【知られざるシュールレアリズム絵画】エドガー・エンデの世界

エドガー・エンデ(1901-1965)は、ドイツのシュールレアリズム画家で児童文学作家でもあります。日本では児童文学作家のミヒャエル・エンデのお父さんと言ったほうが分かりやすいかもしれません。日本ではあまり知られていないエドガー・エンデの不可思議な世界観は、息子ミヒャエル・エンデの作品にも多くの影響を残したといわれています。

エドガー・エンデの生涯

エドガー・エンデはドイツのハンブルク地方に生まれて、
幼い頃から装飾画家の下で見習いとして働いていました。
両親はエドガーが画家になることに反対していましたが
働きながら美術学校に通いました。
1922年に最初の妻・ガートルードと結婚しますが
4年後に離婚。両親から独立したいがための結婚だった
ようです。1929年にルイーゼと2度目の結婚。ミヒャエルが
生まれました。念願の画家として活躍していましたが、
1936年に帝国文化会への参加を拒否したことで、ナチスから
「退廃芸術家」の烙印を押されてしまいます。

※写真は息子のミヒャエルと

退廃芸術家になると、画材を買うクーポンが国から
支給されなくなります。国外へ逃れても銀行口座が差し押さえ
られるので逃亡もできません。エンデはたちまち困窮しましたが
妻のルイーゼが理学療法士として生計を支えました。さらに、
1940年、39歳で徴兵されます。戦時中アパートとアトリエが
空襲にあい、作品の7割が消失してしまいます。エンデ本人は
アメリカ軍の捕虜となりましたが、ほどなく解放されました。

戦後は美術の復興運動に尽くしましたが、1953年、なんと
自分の教え子の若い女性ロッテ・シュレーゲルと恋に落ち、
家族を捨ててしまいます。この時、エドガー・エンデ52歳でした。
その後1965年、家族のもとに戻ることなく心臓発作で死去。
享年64歳でした。
※若き日のミヒャエルとエドガー

エドガー・エンデの作品

エンデはわざとアトリエを暗くして何日間も閉じこもり、
そこで浮かび上がってくるイメージをスケッチして
描きためたものを作品にしていました。そのためエンデは
「暗闇の画家」と呼ばれることもあります。

エドガーの作品は、夢の中の曖昧な世界をスケッチしているような
ものなので、そこに明確な答えはありません。彼は、自分の作品に
説明を求められることを嫌ったそうです。

ですので、みなさんも自分の自由な視点で彼の絵をご覧下さい。

ロマンティック・シュールレアリスム

心の暗闇の中から浮かび上がってくるような彼の作品は
「ロマンティック・シュールレアリスム」とも呼ばれました。

この絵は、息子であるミヒャエル・エンデの
短編集の表紙にも使われました。

www.edgarende.de

とんとん
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@tonton

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