ラストゲーム(Last Game)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラストゲーム』とは、天乃忍による少女漫画。白泉社「LaLa」にて集中連載後、続きが読みたいとの声が多数上がり、続編が連載された。
柳尚人は、顔良し、頭良し、家柄良し、だけど勉強でも運動でもどうしても九条美琴には勝てない。初めての挫折を味わい九条への雪辱を誓った柳は、自分を顧みない九条に勝ってその瞳に自分を映そうと九条を惚れさせる決意をした。2人の10年に渡る勝負が始まった。

『ラストゲーム』の概要

『ラストゲーム』とは、天乃忍による日本の少女漫画作品。白泉社「LaLa」において、2011年9月号から11月号に集中連載した後、続きが読みたいとの声が数多くあがり、続編の連載が開始された。2012年2月号から2016年8月号まで連載し、最終回を迎えた。単行本全11巻。片思いがじれったく楽しい、王道少女漫画。
「このマンガがすごい!2014」内の特集「大学漫研が選ぶこのマンガがすごい!」にて、東京大学漫研が選ぶオンナ編第1位に選ばれた。東京大学の文芸サークル・新月お茶の会とコラボしたムービーがYouTubeにて公開された。

顔良し、頭良し、家柄良しの超完璧少年・柳尚人の前に現れた転校生・九条美琴。地味な外見と暗そうな雰囲気、全体的に貧乏くさいという印象だったのに、勉強も運動も九条に惨敗の柳は、人生初の挫折を経験した。激しいライバル心に燃え立つ柳は「惚れた方が負け」という言葉を聞き、九条を惚れさせようと決意した。
10年に渡る2人のラストゲームが始まった。

『ラストゲーム』あらすじ・ストーリー

出会い

顔良し、頭良し、家柄良しの超完璧少年・柳尚人(やなぎ なおと)は、小学5年の時に現れた転校生・九条美琴(くじょう みこと)に勉強も運動も勝つことができない。悔し紛れに九条に暴言を吐くが無視された為、「柳リゾートの跡取りにそんな態度を取っていいのか」と言った。すると九条に「凄いのはあなたのお父さんであってあなたじゃない」と返されショックを受けた。

九条を見返すために家庭教師や塾の量を増やしたが、無理をしすぎて道端で倒れてしまった。
そんな柳を助けたのは九条だった。彼女は柳を家に運んで休ませ、食事を作ってくれた。そこで柳は九条の父が早くに亡くなり母と2人暮らしであることや、母を支えるため九条が家事を引き受けていること、将来母を楽させるため独学で勉強を頑張っていることなどを知った。

柳は恵まれた環境に甘えている自分を恥じ、塾や家庭教師一切を辞め、自力で九条に勝とうと決意した。

中学

公立中学に入学してからも、柳はいつも九条を意識していた。
九条は成績トップを保ち、柳は常に2位。そんな立場を悔しく思っていたのだが、周囲からチヤホヤされどう考えても自分は勝ち組なのだと考え直す。

女子に囲まれた華々しい自分を見せつけようと九条に話しかけてみたが、どうやら九条は柳のことを忘れていたようで、咄嗟に名前が出てこなかった。そのことに柳はショックを受けた。

クラスの男子から好みの女子のタイプを聞かれた柳は、九条の特徴を並べ立て「そうじゃない子」と言った。周囲の男子も誰の事か直ぐに分かり、柳に同調するように九条の悪口を言い始めた。
九条の悪口を言って笑う男子に段々とムカついてきた。自分は九条にムカついているのに他の男子が彼女を悪く言うのは許せない。この感情がわからず柳は悩む。

教室へ行くと一人でうたた寝をしている九条がいた。寝ている彼女を見つめながら、彼女の目に自分が映らないことが悔しいのだと気づいた。
「惚れた方が負け」という言葉を小耳に挟んだ柳は、九条を自分に惚れさせ振ってやろうと決意した。

高校

高校に入学後も相変わらず主席は九条、柳は2位だった。

中学の時に思いついた作戦を決行しようと、九条に「付き合ってやってもいい」と話しかけた。しかし九条には柳と付き合うという恋愛的な発想が無かったらしく、「どこに」と返してきた。苦し紛れに学食に誘い、柳は九条に食事を奢ることになった。

九条が放課後バイトをしようとしていることを聞いた柳は、彼女が接客業で見知らぬ男の手を取っている姿を想像し、「却下だ」と発言。そしてその時間を自分が買うと言い出した。毎日食事を奢るからと九条を丸め込み、放課後勉強を見てもらうことになった。

ある日の帰宅途中、九条の母が事故にあったと連絡がきた。柳は呆然として動けなくなっている九条を病院に連れて行った。命に別状はないとわかったとたん、九条は顔をクシャクシャにして涙を流し、柳にはじめて「ありがとう」と笑顔を見せた。

大学

九条(左)に勝負を持ち掛ける柳(右)

高校を卒業し、2人は同じ大学の2年生になっていた。
柳は九条への気持ちを自覚していたのだが、その気持ちを否定しようと他の女子と付き合ってみた。しかし結局長く続かなかった。

一方の九条は何だかんだと柳に呼び出されて、食事や映画に行く事を不思議に思っていた。大学でできた友人の藤本しおりに柳を紹介して欲しいと言われ、その話を柳にしてみると、柳の表情が変わりそれ以来何の連絡もなくなってしまった。今まで自分から連絡したことはほとんど無く、柳から連絡が来なければ簡単に終わってしまうような関係だったと分かり、九条は愕然とした。

さらに、柳と藤本が寄り添って話しながら街を歩く姿を見てしまい、九条の心は乱れた。九条の母は娘の様子がいつもと違うと感じて、柳と何かあったのかと聞いてきた。母は、「これまで甘えてしまっていたけど、これからは自分のことは気にせず、自分の幸せを追いかけて欲しい」と話す。

柳のことで心が乱れていたところに、今まで母のためと思って頑張ってきたことをしなくていいと言われ、混乱した九条は母に何も言わずフラフラと家を出てしまった。そして九条は「母のため」と言いながら他人と関係を築こうともせず、柳が話しかけてくれることを当たり前と考えていた自分に気づいた。これから先、柳の隣に自分がいないことが耐えられないと思った九条は、自分から柳に会いに行こうと決心した。

すると、息を切らした柳が九条を見つけ走ってきた。柳は九条の母から連絡を受け、彼女をずっと探していたのだ。なぜいなくなったのかと問いかける柳に、九条は藤本はどうしたのかと逆に問う。
藤本はリゾート開発関係のレポートを書く必要があり、柳リゾートの息子である柳に話を聞く為九条に紹介してもらうことにした。しかし柳は友人に恋の橋渡しを頼まれたのかと勘違いして、そんな九条を腹立たしく思い連絡をしなくなったのだ。九条も藤本は柳が好きなのだと思っており、2人でいたのはデートだと勘違いして心が乱れていたのだ。

九条は「2人が一緒にいるところがすごく嫌だった」と言った。柳は九条が自分に想いを寄せているのではと嬉しくなったが、続けて「すごく大事な友人だと認識していたみたい」と言われがっくりした。九条のその気持ちは恋なのではないかと言いかけたが、小学生の頃から彼女に対して暴言を吐き続けてきた自分を振り返り、ここまで恋愛に鈍くさせた原因は自分にあると思い当たった。

柳は「勝負しよーぜ、九条。正真正銘最後の勝負。オレが九条に気持ちを自覚させられたらオレの勝ち。オレが勝ったら、左手の薬指に指輪はめてよ、九条」と彼女に勝負を持ちかけた。

学祭

ライバル心がいつしか恋心に変わっていた柳は、九条にプロポーズまがいのことを言ってしまい、九条からの反応を伺っていた。はにかむようすを見せる九条を見てこれはもしや自分への気持ちに気付いたのかと期待したが、「これからもよろしくね、友達として」と言われてしまい愕然とした。

九条は藤本の誘いで天文サークルに入った。柳は一度断ったものの、九条が気になるのでサークルに入ることになった。

ある日、天文サークルに1年生の男子・相馬蛍が入会してきた。天文に興味があるというより、柳に敵対心を持っているような、九条に興味を持っているような素振りを見せている。
柳が知らないうちに「美琴さん」「蛍くん」と2人は名前で呼び合う中になっていて、柳は面白くない。九条に警戒心を持つように話してみるが、逆によく知らない人物の悪口を言うなと怒られてしまった。

相馬は、柳が手に入れられない九条を自分のものにしようと襲うが、逆に九条に取り押さえられてしまった。九条は助けようと駆けつけた柳に、忠告を聞かず悪かったと謝り、お詫びに何でもすると約束した。柳は名前で呼んで欲しいと九条に頼むが、「尚人」と呼ばれ心臓が破裂しそうになり、やっぱりいいと断った。

大学の学祭が始まった。天文サークルは喫茶店をしており、柳と相馬は客引きを担当していた。喫茶店は大繁盛。休むまもなく大忙しになってしまった。
学祭が終わり、柳は大勢の男子に囲まれていた九条に「九条はいつもの方がいい」と憎まれ口を叩いてしまった。しかし九条は見た目で判断せずいつもの自分でいいと言われたようで、柳の言葉を嬉しく感じた。「柳といる時が一番ほっとする」と口にした九条に、真意を確かめようと柳が迫ったところで邪魔が入ってしまった。

学祭後、天文サークルは柳と相馬目当ての入会希望者で溢れていた。柳は自分目当ての女子から九条が嫌がらせされることを恐れ、しばらく天文サークルを休むことにした。すると、サークルからごっそりと人が減り、結局最初のメンバーに戻ってしまった。いろいろな人と交流しようと頑張っていた九条を励ますと、「残念だけど、また柳の近くにいられる」と嬉しそうに笑った。

初合宿

サークルのメンバーは合宿をしに柳の別荘に行くことになった。
柳と九条は先日大学でぶつかり、唇が柳の頬に当たるという所謂「事故チュー」をしたのだが、九条は全くいつもどおりで意識しているのは柳だけだった。柳が周りのメンバーにそれとなく事情を話すと、「男として意識されていない」「恋愛という感覚がない」などと言われてしまった。

天体観測に出かけた際、柳と九条は森の中で迷子になってしまった。柳は意識しまくるが、九条は全く気にすることもなく柳にもたれかかって眠ってしまった。

九条は今まで柳の他に友人を一人も作らず、この頃ようやく人と関わりを持つようになった。柳はそこに思い至り、九条に早く恋に目覚めて欲しいと思いながら眠った。柳より早く起きた九条は、自分の手をしっかりと握る柳の手が大きくて、男の手なのだと認識した。最近柳といるとほっとするけれど、心細いような心もとないような気持ちになることを九条は不思議に感じていた。

合宿から帰り、九条は柳に対する不安定な気持ちを相馬に相談することにした。かつて九条に対して容赦のないダメ出しをした相馬のことを、人間心理に長けている人物として認識していた。そんな彼だったら忌憚のない意見を言ってくれると思い相談することにしたのだ。

相馬は、九条から頻繁に柳のことを相談され、分かりやすい柳の態度と九条の様子から2人は両思いだと確信していた。しかし、九条の認識が思った以上に幼く恋愛方面に向かない。さらに相馬は柳のことを敵視しているため、九条に間違った情報を与え、柳から離れるように仕向けていた。しかし相談に乗っているうちに、段々と気持ちが九条に傾き始めていた。

学内にいる人たちから柳が風邪をひいて寝込んでいるという話が聞こえてきた。合宿で雨に降られた時、自分に上着を貸したせいで風邪をひいたのではと思った九条は、柳の看病に向かった。柳に対して気まずい気持ちを持っていたのだが、弱った柳の面倒を見ることでいつものように振舞うことができるようになった。

新メンバー

相馬のバイト先に、柳の友人たちが合コンをしにやってきていた。自分が参加すると周りの雰囲気を壊してしまうと理解している柳は、予定があるからと断っていたのだが、人数が足りないということで無理やり連れてこられていた。

女子が柳に群がったため、溢れた学生たちが陰で柳の悪口を言いまくっていた。それを聞いていた相馬は、柳を庇おうと反論し喧嘩が始まりかけてしまう。ちょうどその時に柳が現れ、その場を上手く収めた。何の苦労もしていないと思っていた柳にも恵まれているからこその苦労があることや、柳が常に人を気遣っていることを相馬は知った。

2人で帰宅途中、九条が見知らぬ女子と一緒のところに出くわした。彼女は電車で痴漢に遭っているところを九条に助けられた、他大学の1年生・橘桃香(たちばな ももか)という美少女だった。
桃香は以前パーティーで見かけた柳のことを気に入っていて偶然出会えたことを喜び、他大学でもサークルに参加できるインカレという制度を使って、天文サークルに参加し始めた。

柳は今までの経験から橘桃香の好意を見抜き、警戒した。サークル代表の藤本も、桃香には裏の顔があると女の勘で見抜いていた。しかし九条は、か弱くて守ってあげたい女の子として認識していた。
九条と柳の関係を見て、桃香は「柳さんを好きなわけではないんですよね…?」と九条を牽制する。桃香は柳の態度から柳が九条を好きだと勘付き、さらに相馬も九条を思っていることに気づいた。

家庭教師先の教え子から遊園地のチケットをもらった九条は、勇気を出して柳を誘おうとしたが、桃香に邪魔をされサークルメンバー全員で遊園地に行くことになった。皆で行くのも嬉しいが、柳と2人でないことに心がモヤモヤする。

桃香は弁当を持ってきたり、うさ耳を付けたりして柳にアピールしたり、相馬と九条をわざと2人きりにして相馬にチャンスを作ったりする。相馬は、桃香の思惑に気づいたのだが、彼女にけしかけられてうまく利用されるのは気に食わない。しかし、九条が相馬に対して自然な褒め言葉を発したり、柳を想い落ち込む様子に思わず手を出しそうになってしまった。

遊園地で皆とはぐれてしまった九条を気遣い迎えに行こうとした柳に、桃香は「九条と柳じゃ釣り合わない」というが、柳は「10年前からオレの方があいつに追いつきたくて必死」と答え彼女を拒絶した。

「友達」の距離感

遊園地で偶然、昔太っていた時の写真を九条に見られた桃香は、それを気に病みサークルを休み続けていた。柳は、告白される前に振ってしまったことで来なくなってしまったのではと気に病んでいた。実際は、九条に昔太っていたことをサークルメンバーに言いふらされたのではと疑心暗鬼になった桃香が、気まずくて行けないだけだった。

家でモヤモヤと考えていたのが嫌になりヤケになった桃香は、ファミレスでドカ食いをすることにした。貪るように食べているところを偶然相馬に見られ、九条から太っていたことを聞いて笑いに来たのかと八つ当たりをした。しかし「九条からは何も聞いていないし、言いふらすような人ではない」と相馬に諭された。

実際に九条は誰にも何も言っておらず、その写真が桃香であることにすら気づいていなかった。昔太っていたからといって頑張ってそんなに可愛くなったのならそっちの方がすごいと言われ、九条の考え方や人柄を見直した桃香だった。

九条への誤解も解けサークルに復帰した桃香は、柳を諦められていなかった。「九条は柳のことを友達だと言っていた」と柳に話し、「自分にもまだ望みがあるはずだから諦めない」と言ってくる。その言葉を聞いた柳は、九条の言う「友達」との距離感というものはどういう物なのか考えた。九条は柳が手をつないでも嫌がらず、肩に頭を預けても嫌がらない。柳だから許すのか、友達なら誰でも許すのか分からなくなった柳は、試してみることにした。
まず、手を握る、頭を撫でる、頬を触る、顔を近づけておでこをぶつけても拒まない。柳だから別に嫌じゃないと九条は言う。

こんなこと言う「友達」とは一体何なのか、九条の認識がわからず、柳の苦悩は尽きなかった。

同窓会

10歳の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こそうと、同窓会が企画された。当時険悪だった柳と九条が参加すると聞き、同級生たちはどのように変わっているのかと興味津々だった。2人が夫婦のように寄り添っている姿を見た同級生たちは驚いた。

タイムカプセルに入っていたものは、10年後の自分への手紙。九条は手紙に書いた人生設計通りになっていた。柳の方は九条への気持ちが書き連ねてあった。自覚もなかった10年前から九条を思っていたと分かり、さらに10年前から全く進展していないことに柳は不甲斐なさを感じた。

10年後にまた開けようと自分への手紙を書く事になった。柳は10年後はオレの嫁などと書いて、実現できなかったら立ち直れないと思い白紙で入れることにした。九条は、10年後柳が隣にいたらいいと書き記した。柳からはわからなくても、確実に九条の気持ちは変化していた。

桃香は相変わらず柳に近づこうとし、九条と相馬をくっつけようと画策するのだが、当の相馬からいい加減もう諦めろと怒られてしまう。桃香は、「何もせずに諦めたりしない、アンタとは違う」と相馬にタンカを切った。しかし、相馬は二人の様子を間近に見て、もはや柳に対抗しようとする気持ちは薄れてきていた。さらに、初めは嫌いだった柳も最近では嫌な人とは思えなくなっていた。だから自分の気持ちに蓋をして、もういい加減九条と柳がくっつけるように協力することにした。

告白

夏合宿、相馬の両親が営む民宿にやってきた。実家の農業を継がせたかった父は、それに反抗して家を出た相馬に対して非常に厳しく当たり、人前でも構わず喧嘩が始まる。

相馬が田舎から東京に出たきっかけは、一生懸命やっても上手くいかないのが原因だった。遠足や誕生日の前には熱を出し、リレーや徒競走ではいつも2位。好きな子からは恋愛相談をされ、極めつけが野球の試合前日に食中毒で入院。いろいろ嫌になって東京に行ったのだと母は理解していた。

九条は相馬と相馬の父が険悪であることを良くないと諭した。以前相馬からもらった野菜はどれもとても美味しかったと伝え、きっと相馬に食べさせたくて選んだ物なのだと思ったと話した。九条の言葉で、自分が本当に嫌いなのは中途半端な自分自身だったのだと相馬は気づき、それを教えてくれた九条のことを改めて好きだと感じた。

夜、相馬と父が口論して相馬が家を出たと勘違いした九条は、彼を追いかけ外に出た。和解していたと相馬は話し、東京に出ない方が良かったのかも、と呟いた。それを聞いた九条は、東京に出てきてくれたおかげで相馬に会えたと無邪気に話した。相馬はその言葉に想いが溢れ、九条に好きだと告白した。

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