Fate/stay night [Réalta Nua]

Fate/stay night [Réalta Nua]

『Fate/stay night [Réalta Nua]』は2007年4月19日に角川書店から発売された伝奇活劇ビジュアルノベルゲーム。TYPE-MOON開発の『Fate/stay night』の性的な表現などを削除し、追加のラストエピソード「“Réalta Nua”」(レアルタ ヌア)などを加えた作品である。シナリオの削除による部分的な内容の変更が発生しているために、原作PC版と区別する場合がある。
冬木市で行われた第五次聖杯戦争を描いた作品で、原作と同じく"Fate"(セイバールート)、"Unlimited Blade Works"(遠坂凛ルート)、"Heaven's Feel"(間桐桜ルート)の3つのルートがある。ラストエピソードの「“Réalta Nua”」は3つのルート全てを攻略すると出現する。

Fate/stay night [Réalta Nua]のレビュー・評価・感想

Fate/stay night [Réalta Nua]
10

正義という有り方を考えるための一つの指標

10年前に起きた死者・行方不明者数百人という原因不明の『冬木大災害』。それを辛くも生き延びた主人公『衛宮士郎』は、『魔術』と呼ばれる異能の力を使う事以外は、ごく普通の高校生だった。
友人の頼みごとで帰りが遅くなった際に、偶然から超人・超常的な戦闘の現場に巻き込まれ、口封じに殺されかかる。
辛くも難を逃れるも、士郎の生存を確信し追ってきた『ランサー』と呼ばれる存在に再び追いつめられた刹那、右手の疼きと共にとある存在を"召喚"する。
「問おう、あなたが私のマスターか」
相棒である『セイバー』と呼ばれる少女と共に、巻き込まれる『聖杯戦争』と呼ばれる魔術師同士の殺し合い。
それは10年前の大災害の原因でもあり、紆余曲折ありながらも、そんな殺し合いを止めようとする士郎。
だがそれは、生半可な覚悟を有する戦いではなかった……。

爆発的なヒットで今までにもさまざまな派生作品が登場したFateシリーズの1作目の移植作。
総プレイ時間は40時間を超えるとも言われており、読み応えのある文章と熱い展開で、多くのファンを魅了した。

物語は大きく3つに分かれ、主人公とセイバーの交流と互いの想いをぶつけ合う『Fate』ルート。
主人公の心の『歪み』が大きく取り上げられ、主人公の信じる正義に疑問を投げかける『Unlimited Blade Works』ルート。
全ての謎が解き明かされると同時、主人公がある一つの『答え』を導き出す『Heaven's Feel』ルート。
それらを全て攻略して、やっとわかる物語、世界観の大きさや、弟切草やかまいたちの夜などに代表される、小説を読むような所謂ノベルゲームと呼ばれるものとしては画期的とも言える音やモーションを利用したハイスピードでカッコいい戦闘シーンの表現など、気づけば時間の許す限りプレイしていて、すべてが終わった後の読了感は、しばらく他の事に手が付かないくらいであった。
ただ、劇中に登場する専門用語など、ある程度理解が無いと難しい場合もあり、そのプレイ時間から、時間的に余裕のない現代人がやるには、敬遠されてしまう可能性もあるが、もしもFateのシリーズを理解したい場合には、連休などを利用してやることをお勧めする。

世界観に嵌れば、決して損をするような事は無いと断言できるゲームである。