グッド・ドクター(Good Doctor)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グッド・ドクター』とは、2013年にKBSで放送された韓国のテレビドラマである。脚本パク・ジェボム、演出キ・ミンス。主演はチュウォン、ムン・チェウォン。日本ではKBS WorldやBSフジで放送された。自閉症にみられる傾向のサヴァン症候群を持ちながら小児外科医を目指すパク・シオンの成長とピュアな恋愛を描いたストーリー。2017年にアメリカで、2018年に日本でリメイクされた。企画段階では「グリーンメス」というタイトルであったが、内容が読み取りやすいという理由で『グッド・ドクター』に決定した。

『グッド・ドクター』の概要

『グッド・ドクター』とは、KBSドラマ制作局によって制作された韓国のテレビドラマである。KBSとは韓国放送公社の略であり、『冬のソナタ』の放送局として有名である。『神のクイズ』の作家として有名なパク・ジェボムの作品で、全20話。2013年8月5日~2013年10月8日にKBSで放送された。日本では2019年11月27日からBSフジにて放送された。

自閉症の傾向によって天才的な暗記能力・空間認識能力を持っている「サヴァン症候群」の青年が、周囲の偏見や自身の弱さを乗り越えて小児外科医を目指す姿を描いた作品。医療ドラマの要素に加え、ヒューマンストーリー、ピュアなラブストーリーという要素も含まれている。放送初回から最終回まで同時間枠の視聴率1位を独走し、最高視聴率21.5%(ニールセン・コリア調べ)を記録した。主演のチュウォンは、自閉症の仕草や喋り方などの特徴を捉え、且つ人間味の溢れる演技が評価を集め、2013年、韓国KBSで放送されたテレビドラマに出演した俳優に与えられる賞であるKBS演技大賞で最優秀男優賞のほか最優秀演技賞、演技者賞(KBS・MBC・SBS共同賞)、ネチズン(ネットユーザー)賞、ベストカップル賞(チュウォン&ムン・チェウォン)を獲得した。

『グッド・ドクター』のあらすじ・ストーリー

問題の青年

自閉症の特徴でもある「サヴァン症候群」のパク・シオンは、記憶力と空間認識力がずば抜けて優れていた。
シオンは幼少期から世話になっている医師のチェ・ウソクに才能を見いだされ、医師を目指していた。しかし病歴を問題視され専門医国家試験で不合格となっていた。
そのためウソクが院長を務めるソンウォン大学病院で、シオンに医師資格をあたえるかの検証会議が行なわれた。

その頃シオンは事故現場で怪我をした子供の応急措置をしたため、会議に出席することができなかった。
その後シオンの的確な応急処置がネットで話題になり、再び審議の場が設けられた。ウソクは首をかけてシオンのレジデント(研修医)採用を提案した。
院長の座を狙う派閥がシオンの失敗によるウソクの引責辞任を狙って提案に賛成し、シオンは小児科に特別採用されることになった。

トラブルメーカー

左から、ユンソ、ドハン

小児外科のフェロー(研究員)のチャ・ユンソは、小児外科レジデントの少し変わっているシオンに興味を持った。
出勤初日にシオンはコ科長が手術をした患者の異変に気づき、ゴルフに行ってしまったコ科長の代わりに手術をしようとした。シオンは患者を救うことしか頭になく、担当医が不在で手出しができない状況を理解することができなかった。

結局シオンが手術をしようとしていた患者は、キム・ドハン教授が自分の患者を手術してから執刀した。2人の患者を助けることはできたが、ドハンはシオンをトラブルメーカーとして扱うようになった。
患者の母親たちからも自閉症のシオンを不安視し、担当から外すよう声が上がった。

ユンソは未熟児の名付け親になったり、眠れない子を寝かしつけようと努力するシオンの姿を見て、彼を信頼し始めていた。
未熟児の難しい手術に参加したシオンは、正しい医療判断をし手術を成功に導いた。しかしチームワークが取れないシオンはユンソに叱られてしまった。

ユンソはなにかとシオンを気にかけるが、シオンの医師としての素晴らしい能力と著しく低い社会への適応能力の差に戸惑っていた。
シオンは子供たちと仲よくしようとしていたが、兄を亡くした事故のフラッシュバックが起こりよろけてしまった弾みに、子供に怪我を負わせてしまった。
子供たちはシオンのせいで怪我をしたと騒ぎ、母親たちは不信感を募らせていった。

ある日、病院をたらい回しになったミニの手術をユンソが執刀した。しかしミニは助からず両親はユンソを責めた。
シオンはミニが天国で恥ずかしくないようにと裁断されたミニの服を繕い、両親に手渡した。両親は娘を気遣ってくれたシオンに涙を流して感謝した。
患者を救えず罪悪感でいっぱいのユンソに、シオンは「患者を救おうとしていることが重要だ」と話した。

意志の疎通

虐待を受け、野生の動物のように育ったウノクが病院に運ばれた。彼女は尿道官奇形(にょうどうかんきけい)による腫瘍(しゅよう)ができていた。
暴れるウノクとコミュニケーションを取るため、シオンは四つん這いになり心臓の位置を同じにする方法を取った。
その説明をユンソにしている時、腕を掴まれたシオンはしゃっくりが出てしまった。ゆっくりとユンソと話を進めるうちに、シオンはユンソに触れられるとドキドキすることが分かった。

ドハンにウノクの主治医になることを断られたシオンだったが、シオンの失態を望む院長追放派閥のコ科長によってウノクの主治医になることができた。
シオンはウノクに食事をさせようと犬のエサ皿のような器で食事を与えた。それを見たユンソは部屋の中に入ろうとしたが院長のウソクに止められた。
院長は昔ユンソに講義した内容が、シオンがウサギとコミュニケーションを取っていたのを参考にしたものだったと話した。昔を懐かしんだユンソは部屋にあった幼いころのシオンの写真を目にした。

シオンに厳しすぎる態度のドハンにユンソは理由を尋ねた。
実はドハンにはシオンと同じ障がいをもつ弟がいた。周囲に恵まれた弟は通常の社会生活を送ることができ、ドハンの提案で学校にも行くことになった。しかし信号待ちで人に囲まれた弟はパニックを起こし、車に轢かれて亡くなってしまった。
弟の死に責任を感じているドハンは、シオンと弟を重ね厳しい態度を取っていたのだった。

食堂で食事をとっていたシオンは、腹痛で倒れた食堂のおばさんを背負い救急へ運んだ。動けないおばさんの代わりに入院手続きをしたユンソは、荷物の中に幼いシオンの写真を見つけた。おばさんはシオンの実の母親だった。

ウノクは回復したがシオンの失態を望むコ科長が部下を使って、ウノクの部屋の鍵を開け脱走させた。暴れたウノクは腫瘍が破裂し、緊急手術を受けることになった。
鍵のかけ忘れの責任を問われたシオンは忘れていないと主張した。
院長は会議でシオンを辞めさせ、自分も責任を取って院長を辞任することを宣言したが、副院長が進退は財団の判断に委ねることにした。

シオンは納得できないまま病院を追われた。院長は几帳面なシオンが鍵を閉め忘れることはないと思ったが、彼を守れなかったことを悔やんだ。
シオンを心配したユンソは「シオンは理不尽や不条理なことを全く理解できない」と言う院長に、シオンが両親の話をしないことを尋ねてみた。
シオンが8歳の時に実母が失踪してから院長がシオンの面倒を見ていた。
ユンソは「母と会えば分かるだろう」と言うが、院長は「シオンは幸せだった時期に自分を閉じ込め、死んだ兄以外のことは覚えていない」と言った。シオンが子供っぽいのは自閉症だけでなく、自分を閉じ込めていることが影響していると話した。
鍵を開けた犯人を突き止めた副院長は、院長にシオンを残した方がいいと話した。

夢と現実

出典: www.bsfuji.tv

第9話にて、シオンによってウノクの病室に連れて来られたキュヒョン(右)

補助金目当てでウノクを引き取ろうとする叔母が、警察を連れて病院を訪れた。ユンソは渡そうとせず、ウノクに帰りたいか尋ねた。戻って来ていたシオンはウノクにどうしたいか決めさせることにした。
喋れなかったウノクだったが、ユンソの「パク先生と一緒にいる?」という言葉に「うん」と返事をし周りを驚かせた。

ドハンはシオンには、小児科よりも画像診断科が向いていると転科させようとした。ドハンはシオンの医学の知識や、目を閉じただけで処置の場所が分かる空間認識の能力は認めていたが、著しい適応能力の無さを懸念していたのだった。

そんな時声楽で有名なキュヒョン少年が、喉を傷めて運ばれてきた。緊急手術が必要になったが、歌えなくなるのを恐れた母親は手術を認めなかった。
シオンは「歌で人の心を癒したい」と言うキュヒョンを、ウノクの病室に連れて行った。3人で話している所に、看護師がウノクの叔母が親権を放棄したと知らせてきた。このままでは施設に入ることになるが、上手く喋れないウノクをシオンは心配するのだった。

キュヒョンの母親は無理やりドイツに行くため息子を退院させようとしたが、キュヒョンが母のために手術を受けたいと知ってようやく息子を理解した。
キュヒョンの手術に立ち会ったシオンは、医学の知識と空間認識能力をフル活用して手術を成功させた。
そしてシオンを画像診断科に転科させようとしていたドハンは、シオンをレジデントとして正式に認めた。

レジデントとして

妊婦のスジンが小児科に紹介されてやって来た。
彼女の胎児には腫瘍があり手術が必要だった。しかし姑に反対され泣いているところをシオンに励まされ、手術を決心したのだった。
ドハンがスジンから聞いたシオンの説明は、かつてしていた自分勝手な説明でなく病院の手順に基づくものだった。そのため手術ができる環境を整えることにした。

ユンソはシオンを労うため食事に誘い、実母も呼ぶことにした。シオンは実母のことを食堂のおばさんとしか認識していなかったが、兄と約束した良い医者になるというシオンの言葉に実母は涙した。

小児科チームでは少しずつシオンに話しかける人が増えてきた。シオンは誰も話しかけないコ科長にもきちんとあいさつをし、彼の手を手術タコができている尊敬する手だと褒めた。
スジンの姑は生まれた子供を養子に出すため自宅出産を強要し、無理やりスジンを連れて帰ろうとした。抵抗したスジンはストレスで心筋梗塞(しんきんこうそく)を起こしてしまった。

シオンはドハンの誕生日におもちゃのような聴診器をプレゼントした。シオンは自分を嫌わないでいてくれて嬉しいと話し、ドハンは亡き弟を思い出した。

シオンは兄を亡くした事故のことを全て思い出した。
そしてシオンを助けてくれた院長に、兄が助かった方が皆が喜んだのになぜ自分を助けたのかと詰め寄った。
自分を責めるシオンをユンソは優しく慰めた。

キュヒョンの家に引き取られることになったウノクが退院することになった。ウノクはすっかり綺麗になりシオンに感謝を伝えた。そこには元気になったキュヒョンの姿もあった。

ドハンはシオンに膨大な量の手術データを渡し全て暗記させようとした。夜遅くまで課題をしていたシオンの様子を見に来たユンソに、シオンはどぎまぎしてしまった。
ユンソが気になって仕方がないシオンは、入院患者の女の子にアドバイスされた通りスーツを着てバラをユンソに渡した。しかし告白の言葉は言えずごまかしてその場を去ってしまった。

スジンの手術が婦人科と合同で行われた。手術は当初考えられていたより困難を極め、母子共に危険な状態になった。しかしドハンはシオンに補佐をさせ何とか手術を成功させた。

ドハンは手術中にパニックを起こしてしまうシオンを克服させようと特訓を始めた。ユンソはシオンが昔父親から虐待を受けていたため強いトラウマがあると、特訓を止めるようにドハンを説得した。
しかしドハンは必要性を主張し、シオンは負担が増していった。

悪い記憶

小児科がテレビ取材を受けた映像が放送され、酒場で見ていたシオンの父親が病院に乗り込んできた。シオンは父親のことを思い出せなかったが、罵声を浴びせられ幼い記憶にのまれ倒れてしまった。その様子を見たドハンとユンソは、シオンの心の傷が想像以上に深いことを知った。
ドハンはシオンが落ち着かないので、部屋の外で待っていた父親に面会を禁止した。
揉め始めた2人の前にシオンの実の母が現れた。母に殴りかかり怒鳴り声をあげる父親に耐えられなくなったシオンは、その場から逃げてしまった。

シオンは父親に会ってから、全く診断ができなくなってしまった。集中力と記憶力にも影響が出て、以前こなせていた手術データのテストもできなくなっていた。
院長に呼び出されて一緒に向かった病室にシオンの父親が末期がんで入院していた。怯えるシオンに院長は逃げずに立ち向かえと諭した。考え抜いたシオンは父の病室を訪れた。

通り魔に襲われた少女ヨンソが運ばれ緊急手術が行われた。一命はとりとめたがPTSDを発症したヨンソは、聴診器も受け付けない状態になった。
考えた末にドハンはシオンに貰った聴診器を使うことにした。そしてシオンがヨンソに声をかけ続け、聴診器でのチェックを済ますことができた。
病院に忍び込んだ通り魔にドハンが腹部を刺されてしまった。しかしドハンは皆が心配する中すぐ現場に復帰した。

ボストンから水頭症(すいとうしょう)患者の治療法について助言を求められていたユンソは、難しい条件下でも成功する可能性のある手術方法を思いつきボストンに連絡した。
実はその患者は副院長の息子だった。副院長はドハンとユンソにどちらかがボストンに行って手術をするよう要請した。しかしボストンで手立てがないと言われた妻は、息子を連れてソンウォン大学病院に転院してきた。
副院長の息子の手術はドハンが執刀することになったが、手術中刺された傷口が開き倒れてしまった。ドハンはユンソに執刀させ、ドハンの指示によって手術を進め成功した。

がんが進行し衰弱した父親を見たシオンは、「自分に謝らなくていいから、母を殴らなければ感謝する」と告げた。
給料日だからと母親を誘ったシオンは、家を出た本当の理由を尋ねた。母親は「すぐに会いに行こうとしたが、父親が自分を探していると知り騒ぎが大きくなるのを恐れた」と話した。そして「院長がシオンをしっかり育ててくれると信じるしかなかった」と言った。

困難な恋

出典: www.bsfuji.tv

第19話にて自分の気持ちを伝えるユンソ(右)

シオンを好きになったユンソは、シオンと付き合うことになった。シオンは関係を周りに知られたくなかったがユンソは堂々と交際宣言をし、周囲から陰口を言われるようになった。それを知って傷ついたシオンに今まで医師として教育してきたドハンは、今度は女性を守れる男にするため叱咤激励した。

ユンソは友人との食事会にシオンを誘うがシオンは躊躇した。病院でもユンソが悪く言われていたので気にしていたのだった。しかしシオンとの交際をバカにした病院スタッフをユンソは言い負かした。
そしてシオンは食事会に出かけユンソの友人たちと打ち解けることができた。友達からキスはいつしたのか尋ねられたシオンは、その場でユンソにいきなりキスをした。
シオンはレジデントとしての成績・人間として成長したことを評価され、医師国家試験不合格の取り消しが決まった。

『グッド・ドクター』の登場人物・キャラクター

主要人物

パク・シオン

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