人と人を結ぶもの
主人公の名前は「ナサ」。星空と書いてナサと読む。自分の不注意でトラックに轢かれそうなところ身を挺して庇ってくれたのが、後に彼と結婚する「ツカサ」という少女である。自分から遠ざかる彼女を見て彼は思った。「まるで、かぐや姫のようだ」と。そう、これは竹取物語の続き。月へと帰っていくかぐや姫を引き止め、愛でたく結婚した夫婦のお話だ。この作品、竹取物語がベースとなっているお話なのだが、もう一つ主軸に置いているのが「人と人の関係性」だと思う。
結婚から始まった夫婦の物語だが、一人の少女の願いを叶える物語でもある。サブタイトルの意味に気付いたとき、私は身震いした。そして、「死ねない彼女」は多くの人の死を見てきた。だからこそ、そんな彼女は結婚という関係を避けていた。「自分よりも」早く死んでしまうのだから。多くの人間が、彼女のためにその命を燃やした。そのバトンが彼の手に渡され、そして消えていった…。
荒んだ心に染み渡る。人の温かさ。生き方を見つめ直す作品になると思う!
そして、この物語の終わりに、私の中に何が残るのか。あなたの中に何が残るのか。この気持ちを一人でも多くの人と語り合いたい。
これも、人と人を結ぶものなのだから。