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jobhopperのレビュー・評価・感想

ウマ娘シリーズ
10

『ウマ娘』が持つ3つの奥深いゲームパート

『ウマ娘』。それは競馬で活躍した競走馬をモチーフにした女性キャラクターたちが活躍するゲームです。
ゲームは主にキャラクターのストーリーを見るパート、キャラクターを育成するパート、育てたキャラクターを走らせるレースパートの3つに分けられます。
キャラクターのストーリーを見るパートでは、実際の競走馬たちの歴史をなぞらえてストーリーが展開していきます。

実際の競馬と『ウマ娘』の大きく違うところは、その当事者の気持ちが描かれているという点です。
競馬では競走馬が勝っても本当にうれしかったかどうかなんて分かりません。でも『ウマ娘』ではそれが分かります。
3Dモデルのキャラクターが生き生きとその感情を爆発させる様は、見ていて気持ちがよいものです。
それに嬉しかったというのが、どう嬉しかったのかというその感情のプロセスまで丁寧に描かれるため、わたしたちはそこに感動します。

そして、キャラクターを育成するパート。
『ウマ娘』にはスピード、スタミナ、パワー、根性、賢さ、という5つのパラメーターがあり、これらをレースの条件に合わせて成長させていきます。
サポートカードというものを6枚選んで編成して、それらを使うことで5つのパラメーターがより強く成長していきます。
また競馬の血統の概念もうまく取り入れていて、育成が終わったウマ娘2人を使って、今から育てるウマ娘にその能力を継承させる要素があります。
これはキャラクター個々での相性の差が細かく設定されており、実際の血統の世界にも引けを取らないほどの奥深さがあります。

最後に、育てたキャラクターを走らせるレースパート。
こちらは、育てたキャラが走るのをただ見るだけのモードです。「え?キャラを操作したり、技を出したりしないの?」と思ったかもしれません。
『ウマ娘』が本当に面白い理由はここにあります。そうなんです。『ウマ娘』のレースはプレイヤーが介入する要素が一切ありません。レースが始まれば、能力に従って勝手に抜いたり抜かされたり、技を出したりします。

これは保護者の気持ちになるんです。子供の運動会と同じです。
自分が手塩にかけた我が子が走ります。自分が何もしなくてもそのレースは手に汗握る大興奮のレースになります。
そしてその結果が良くても悪くても、自分の子供が走ったんだから、もうその時点で嬉しいんです。「よくやった」と。
自分が操作できないということは一見デメリットのように思えますが、見方を変えるとメリットになります。私自身、こんなに見てるだけなのにレースが楽しいものだと思いませんでした。

競馬ファンはもちろんのこと、競馬を知らない人たちにも、競馬の奥深さを伝えることに成功した『ウマ娘』。
次は私たちにどんな驚きを提供してくれるんでしょうか?楽しみです。

WAVES/ウェイブス
10

映像美に心打たれるプレイリストムービー

2020年7月10日に公開されたA24制作による「WAVES」。同映画のストーリーは全体的に暗い雰囲気の中にある。ある日のパーティの夜を境に家族と築き上げてきた当たり前の日常を、そして目の前の大切な人を失ってしまう兄の姿が描かれる前半パート。後半には家族が再び幸せの形になれる様に願いつつも、自身も傷が癒えていない状態の妹。そんな兄と妹の姿を描いた物語である。同映画のスコア音楽には英国のバンド、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナー&カッティ・ロスが担当。さらにアメリカの熱狂的なファンに支持されるアーティストの一人、フランク・オーシャンやデビュー後から第一線で活躍するケンドリック・ラマーなど、欧米を代表するアーティストが名を連ねて劇中の挿入歌として使われている。制作会社のA24の特徴として映像美に焦点が置かれることが多いが、同作でも映像美は美しく儚い、それでいてキャラクターの個性一人ひとりの感情の表現が上述の様々なアーティストを比喩的に用いることで、曲が流れた際の劇場の熱気が高まる作品である。また、兄妹のパートが2分割で分けられている映画の構成も少し特殊で興味深い。前半パートは兄が堕落していき家族がバラバラに、後半パートでは妹が自身の傷と共に友人や恋人を通して再生していく希望の物語でもある。躍動する音楽、繊細な映像美は新たな映画体験として記憶に残るだろう。