ただの商業映画ではない。
皮肉。あまりにも。
「才能」と「売れる」ということの狭間。
いろんな意味で裏切られ、引き込まれた。歌の与える影響力ってすごいと感じ、何より2人が楽しそうに歌うから、楽しさが伝染してくる。
その分、後半へと進むにつれて悲しい、悔しいという気持ちが募る。前半の楽しさ、明るさからは予想ができない。先にも述べたように、才能と売れるということは、違う。売れるためには犠牲にしなければならないこともあり、楽しいだけ、やりたいだけではやっていけない。華々しい活躍の陰に隠れる闇や影。今もなお活躍している多くの芸能人や芸人、アーティストにはこの苦しみがあるのだろう。
私たちが期待すればするほど、不安に押しつぶされそうになる。そして、本来は不安の支えになる愛すべき存在が、守りたい存在へと変わると、相手のためを思って自らを犠牲にしてでも守りたいと思ってしまうのだろう。でも実際は、それは優しさではなく、苦しみを与えてしまっているだけ。
アーティストや芸能人、芸人その他多くのクリエイターなど皆様、夢や希望、勇気や元気をくれてありがとう。どうかどうかご自愛ください、と思ってしまう映画。
ラモンみたいな友達欲しい。ノるときノッて、嬉しいとき一緒に喜んで、全力で応援して、悲しいときは側にいてくれる。有名になったから側に来るやつとかじゃなくて、「友達」でいてくれる。
ジャックのバンドメンバーも優しい人たち。笑顔が素敵。どんな時でも支えてくれてる人たち。
あまり描かれてないけど、そんな人たちだろう。だといいな、と思う。
兄もなんだかんだでいい人。唯一の肉親。なんだかんだで、理解してくれるのって肉親だったりする。良くも悪くも。
CMでは、この映画のポイントをレディガガが主人公であることと謳っており、明るいドラマの商業映画かと思っていたが、想像以上に深みがある映画であった。