銀河英雄伝説 Die Neue These(ノイエ銀英伝)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『銀河英雄伝説 Die Neue These』(ぎんがえいゆうでんせつ ディ・ノイエ・テーゼ)とは、田中芳樹によるSF小説を原作としたアニメ作品。原作小説は日本SF史上屈指の大作にして名作として知られ、本作はその2度目のアニメ化作品である。
銀河帝国と自由惑星同盟は、150年以上にも渡る長い戦争を続けていた。帝国の誇る“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟の鬼才“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーは、自陣営の命運をかけて戦場で幾度となく衝突する。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』の概要

『銀河英雄伝説 Die Neue These』(ぎんがえいゆうでんせつ ディ・ノイエ・テーゼ)とは、田中芳樹によるSF小説を原作としたアニメ作品である。1988年のアニメから一新し、原作「黎明編」から順に放送されていく。シリーズ構成は『デュラララ』『バッカーノ!』の高木登。監督は『黒子のバスケ』などで有名な多田俊介。『攻殻機動隊』シリーズや『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズなどを手がけたProduction I.Gが制作している。

舞台は数千年後の未来の銀河。宇宙に進出した人類は銀河帝国と自由惑星同盟の二大陣営に分かれて戦っていた。この対立は150年間に及び膠着していたが宇宙歴8世紀末、2人の人物によって大きく歴史が動く。銀河帝国「戦争の天才」「常勝の英雄」のラインハルト・フォン・ローエングラム、自由惑星同盟「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリーである。対立しあう2人の主人公を中心とし攻防と権謀術数が繰り広げられていくスペースオペラ。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』のあらすじ・ストーリー

アスターテ会戦

人類が外宇宙に進出して数世紀が経過した時代。一時は全宇宙を支配した専制国家「銀河帝国」と、帝国から脱出した人々が建国した共和主義国家「自由惑星同盟」は、150年にも渡る戦争を繰り広げていた。
むりやり皇妃とされた姉を取り戻すため、軍での栄達を目論む帝国の麒麟児ラインハルト・フォン・ローエングラムは、初めて総司令官を任されたアスターテ宙域における会戦で、包囲殲滅を目論む同盟側の艦隊に奇襲を仕掛けた。

同盟側の第2、第4、第6艦隊の内第4と第6艦隊を撃破し、その軍事的才能を敵味方に知らしめたラインハルトは、残る第2艦隊にも襲い掛かる。この時、上官の戦死により全権を譲渡された同盟側の准将ヤン・ウェンリーは、ラインハルトの突撃する勢いを利用して敵艦隊の後背に食らいつく状況を作り出す。
「互いの尾を狙う2匹の蛇」のように、相手を追いかけて両軍が延々と輪になって回り続ける形となり、「消耗戦にしかならない」と判断したラインハルトは撤退を選択。「まともに戦うには消耗が激し過ぎる」と判断したヤンも追撃せずに撤退を選んだため、後にアスターテ会戦と呼ばれるこの戦いは決着する。

結果としてこの会戦は帝国側の大勝利となり、ラインハルトは宇宙艦隊副司令官に任命され、事実上帝国正規艦隊の半分を己のものとし、その目的に向けて大きな一歩を果たす。一方で「完全勝利を阻まれた」として、同盟側の第2艦隊の指揮官であるヤンのことを強く印象に残した。
そのヤンは、アスターテ宙域における大敗北をごまかすために、望まぬまま「同盟の英雄」として祭り上げられる。これに辟易としつつ、ヤンはラインハルトの軍人としての才能を警戒し、彼の帝国内での動きを注視するようになっていく。

第7次イゼルローン攻防戦

帝国と同盟をつなぐ回廊に設置された帝国製の人工天体イゼルローンは、艦隊の補給拠点であり、恐るべき攻撃力と防御力を兼ね備えた要塞であり、両陣営にとって戦略級の重要拠点の1つだった。同盟側は幾度となくイゼルローン要塞を攻略しようとするも、その都度イゼルローン要塞の主砲の前に艦隊を丸ごと消し飛ばされることを繰り返していた。
アスターテ会戦での功績で同盟軍第13艦隊の司令官に就任したヤンは、イゼルローン要塞攻略の任務を与えられる。「外部からの攻撃でイゼルローン要塞を攻略するのは不可能だ」と判断したヤンは、策謀によってイゼルローン要塞を占領することを画策する。

イゼルローン要塞の主砲の射程距離の外部に艦隊を集結させ、帝国側の駐留艦隊を誘い出した上で、送り込んだ工作員によってイゼルローン要塞の機能を奪取するというのがその全容だった。ヤンの巧みな陽動と同盟側に亡命した帝国の兵士たちの奮闘によってこの作戦は成功し、同盟側は無傷でイゼルローン要塞を手に入れる。
この結果は帝国側には「歴史的敗北」と受け止められ、ラインハルトはこの混乱を利用して自分の軍事的政治的影響力をさらに強くしていく。一方、この大戦果によって中将に昇進したヤンは「イゼルローン要塞を同盟が手に入れた以上、帝国側を停戦協定の場に引きずり出すことも可能ではないか」と期待していたが、実際にはさらなる戦果と政権の安定を目論む同盟側の政治家たちの思惑で戦争は続いていくこととなった。

同盟軍の帝国領侵攻/アムリッツァの愚行

イゼルローン要塞の歓楽に気を良くした同盟は、「帝国領の星系に侵攻し、人民を専制政治から解放する」ことを目的とする遠征を計画する。これは「さらなる戦果による政権の安定」を目論む政治家と、「同盟の英雄として名を挙げるヤンへの嫉妬」で功績を挙げんとする軍の一派が結託した無謀なもので、ヤンを含む良識派の軍人や政治家からは「確実に失敗する」、「せめて少ない損害で終わってくれ」と言われるような代物だった。
この頃すでに帝国の軍部の大半を我が物としていたラインハルトは、この同盟側の内部事情を多分に含む愚かな軍事行動を「格好の獲物」と捕らえ、侵攻した同盟側の大艦隊を焦土戦術によって戦闘不能に追い込む。同盟側の大艦隊は本部に補給部隊の増員もしくは撤退の決断を要請するも、戦果の無いまま作戦をやめられない政治家と、自分の間違いを認めるわけにはいかない一部の軍人たちによってこの進言は握り潰された。

同盟側を十分に弱らせたところで、ラインハルトは彼らの退路を絶って反転攻勢に転じる。その猛攻によって同盟側は大打撃を受け、全戦力の4割という国家として致命的な損耗を受ける。「このままでは終われない」とする同盟側の軍部が撤退ではなく決戦を選択したことも、傷口をさらに広げる要因となった。
こうなることを見越していたヤンは孤軍奮闘し、自身の第13艦隊の損害を最小限に抑えた上で、同盟側の残存戦力を自勢力圏に帰還させることに成功する。この敗戦により、同盟側の戦力は首都直営の第1艦隊を除けば第13艦隊のみとなり、事実上の壊滅状態に陥った。

リップシュタット戦役/帝国の内乱

同盟軍に大打撃を与えたことで帝国内が湧く中、皇帝フリードリヒ4世が崩御。次期皇帝を巡る暗闘が始まる。ラインハルトは「皇帝から姉を取り戻す」ことができなくなったと落胆しつつ、フリードリヒ4世の孫であるエルウィン・ヨーゼフ2世を擁立し、事実上帝国の実権を握る。
この時ラインハルトは、同盟との戦いをさらに優位に進めるべく、策謀によって同盟内部でクーデターを発生させる。これはヤンによって鎮圧されるも、思惑通り同盟の残存戦力をさらに削ることに成功した。

勢いに乗るラインハルトだったが、その強大な軍事力で内乱を叩き潰していく中で、幼馴染にして腹心の部下であるジークフリード・キルヒアイスを失う。「自分のミスで友を失った」と嘆くラインハルトだったが、彼と共に目指した全銀河の統一を果たすため、同盟との決戦に前のめりになっていく。
一方、政争に敗れた一部の帝国軍人が、自身の艦隊と共に同盟側に亡命。致命的な損亡を受けていた同盟側は、わずかながらに戦力を回復する。

第8次イゼルローン攻防戦

帝国が同盟との決着をつけるためには、イゼルローン要塞を攻略する必要があった。そこでラインハルトは、イゼルローン要塞と同規模の人工天体であるガイエスブルク要塞をワープさせて、イゼルローン要塞を撃破するという大胆な作戦を実行する。
この時、ヤンは同盟側の政治的不協和音の槍玉に上げられて査問会に呼び出されていた。もともと軍人としての栄達に興味の無かったヤンは、「くだらない政争の道具にされるくらいなら、もう軍を辞めてやる」と辞表まで用意していたが、イゼルローン要塞への攻撃が始まったとの報告が査問会の現場にももたらされたことでこれを提出できなくなる。

イゼルローン要塞とガイエスブルグ要塞の対決は、主砲の撃ち合いや策謀の応酬など様々な戦術が交互に繰り返されることとなった。イゼルローン要塞側は幾度となく窮地に追いやられるも、「敵方にヤンがいない」と知らない帝国側指揮官カール・グスタフ・ケンプが慎重策を取ったこともあってからくも攻撃を退け続ける。
このままでは埒が明かないと考えたケンプは「ガイエスブルグ要塞を直接イゼルローン要塞にぶつける」という策で戦術目標を達成しようとするも、ヤンは「最終的には敵はそうしてくるだろう」と予期しており、移動用エンジンの1基を破壊。これにより制御を失ったガイエスブルグ要塞は帝国艦隊を巻き込みつつイゼルローン要塞への衝突ルートを外れ、ここにイゼルローン要塞の主砲を食らって爆発した。

フェザーン陥落

イゼルローン要塞が位置する回廊を使っての同盟領への侵攻は難しいと判断したラインハルトは、両国の間にあるフェザーン自治領を利用しようと考える。フェザーンは経済力を背景に中立を保っていたが、自身の利益のために帝国にも同盟にも様々な干渉を繰り返しており、銀河征服を目指すラインハルトからすると邪魔な存在だった。
次期皇帝の座を巡って敗れた一部の貴族たちがヨーゼフ2世を誘拐する計画を立てていることを知ったラインハルトは、あえてこれを泳がせつつ、犯人の一味がフェザーンを通って同盟領へと逃げるよう誘導する。この策は成功し、ラインハルトは「皇帝奪還」という名目でフェザーンへの侵攻を開始する。

ヤンはこの事態を予測していたが、あくまで「軍人」であることにこだわる彼に打てる手は少なく、帝国のほぼ全ての力を我が物として振るうラインハルトの侵攻を阻止することには失敗。フェザーンはあえなく帝国の手に落ち、ラインハルトはイゼルローン要塞を通過せずに同盟領へと侵攻する道を確保する。
ここに至り、ラインハルトは全銀河を我が物とするため、キルヒアイスとの約束を果たすため、同盟との決着をつけるための「神々の黄昏作戦」(ラグナロックさくせん)を発動。同盟の命運を託されたヤンは、ラインハルトとの決戦の時が近いことを感じていた。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』の登場人物・キャラクター

主人公

ラインハルト・フォン・ローエングラム

CV:宮野真守
主人公の1人。銀河帝国の若き上級大将。若いながらも数々の武勲を挙げ、帝国軍の上層部に上り詰めた。姉を奪った皇帝を憎悪し、門閥貴族の専横がまかり通っている帝国の現体制に疑問を持ち、王朝を倒し帝国の現体制を変えることを密かに誓っている。

ヤン・ウェンリー

CV:鈴村健一
自由惑星同盟軍の准将。本来は軍人志望でなく、権力や戦争・軍に対する嫌悪している。つかみどころのない人物だが、卓越した戦略と戦術眼を持っており「不敗の魔術師」と称される。

銀河帝国

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