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9fkobachiのレビュー・評価・感想

言の葉の庭 / The Garden of Words
10

すべての描写に心がギュンとする

私がオススメしたいのは新海誠監督の映像作品、「言の葉の庭」です。
新海誠監督といえば、2016年公開の「君の名は。」や、2019年公開の「天気の子」を追い浮かべる方が多いかもしれません。
まずは概要です。「言の葉の庭」は、2013年公開の作品になります。主な登場人物は、靴職人になることを夢見る男子高校生と、社会の中でうまく生きることができなくなってしまった高校教師の女性。雨の日がそんな彼らを繋ぎます。映画となると長いイメージがありますが、「言の葉の庭」は40分程度のショートムービーで、気軽に鑑賞することができます。
次に、私のオススメポイントを2つ紹介します。1つめは、圧倒的な映像美です。新海誠監督の作品はその描写の美しさで名高いですが、この「言の葉の庭」も例に漏れず、どのカットも繊細で美しい描写にあふれています。自然も、高層ビルも、ベランダの枯れた植物でさえ、すべてが「作品」として洗練されています。
2つめは、対照的な2人の登場人物です。大人になるとはどういうことなのかをわからないでいる高校生。がむしゃらに生きる中で、彼には彼の悩みがあります。将来への不安、自分の思いと他者の願いに葛藤することもあるでしょう。一方で、大人になるとはどういうことなのか、社会の現実を突きつけられ、その波に揉まれてしまった高校教師。すべてが怖くなってしまって、何を取り柄に生きていけばいいかを見失った彼女にもまた、彼女の悩みがあります。すっかり弱くなってしまった自分が情けなく感じて仕方がないことでしょう。そんな、違った境遇にある2人の思いを、それぞれの視点で寄り添うことができます。彼ら視点の台詞も多く、察することが苦手な方でも彼らの思いを十分にくみ取ることが出来るでしょう。特に年齢が近い若い方は、高校生と社会人両者の気持ちに共感することができるかもしれません。
鑑賞終了後には、とても暖かく穏やかな気持ちになります。2人の決断を最後までぜひ見届けてください。ちなみに、小説版ではさらに細かな心情描写や、気になる彼らの未来についても言及がされています。そちらもぜひ。

BES
8

Music is my road

大阪を拠点とするレゲエシンガーBES。
デビュー当時はNO-2という4人組ユニットの1人としてマイクを握っていたが、ずば抜けた才能とハスキーな歌声でたちまち頭角を表しNO-2解散とともにソロ活動をスタートさせる。
大阪の老舗スタジオでもあるカエルスタジオの一員となり、そこで出会ったレゲエDJでもありトラックメーカーでもあるREDSPIDERとの出会いがBESの躍進へと繋がっていく。
その後、REDSPIDERと共に、いくつもの歌をスマッシュヒットさせることとなる。
そんな彼の代表的な歌といえば『PARADAISE NOW』だろう。
夏のレゲエイベントといえば必ずサウンドマンがかけるであろうアッパーチューンのひとつ。
BESのハスキーな声とワイルドな容姿に誰もが暑さなど忘れて盛り上がる水分補給必須の1曲。
この曲無しではBESを語ることは出来ない。

今現在はカエルスタジオを抜けアコースティックギターひとつで全国各地ライブを回っている。
レゲエというジャンルの枠を超え、自分の気持ちを歌に込めストレートに表現出来るBESの歌声は今も尚ファンのみならず皆の心に響いていることだろう。
今後も更なる挑戦や期待に目が離せない一人である。

ホステル
8

グロさと人間の奥深さ

2005年上映の映画で、3人のバックパッカーが理想郷のようなハーレムを目指します。
旅の途中、一人の老人と出会い、老人の幸せそうな話を聞いたりしながら、ついに理想郷にたどり着きます。
最初からやれる女を探す旅をする話という、何ともしょうもない内容ですが、理想郷は思っていたところとは全く違ったんです。
この3人のようなしょうもないやつらを、金持ちが好きな方法で殺せるという場所でした。金持ちにとっての理想郷だったわけです。
3人は囚われ、そのうち2人は殺されてしまいます。1人だけ脱出に成功し、ロッカーにたどり着き、殺す側に変装すると、1人の殺す側=金持ちが話しかけてきます。「お前はどうやって殺す?俺は殺したくて高い金払って会員やってるんだ!」と興奮気味。そんな彼を置いて逃げ出す途中、拷問を受けていた女性出会い、たまたま逃げ出す事に成功します。その女性はもう顔面がドロドロ状態でしたが、何とか2人で駅までたどり着きます。もう少しで隙を見て電車に乗れる、そんな時に初めて女性はガラスに映った自分の顔をみてしまいます。絶望した彼女は、電車には乗らず、電車に飛び込んで自ら命を立ちました。
辛くも脱出に成功した男は、偶然旅の途中で出会った老人を見かけます。その老人の指には、あの理想郷の会員である証拠の指輪が。
あんなに穏やかで幸せそうな老人も、あの場に行っては無惨に人を殺していたんです。
老人がトイレに入るのを見て、男は後を追います。清掃中の看板を置き、老人を殺してしまいます。ここで物語は終わりです。
非常に後味が悪い映画ですが、人間の奥深くの心理を見たような気がして考えさせられる映画かと思います。