悪魔のいけにえ / The Texas Chain Saw Massacre (1974 film)

悪魔のいけにえ / The Texas Chain Saw Massacre (1974 film)

『悪魔のいけにえ』とは1974年に公開されたアメリカのホラー映画である。監督・製作・脚本をトビー・フーパーが務めた(脚本はキム・ヘンケルと共作)。テキサス州に帰郷した五人の男女が、人の皮で作ったマスクを被った大男のレザーフェイス(ガンナー・ハンセン)とその一家に不条理に襲われ殺害されていく物語である。ホラーながらも笑えるシーンも多々あり、無名俳優を起用し低予算で製作されながらも、人気のある作品である。

悪魔のいけにえ / The Texas Chain Saw Massacre (1974 film)のレビュー・評価・感想

悪魔のいけにえ / The Texas Chain Saw Massacre (1974 film)
9

日本人はあまり知らないのに知っている、伝説のホラー映画

「チェーンソーを持った殺人鬼といえば、『13日の金曜日』のジェイソン」というイメージを持つ方はいまだに多くいます。しかし、実はジェイソンがチェーンソーを武器として使用したことはありません。
チェーンソーを武器に人を襲うのは、本作の殺人鬼であるレザーフェイス。日本ではホラー好き以外にあまり知られていない印象がありますが、やはり映画の殺人鬼としては有名であるためにレザーフェイスとジェイソンが混同されたと推測されます。

「レザーフェイス」というこの殺人鬼の名称は彼の特徴であるマスクにあり、直訳すると「革顔」ですが、この革というのは人間の皮のことで、彼は手にかけた人間の皮を自分の顔を隠すマスクとして着用しています。
彼自身には知的障害があり、行動にも幼さが見えるあたりからも猟奇的犯行は彼単独の意思ではなく、彼の猟奇的な家族の指示であることが窺えます。この家族は人間や動物の肉体を嗅ぐためとしても使用しており、レザーフェイスのマスクもその一品でしかありません。

現実として、過去の猟奇的事件には人間の死体を使用して家具を作成していた「殺人鬼」と呼ばれる犯罪者がいて、この映画はそれがモデルになったと考えるファンも多いです。

レザーフェイスは非対称鬼ごっこ形式のホラーゲームDead by Daylightに殺人鬼側としてDLCプレイアブル化しているため「映画は見たことがないけど知っている」という方も多いようです。
後の多くの作品に多大な影響を与えた伝説のホラー映画として、1974年公開から時間の経った今でも視聴時には圧倒されます。

悪魔のいけにえ / The Texas Chain Saw Massacre (1974 film)
10

奇跡の作品B級ホラーの金字塔

若者が夏休みに旅行に行った先でひどい目にあう、というとてもありきたりなストーリーなのですが、この作品には他では味わえない言いようの無い魅力が宿っています。

まず特筆すべきが小道具、セットの素晴らしさ。
冒頭に出る死体の人形?や本物の動物の死骸、骨を使った意味不明な小物達。この作品の小道具達は今のCG技術では感じることの出来ない「不快感」や「不快感」を強烈に感じさせてくれます。
そして過酷な撮影環境がもたらした最高の演技、空気感。この作品、超低予算で作られている為、殺人鬼の衣装が1着しか用意出来なかったと言います。しかも、汚れなども計算されて作られている為、洗う事が出来ず真夏の撮影中ずっとそれを着続けなければならなかったようです。
他にもヒロインの口をふさいだ雑巾はその辺に捨ててある適当な物を使用したとか、猛暑の中27時間以上撮影が続けられたとか、極めつけはとある人物が自分の手を嬉しそうに切るシーンが有るのですが小道具の不調でナイフから血が出なくなってしまい。実際に自分の手を切る事になってしまったのです。
そんな過酷な撮影がホラー映画というジャンルにもたらした影響はとてつもなく大きかったようで画面越しでも腐敗した臭いが伝わって来るかのような感覚にさえ陥ります。B級ホラーの入り口にも、最近のホラーしか観たことが無く昔の映画も観てみたいという人にもお勧めのホラー最高傑作です。