2o5024love8585@2o5024love8585

2o5024love8585
2o5024love8585
@2o5024love8585
3 Articles
2 Reviews
0 Contributions
0 Likes
2o5024love8585

2o5024love8585のレビュー・評価・感想

わたしはロランス
8

愛する人のすべてを愛することの難しさ

舞台はカナダのモントリオール。国語教師をしている恋人のロランスからある日「女性として生きていきたい」と告げられたフレッド。
その告白に苦しめられるも、フレッドはロランスの想いを理解し、今まで通り愛していこうと心に決める。
本当の自分を取り戻していくロランス。その変わりゆく姿に戸惑いを隠せないフレッドであったが、自分の感情に葛藤しながらも、ロランスを愛し続けようとする。

LGBTQ(性的マイノリティ)を題材にしている映画は、当事者側からみた「社会の中での生きずらさ」をテーマにしているものが多いが、この映画はその当事者を愛する者や当事者と共に生きる人々の視点がメインであり、当事者とは別の苦悩、「受け入れることの難しさ」をテーマに描かれている。
実際社会の中でLGBTQは少数派なので、当事者ではない大多数の人がこの映画を鑑賞することもあり、このテーマに共感する人は多いのではないかと感じる。
当事者側の視点というのは、正直なところ当事者にしかわからない部分がある。
一方、その当事者に寄り添う側になることは誰しも起こりうることで、これはLGBTQに関わらず、愛する人と今までのような関係ではいられなくなることがきっと人生の中であるであろう。
それは付き合いが長くなればなるほどいろいろな感情が交差し難しくなるもの。
この映画は愛する人が今までとは違う、別人になっても愛し続けることができるかということを考えさせられる。

52ヘルツのクジラたち
8

本屋大賞受賞作品【52ヘルツのクジラたち】

大切な人の言葉に、あなたは向き合えていますか。
他のクジラは聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭のクジラ。その孤独なクジラのように生きる主人公の女性貴瑚と、ムシのように扱われる少年が出会うお話です。
この作品は、町田そのこさんの作品で、本屋大賞も受賞しました。
この作品の鍵を握るのは何といっても登場人物たちの言葉です。私たちはいつも何不自由なく会話していると思っていませんか。聞き取れていると勘違いしていませんか。言葉は、どこまで社会が発展し、科学技術が向上しようとも、祈りです。どんなに大切な人の言葉も、すべてを受けることはできない。けれどそんな孤独と向き合い、乗り越えることはできます。人間は、52ヘルツのクジラのように届いているのか届いていないのかわからずとも祈り続ける、そんな孤独で優しい存在だとこの作品は教えてくれます。
またこの作品は、DVやネグレクト、ジェンダーなどの現代の社会問題を題材としており、時代とともに変化する孤独にあなたは何をすることができるのか。52ヘルツのクジラから発信される強いメッセージにあなたも心動かされます。ちりばめられた小さな小さな祈りに気づけずに傷つき傷つけ、それでも祈る主人公・貴瑚の言葉が、あなたにも届きますように。