娼年

娼年

『娼年』とは、2001年に出版された石田衣良の恋愛小説である。異性関係にも肉体関係にも楽しみを見出せない大学生・リョウが、女性向けクラブのオーナーに誘われて男娼として働いたひと夏を描く。直木賞候補にも選ばれ、続編の『逝年』とともに漫画化された。さらに2016年に舞台化、2018年に実写映画化も行われ、いずれも主演は松坂桃李が務めている。

娼年のレビュー・評価・感想

娼年
10

タイトルなし

映画全体の雰囲気や音楽もいいし、女優さん達もそれぞれ上手で影があるのに上品な喋り方が良かった。
同級生の子が桃李君を買ったシーンは泣けた。
小指を折るシーンは怖くて悲鳴ものだったが、エクスタシーを感じる人も世の中にいるのだろう。
この映画は本当に魅力的な桃李君だから出来た役だ。
人の闇、色々な性癖、欲望、決して胸を張れる昼の仕事ではないが、需要があるそれが現実だと思う。その闇の世界を綺麗な映像で見やすくしてくれた、プロ根性の本物の俳優達に拍手を送ります。本作品は終始SEXの映画。男とおんなの性であり、笑いであり、一言で言うと「素晴らしきかな人生は...」といったバラエティーに富んだ作品。

原作未読だが、石田衣良原作と言うことでスタイリッシュなイメージでハードルは上がってるのだが、見応えは十分であった。とにもかくにも女優陣の裸体は美しくて素晴らしい。SEXの表現としてはギリギリまで頑張ったのだと思う。

大人の文学なので、若い世代が見てもしっくり来ないのは否めないが、ある意味性の教材として見るといい作品なのかと思う。男が体を売る。
このテーマで鼻から見たくはなかったジャンルだったが…。
ひとこと、”松坂桃李、半端じゃない!”やるじゃないか!
批評は二分すると思うが、あまりSEXに興味のない私には刺激的、いや、あおってくる、執拗なほど、淫靡なほどに…。
たぶん、若い子には、このアブノーマル?なSEXの世界観には、はまらないだろう…。
まさに、肉弾戦、桃李!
そして、みな出演者のためらいもない体当たりの演技も凄まじい。
これは、ある意味で、見る価値、アリです!

娼年
10

ファンタジーだと解っていても…

松坂桃李が文字通り体当たりで演じている作品です。
友人にすすめられて観に行きましたが、これは、話題になっているその激しい性描写の向こう側にある美しい人の心の物語でした。
「娼夫」としての仕事を始めた大学生の領が出会う女性たちは、皆それぞれにそれぞれに誰にも言えない性癖、そして想いを抱えて生きていました。
クラブのオーナー・静香の嗅覚は、一見、無気力な大学生だった領の内面にある、その稀有な資質を的確にかぎ分けていたのです。

彼は顧客たちの想いに応えるようにその肌に触れ、言葉を交わしていきます。

観る人の多くは、女性たちに自分らを重ねていくことでしょう。
領の存在は、ファンタジーなのです。
現実にあんな男の子はいない。
それでも、もし、この映画のようなクラブがあり、彼のような子が存在していてくれたら、きっと救われる、と思う。
描写の激しさはそのころにはもう問題ではなく、ひたすらに、非現実のファンタジー世界にいる妖精のような存在に見えてくるのです。
逆に、生々しさは薄れ、松坂桃李という器を通してみる世界、そして幸福な微笑みを見せる女性らに自分を重ね、心を満たされて席を立つのだと思いました。
この数年で、最も「感動」した作品でした。
だまされたと思って、観てください。
美しくて、心が震える映画です。