・レコーディング」を受賞し、さらには2020年にアルバム『No Geography』で「最優秀エレクトロニック・ダンス・アルバム」と「最優秀ダンス・レコーディング」の2部門を制覇。従来のクラブ・ミュージックでは成し得なかった快挙を達成する。
ブレイクビーツを基調としつつ、ロックなどを融合したジャンルレスなサウンドは「ビッグ・ビート」や「デジタルロック」などと呼ばれ、クラブミュージックのシーンに強い影響をもたらした。その音楽性は「ビッグ・ビート」という名が定着するまでに、彼らの楽曲名でもある「ケミカル・ビーツ」(Chemical Beats)という名でも呼称されるほど、先進的で斬新なものだった。
また、アルバムのレコーディングに参加するゲスト・ヴォーカリストの人選は、ロックシンガーだけでなく、R&Bシンガー、ラッパーまで多岐にわたることでも知られている。
初期は歪ませたベースと生ドラムのサンプリングやループを軸にした、ロックバンド感のあるブレイクビーツ・サウンドが特徴だったが、2000年代に入ってからはサイケデリックへ傾倒するようになり、トリップ感に特化した曲を発表。最初のベスト盤の発売後はヒップホップにも触れるようになり、エレクトロニックなビート・トラックとラップが特徴的な楽曲を制作している。
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の活動経歴
大学での出会い
1989年、イギリスのマンチェスター大学に通っていたトム・ローランズとエド・シモンズが出会い、DJとしての活動を開始。結成当初は「The Dust Brothers」(ダスト・ブラザーズ)という名義で活動していたものの、アメリカの同名プロデューサーチームから抗議を受け、1995年に「The Chemical Brothers」(ケミカル・ブラザーズ)に改名する。
この改名と同時に、1stアルバム『Exit Planet Dust』をリリースし、UKアルバムチャートでトップ10入りを果たす。ダンスミュージックを軸に、ロックのダイナミズムを融合させたジャンルレスで先進的な音楽性は「ビッグ・ビート」と呼ばれるようになり、瞬く間に注目を集めるようになった。
世界的なブレイク
1997年にリリースされた2ndアルバム『Dig Your Own Hole』が、UKチャートで初の1位を獲得する。このアルバムには、ブリットポップ・ムーヴメントの代表格として知られるロックバンド、Oasis(オアシス)のノエル・ギャラガーや、同じく人気バンドのThe Stone Roses(ザ・ストーン・ローゼズ)のマニなど、ロック界の重鎮をフィーチャーしたことが話題を呼んだ。これを機にするかのように、彼らは、ロックフェスにヘッドライナーとして出演するなど、従来のダンスアクトの枠を超えた存在となり、世界的な人気を誇るミュージシャンとして知られるようになっていき、日本でもFUJI ROCK FESTIVALで多くの観客を熱狂させた。1998年にはシングル「Block Rockin' Beats」で、初のグラミー賞となる「最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス」を受賞した。
進化し続けるレジェンド
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視覚効果にもとことんこだわったライブは、世界中でファンの心を掴んでいる
2000年代に入ると、彼らは「ビッグ・ビート」というジャンルから一歩踏み出し、よりサイケデリックに傾倒した実験的なサウンドに挑戦するようになる。2005年リリースの5thアルバム『Push The Button』では、収録曲の「Galvanize」がグラミー賞「最優秀ダンス・レコーディング」を受賞し、変化を恐れず、新たな音楽的探求を続ける姿勢は、彼ら自身を常にシーンの最前線に立ち続ける伝説的存在として押し上げていった。
特に、音楽と映像がシンクロした、圧倒的な視覚効果で知られるライブパフォーマンスは絶大な支持を得るようになり、世界中で待ち望まれる存在になっていく。
精力的に活動を続け、その地位を不動のものとした彼らは、2020年にアルバム『No Geography』で「最優秀エレクトロニック・ダンス・アルバム」と「最優秀ダンス・レコーディング」の2部門を制覇し、従来のクラブ・ミュージックでは成し得なかった快挙を達成する。2023年には前作から約4年ぶりとなるニューアルバム『For That Beautiful Feeling』を発表し、約5年ぶりとなる来日公演も開催。エレクトロニックミュージックやクラブ・ミュージックのシーンでの最重要アクトとして進化を続け、新たな世代のアーティストに多大な影響を与え続けている。
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のメンバー

左からEd Simons(エド・シモンズ)、Tom Rowlands(トム・ローランズ)
Tom Rowlands(トム・ローランズ)
ケミカルブラザーズの音楽的な中核を担っており、サウンドの大部分の構築やプログラミング、シンセサイザー、ギター演奏などを担当。ライブパフォーマンスにおいても中心的な役割を果たしている。
観客を熱狂させるサウンドを作り上げ、長年にわたりユニークな音楽を生み出し続けている。
Ed Simons(エド・シモンズ)
DJとしての経験が豊富で、楽曲の構成や方向性の決定などを担当。ライブでは、トムとともにステージ上で機材を操り、迫力のあるパフォーマンスを披露している。また、代表的な楽曲の多くは、エドのアイデアやインスピレーションから生まれていることでも知られている。
The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のディスコグラフィー
スタジオ・アルバム
Exit Planet Dust

1995年リリースの1stアルバム。彼らが活動名義を「The Chemical Brothers」に改名して間もなくリリースされたアルバムで、UKヒットチャートで初週9位を記録した。
1. Leave Home
2. In Dust We Trust
3. Song to the Siren
4. Three Little Birdies Down Beats
5. Fuck Up Beats
6. Chemical Beats
7. Chico's Groove
8. One Too Many Mornings
9. Life Is Sweet
10. Playground for a Wedgeless Firm
11. Alive Alone
Dig Your Own Hole

1997年リリースの2ndアルバム。ブリット・ポップの代表格である人気バンド、Oasis(オアシス)のノエル・ギャラガーをフィーチャーしてヒットした「Setting Sun」を収録している。
1. Block Rockin'beats
2. Dig Your Own Hole
3. Elektrobank
4. Piku
5. Setting Sun
6. It Doesn't Matter
7. Don't Stop The Rock
8. Get Up On It Like This
9. Lost In The K-Hole
10. Where Do I Begin
11. Private Psychedelic Reel
目次 - Contents
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の概要
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の活動経歴
- 大学での出会い
- 世界的なブレイク
- 進化し続けるレジェンド
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のメンバー
- Tom Rowlands(トム・ローランズ)
- Ed Simons(エド・シモンズ)
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)のディスコグラフィー
- スタジオ・アルバム
- Exit Planet Dust
- Dig Your Own Hole
- Surrender
- Come with Us
- Push the Button
- We Are the Night
- Further
- Born in the Echoes
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の代表曲とミュージックビデオ(MV/PV)
- Setting Sun
- Block Rockin' Beats
- Galvanize
- Swoon
- Go
- The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 訴訟をきっかけに「The Chemical Brothers」(ケミカル・ブラザーズ)に変更されたユニット名