魔法少女 俺(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『魔法少女 俺』とは、毛魂一直線原作の漫画、及びそのアニメ作品である。
さきは、アイドルユニット・マジカルツインとして、親友の桜世と奮闘していた。片想いの相手である桃拾を妖魔から助けるため、さきは魔法少女として戦うことになる。桜世も、さきを守るために魔法少女になる。ただし、魔法少女とは名ばかりで、二人は可愛らしいコスチュームに身を包んだ屈強な男性に変身するのだった。

『魔法少女 俺』の概要

『魔法少女 俺』とは、毛魂一直線原作の漫画、及びそのアニメ作品である。
原作漫画全2巻は、ふゅーじょんぷろだくとから刊行されている。アニメ放映開始と同時に、『COMIC Be』にて続編の連載が開始された。
アニメは2018年4月放映開始。
制作はぴえろプラス(『東京喰種トーキョーグール:re』『さばげぶっ!』などを制作)。
監督は川崎逸朗(代表作『レディ ジュエルペット』『ツキウタ。THE ANIMATION』)。

卯野さきは、アイドルとして活動する15歳の少女。幼なじみの御翔桜世とマジカルツインを組み、売れないながらも、明るく元気に営業活動にいそしんでいる。
さきが芸能活動をはじめたのは、片想いの相手である桃拾を追ってのことのことである。桃拾は桜世の兄で、今やトップアイドルSTAR☆PRINCEとして、ヒットチャートの常連となっている。桃拾とユニットを組む兵衛に阻まれ、さきと桃拾の距離は広がるばかりだった。
ある日、さきは母親が最近まで魔法少女であったことを知る。母の後継者としてさきがスカウトをされているとき、桃拾が妖魔に襲われる。桃拾を救うために、さきは魔法少女となる。間を置かず、桜世もさきを思う一心で魔法少女になった。しかし、変身したその姿は魔法少女のイメージとは程遠いマッチョな男性の姿だった。そして二人はその姿で愛する人を守る戦いに身を投じるのだった。
アニメでは、オリジナルキャラクターも登場し、原作を知る視聴者も新鮮な気持ちで見ることができる。全編に過去のサブカルチャーへのオマージュがちりばめられており、元ネタを探す楽しみも提供してくれる。

『魔法少女 俺』のあらすじ・ストーリー

魔法少女俺誕生

さきは駆け出しのアイドルとして、親友の桜世とともにアイドルユニット・マジカルツインを組んでいる。売れていないながらも地道な営業活動に励んでいるのは、相棒の兵衛と共にトップアイドルSTAR☆PRINCEとして活躍している桜世の兄・桃拾に少しでも近付くためだ。さきが家に帰ると、家には母親のさゆりと母親の知り合いというガラの悪い男がいた。男によると、男は魔法少女のお供のマスコット・ココロちゃんであり、さきの母親は最近まで魔法少女をしていたのだという。腰を痛めた母親の代わりに魔法少女にスカウトされ、さきは困惑する。しかしちょうど桃拾が妖魔によって異界へ攫われそうになっていることを知り、さきは家を飛び出したのだった。

ココロちゃんに桃拾を助ける方法をたずねると、ココロちゃんは「好きな相手を呼んで告白しろ!」と言う。さきには魔法少女になるための「ラブ☆パゥワ~」が備わっていたのだ。さきが「桃拾ちゃんが大好きだ!」と叫ぶと、身体が輝き、さきは魔法少女に変身した。しかしそれは可憐な魔法少女ではなく、鍛え抜かれた男性の肉体だった。さきは動転するが、ココロちゃんは「戦闘には男の体の方が適してるやろ!」と言う。しかも攻撃方法はステッキで殴打するというものであり、言われたとおりにさきは妖魔を殴り続け、桃拾を助けることができたのだった。

目を輝かせる桃拾に名前を尋ねられたさきは、苦し紛れに「オレはオレです」とはぐらかした。桃拾は納得したのか何度も頭を下げながら帰っていったが、さきが魔法少女になって戦う姿はすべてマネージャーと桜世に目撃されていた。しかし魔法少女オタクのマネージャーは喜びのあまりに号泣し、さきのことが好きな桜世も魔法少女の姿が可愛いと言い出す。周囲の盛り上がりようから、さきはもう後戻りできないと悟ったのだった。

翌日、学校へ向かう途中で桜世の家に寄ったさきは、妖精姿になったココロちゃんから妖魔出現の知らせをうける。妖魔はまたもや桃拾をターゲットにしており、さきは覚悟を決めて魔放少女オレに変身した。タコのような触手を持つ妖魔に捕まってしまう魔法少女オレだったが、助けたのは桜世だった。躊躇なく魔法少女になることを選んだ桜世は、「私はさきが好き!!」とさきへの秘めた想いを叫びながら、魔法少女サキガスキに変身したのだった。実は幼い頃からさきのことが好きだったと開き直る魔法少女サキガスキに、魔法少女オレは貞操の危機を覚える。妖魔を倒したものの、二人がもめていると、隠れて二人の戦闘を撮影、配信していたマネージャーが現れた。そして配信された動画が話題になり、二人は魔法少女(?)として注目されるようになっていくのだった。

MAHO☆SHOJOの活躍

マネージャーのプロデュースで、魔法少女2人組MAHO☆SHOJOとして売り出されることになったさきと桜世。テレビ局ではコスプレした男にしか見えない二人に奇異のまなざしが向いており、アイドルユニットPRISMAの未散と瑠可も値踏みするような目で見ていた。テンションの下がるさきだったが、偶然にも桃拾が目の前に現れた。しかし桃拾に張り付いているレジ袋をかぶった妙なAD藤本が魔法少女オレに絡み、宣戦布告する。藤本は改造人間で、悪を倒す自称ヒーローだという。するとテレビ局に妖魔が現れ、PRISMAの二人が連れ去られそうになる。改造人間藤本は見せ場が来たと喜び、戦いに身を投じる。魔法少女たちも妖魔を殴打して撃滅するのだった。

テレビ局に現れた妖魔を倒したことでMAHO☆SHOJOの注目度は高まり、二人は多忙を極めていく。久しぶりにマジカルツインの営業が入ったさきと桜世は、変身なしの仕事と温泉に癒されることを楽しみにしていた。仕事を終え、温泉で骨休めをしていたさきだったが、桃拾のことを考えただけで魔法少女オレになってしまう。水風呂で女の子に戻ろうとするさきだったが、脱衣所に桃拾の姿を見つけ、パニックになる。さきは女湯だと勘違いして温泉に入ってしまったが、今の時間は男湯になっていたのだ。

一方、女湯の桜世はさきを自分のものにしたいという欲望と戦っていた。そんな中、夕食の時間になり、桜世は兄と兵衛が同じホテルに泊まっていることを知る。桃拾に魔法少女の正体を知られたさきは悲しんでいるのかもしれないと思った桜世は、「だって私はさきが好き!」と叫んで魔法少女サキガスキに変身した。そして同じホテルに妖魔が日頃の疲れを癒しに来ていることを知ると、妖魔を瞬殺し、さきが桃拾といる風呂に急いだ。桃拾とサウナに入っていたさきはパワーが尽きて元の姿に戻りつつあったが、桜世のファインプレーによって正体がバレずに済んだのだった。

新しい魔法少女

魔法少女の注目度は日増しに上がり、MAHO☆SHOJOとしての活動も順調だった。そこへ、メジャーCDデビューの朗報が入る。さきはさっそく、マネージャーと桜世と一緒にカラオケボックスで歌を特訓した。個室から外へ漏れるさきの歌声で嘔吐や悶絶する客が続出し、アイドルよりもアイドルらしく完コピで歌うマネージャーのワンマンショーが行われる中、ドリンクを運んできたのは人造人間の藤本だった。

トイレに行ったさきと桜世は、戻る部屋を間違えた。自分たちが使っている部屋の隣の部屋には、アルプス一万尺を歌う桃拾と、桃拾を囲む兵衛と小動物たちがいた。桃拾が歌うと、なぜかメルヘンな小動物が集まってくるのだ。何となく次の展開を予想したさきが死んだ目でさらに隣の部屋を開けると、そこは桃拾を攫おうとする妖魔がひしめいていた。軽く妖魔たちを倒した魔法少女たちだったが、桜世は妖魔が桃拾の居場所を特定できることを不審に思っていた。そして、いつも桃拾と一緒にいる人物は兵衛しかいないということにも気づいていたのだった。

MAHO☆SHOJOのデビューシングルは空前の大ヒットとなった。STAR☆PRINCEやPRISMAとの合同握手会も行われ、妖魔が現れるなどのトラブルに見舞われるものの、さきはアイドルの醍醐味を味わう。一方、PRISMAの未散と瑠可はファン離れに焦りを感じていた。トップアイドルに返り咲く手段を模索するPRISMAに、ハッピーちゃんと名乗る男から魔法少女のスカウトの声がかかる。MAHO☆SHOJOのような注目を浴びることを期待して契約する二人だったが、仕掛け人もいない二人は派手な活躍はできなかった。さらにラブ☆パゥワ~の足りない未散は、変身するたびに老けていく。一方、先日の合同握手会での騒動がきっかけに、MAHO☆SHOJOとPRISMA、STAR☆PRINCEとの合同ライブが決定した。

合同ライブの日、お約束のように妖魔が現れる。遅れて現場に駆け付けた魔法少女オレは、PRISMAも魔法少女であることに驚き、「前のあなたたちはもっと輝いていた。だからきっと今でもこれからも輝ける」と未散にはっぱをかける。そして、魔法少女オレが「桃拾ちゃんが好き!」とラブ☆パゥワ~解放の手本を見せたことをきっかけに大告白大会になり、四人は「ラブ☆パゥワ~アルティメット対応デンジャークロス」を発動し、無事に妖魔を倒したのだった。

黒幕の正体

これまでの怪しい行動から、さきと桜世は一連の妖魔騒動の黒幕は兵衛ではないかと疑っていた。二人は兵衛の秘密を暴くために出かける兵衛と桃拾を尾行したが、怪しいところはない。公園で迷子を見つけた桃拾が歌を歌うと、周囲に小動物たちが集まってくる。ほのぼのとした光景に見惚れるさきだったが、いつの間にかさきと桜世の後ろに兵衛がいた。兵衛も、桃拾の歌のすごさをみんなにわかってほしいと思いアイドルに誘ったのだという。さきは兵衛に「だからですか?桃拾ちゃんを魔界へ連れ去ろうとする理由」、「あなたは本当に人間なんですか!?」と確信を突く質問をする。

一方その頃、マネージャーは魔法少女アニメをリアタイするために急いで自宅へ戻っていた。足止めを食らいながらも帰宅すると、部屋が騒がしい。「さてはまた喧嘩してるな」と呟きながら入った彼の部屋には、たくさんの妖魔たちがいたのだった。

兵衛の正体は、人間界を調べに来た妖精の王だった。兵衛から黒幕がマネージャーであるという事実を聞き、動揺するさきと桜世。そんな中、いつの間にか桃拾の姿が消えていた。さらに町中に異界へのゲートが開いており、大量の妖魔が現れ、世界は崩壊の危機に陥ってしまう。町中のテレビに仮面をつけたマネージャーの姿が写り、人質の桃拾を映しながら、「平穏を取り戻したくばゲートをくぐり私を倒しに来るがいい!」と魔法少女たちを誘うのだった。

魔法少女オレと魔法少女サキガスキがゲートをくぐると、ファンシーな魔界が広がっていた。「ボスの部屋ここです」と書かれた鍵のかかった扉を見つけたが、二人の元へ妖魔が大量に押し寄せてくる。魔法少女サキガスキは魔法少女オレを投げ、扉に穴をあけてボス部屋の中へ放り込んだ。「ここは私に任せて先に行って」という魔法少女サキガスキに後を任せ、魔法少女オレはラスボスが待つ部屋の奥へと向かう。

最終決戦

部屋の奥の椅子には、仮面をつけたマネージャーが座っていた。最初はラスボスらしい演技をするマネージャーだったが、すぐに「はいカットー」と言って、演技を辞めてしまった。全く本気で戦う様子の無いマネージャーに混乱した魔法少女オレは、「何が目的でこんなことをするんですか!?私たちを利用していたんですか?」と尋ねた。しかしマネージャーは、「違うよ。君達のためにみんなを利用したんだよ」と言う。

マネージャーはもともと異界の異世界侵略局で働いていたが、仕事への情熱はなかった。そこへ、人間界の魔法少女に妖魔がやられたという話が入り、魔法少女に会いたいがために人間界へとやってきたのだった。しかし人間界の魔法少女は魔法熟女さよちんで、現実に打ちのめされたマネージャーは一時ニートになる。生活費を稼ぐためにやむを得ずマネージャーという仕事に就いたことで、さきと桜世に出会ったのだった。

マネージャーとしての仕事に情熱に向けられるようになったが、妖魔としての任務成績や態度が異界から問題視され、最終通告が来てしまった。そんな矢先、さきが魔法少女になったことで、マネージャーは最後のチャンスとして魔法少女を売り出す宣伝にすべてを捧げたのだった。

このまま自分を倒して後世まで語り継がれるアイドルになってほしいと言うマネージャーに、魔法少女オレは困惑する。そしてマネージャーに平手打ちをし、「そんなの私のなりたかったアイドルじゃない!」、「マネージャーのしたことは許せないしみんなを助けたいけど、戦いたくないよ!」と泣きわめく。魔法少女オレに倒されることは不可能だと悟ったマネージャーは自分で洞窟を壊して死のうとするが、桃拾が間一髪のところでマネージャーを救った。

兵衛率いる強面の妖精たちが到着し、マネージャーは拘束された。しかしボスから解放された雑魚妖魔が暴走し、妖魔との最終決戦になる。増殖する妖魔に万事休すかと思われたが、そこへ魔法少女PRISMAの未散と瑠可が援軍にやってきた。四人は「ラブパゥワーアルティメット最強デンジャラス最終回レインボーミラクルスーパーデリシャスプリティハイパーラブパワーマックススペシャル」を放ち、妖魔たちに勝利したのだった。

全ての騒動が終わり、マネージャーは妖精界の監視下に置かれることになった。別れ際、連れていかれるマネージャーに魔法少女オレは「私達絶対本物になりますから!」と声をかける。マネージャーは「楽しみにしているよ」と微笑み、最後に二人に握手をしてもらって、妖精界に繋がるゲートの中へと消えていったのだった。

MAHO☆SHOJOを辞めたさきと桜世は、相変わらず売れないアイドルとして路上ライブを行っていた。そこへ、ココロちゃんから桃拾がチンピラに絡まれているという情報が入る。二人は魔法少女に変身し、「魔法少女俺、参上!」と叫びながら、目を輝かせる桃拾の前に登場するのだった。

『魔法少女 俺』の登場人物・キャラクター

卯野さき(うのさき)

CV:大橋彩香
15歳。
アイドルユニット・マジカルツインとして活動している。駆け出しの常として地道な営業をしているが、観客席は閑古鳥が鳴いている。歌はうまくない。
幼なじみの桃拾が好きで、芸能界に入った。魔法少女になる決断をしたのも、妖魔にさらわれた桃拾を助けるためだった。

魔法少女オレ(卯野さき)

CV:石川界人
さきの変身後の姿。ココロちゃんがくれた杖で殴打して戦う。
変身しても歌唱力は上がらないが、「MAHO☆SHOJO」として歌手デビューも果たした。

御翔桜世(みかげさくよ)

CV:三澤紗千香
さきの幼なじみ。マジカルツインとしても、さきと一緒にいる。
さき一筋で、助けるために魔法少女になることも躊躇しなかった。告白をしてからは、本気で愛を成就させることを考えている

魔法少女サキガスキ(御翔桜世)

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