イップ・マンシリーズ

イップ・マンシリーズのレビュー・評価・感想

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イップ・マンシリーズ
9

イップマンという中国武術の達人を中心とした映画

中国武術の映画になります。「詠春拳」という武術と、その使い手であるイップマンの物語です。シリーズ化されており、何作かありますが、全部観ました。どのシリーズの作品もおすすめです。
個人的に興味をそそるポイントは多々あるのですが、一番注目すべきところは「実話」であるというところです。昔からアクション映画などは大好きで沢山観てきたのですが、この映画は一味違います。今までと違う点は「架空の話ではない」というところです。例えば、アクション映画や中国武術の映画の今までの経緯では1人対複数の戦いになったりする場面があるのですが、実際にはどんな格闘技の達人でも5人以上の相手をするには無理があります。戦いの仕方にもよりますが、背後をとられたり、つかまれたりしてボコボコにされるのが現実だからです。しかし、この武術の使い手によるものは本当の話で、複数の相手と戦う場面があり、相手を倒すことが実際にできるのだということが可能であると証明されます。時代の背景もありますが、法というものを守り、従うことに忠実であるかどうかは本当のところ、わからないものです。如何に平和であっても、自分以外の他人がどんな状況で暴力を振るうかどうかはわからないものだからです。主人公のイップマンは詠春拳の達人ですが、その凄さに圧倒されます。人を殺すことは犯罪になり、暴力をふるうことも犯罪ではありますが、相手を殺さず、正当防衛で暴力を振るう人を封じ込めるところに武術の大切さを痛感させられます。また、詠春拳は世界最速の武術と伝えられており、「戦い方=捌き方」の構図も考えさせられます。

イップ・マンシリーズ
8

ブルース・リーの師匠イップ・マンの戦いを描くアクション大作

ブルース・リーは亡くなって45年経った今でも知る人は多い。だがブルース・リーに師匠がいたことを知る人はきっと少ないでしょう。それがこの映画の主人公イップ・マンという方です。
この方は中国拳法・詠春拳の使い手で、それまでの陰陽、五行、八卦などの東洋哲学的論理からなる体系を一新し、現代的、科学的理論体系を作り上げた人なのだそうです。
そして人を惹きつける人柄で、映画内でのセリフにもなっている「カンフーは喧嘩のためのものではない。他人を虐げるためにそれを使えば、勝っても負けてもそれはただの負けでしかない」という言葉を残す人格者でもあったそうです。現実にもこういう人がいるんだなぁと感心してしまいます。
現在第三部まで作られているのですが、映画の内容としては勧善懲悪、侠客物で当時実質統治していた日本軍人やイギリスの警察組織などを露骨に悪者に仕上げているので見る人を選ぶ部分もあるでしょうが、そんなものが気にならなく程どの作品もアクションシーンの完成度が高いです。
詠春拳は手数とそれを急所に叩き込む技術が重視されるらしく、日本映画の殺陣とは違ったスピーディで正確、そして派手なアクションシーンは必見。木人椿を使ったトレーニングシーンを見るだけでも役者の方々がどれほどの研鑽を重ねたか、そんなことに思いを馳せるほど圧巻です。
惜しいところといえば、今のところブルース・リーの出番は後に弟子になることを匂わせる程度で本格的な参戦は果たしていない点でしょうか。そこは現在撮影中らしい4部に期待したいところです。
それと注意していただきたい点は、同じ主題の同名作品が他にもあることです。そこは主演がドニー・イェンであることをチェックしておけばたぶん回避できると思います。
全部観るとなると少し長くなってしまいますが、おすすめの作品です。是非ご覧になってください。