思わずゾワリ、女性×執念

夏の暑さも吹っ飛ばすのは、お化けよりも怖い女性。唯川恵さんの『めまい』より4篇のあらすじを紹介させていただきます。

『めまい』とは

恋愛小説家・唯川恵さんの短編集。等身大の女性像と、内に秘められた生々しい心情にグッとひきこまれる、ちょっぴりホラー調の作品です。

きれい

醜いモノを嫌い、軽蔑しながら生きる整形外科医の庸子。そんな彼女のもとにある日突然、高校時代のひときわ醜い同級生・吉江が現れる。そして彼女は"全身の整形"を要求するのだった―

「美」と「醜」、いじめられっ子からいじめっ子への報復がテーマ。グロテスクながらも、爽快感すらあるラストは必見です。

『眼窩の蜜』

双子の妹・祥子から家に招かれた量子。そこで量子は、祥子の気味悪い食事風景を目にすることとなる…

姉妹間の劣等感と、食事療法に固執する妹の気味悪さが印象的。様々な食事に手を出す妹が最後に手を出す食事には、思わず言葉を失うこと間違いなしです。

嗤う手

美容院に現れて、おもむろに自分の半生を語りだす一人の女性。―義父からの性的虐待、母の黙認、逃げるように家を出た彼女を待ち受けていた、執拗な義父のストーキング…疲れを抱えた彼女の手には、いつしか化け物が棲み始めていた…

疲弊した女性をあざ笑うかのような人面瘡。疲れている時に読むと、思わず手を確かめてしまうようなリアリティがあります。

誰にも渡さない

大学時代からの友人・章吾から恋愛相談を受けた朋子。笑顔で応じながらも、前々から彼に恋心を抱いていた朋子は、猛烈な嫉妬心に苦しめられる。そしてついに、朋子は章吾が恋をした女性にある"攻撃"をしかけるようになる…

"こんなに傍にいるのにどうして…"その想いが形となって章吾の恋路を邪魔する朋子。果たしてその先に待つ未来とは…なかなか予想外の結末は必見です。

いかがでしたか?

上記ほか6編、ゾクゾクするよな小説が掲載されています。「夏の暑さを乗り切りたい」「ドロドロとした気持ちを分かち合いたい」そんなあなたは、一度お手に取ってみてはいかがでしょうか…?

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