アンシャントロマン 〜Power of Dark Side〜

アンシャントロマン 〜Power of Dark Side〜のレビュー・評価・感想

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アンシャントロマン 〜Power of Dark Side〜
3

極めて異質で前衛的なゲーム

「ファイナルファンタジー7」にインスパイアされ、製作されたPlayStation用ゲーム。
声優を採用しており、メインキャラ全員にボイスが充てられている。ムービーシーンも多い。
最初に断言してしまうが、お世辞にも1998年のゲームとは言えないクオリティに仕上がっている。
まず最初にムービーシーンが不自然な出来で、一切表情を変えないキャラクターやアニメ・シリアスのさじ加減を間違えている演出、一部声優が棒読みだったり滑舌が悪かったりと問題点だらけである。そのグラフィックもチープだと言わざるを得ない。
ゲームシナリオは王道路線である…と思わせておいて、伏線を未回収だったり、主人公が悪役も真っ青なとんでもないことを言い始めたりと、ツッコミどころが満載で飽きさせない。
最もいただけないのはUIや操作性などで、ファミコンのRPGにすらあるような要素が無かったり、マップのどこを移動しているのか分かりづらかったり、ラグや処理落ちで快適にゲームプレイができなかったりする。この部分さえ解決してしまえば、色々な面で面白いゲームとして楽しみながらプレイできるので惜しい点だ。文章において、一部の漢字がそのまま平仮名になっており読みづらいのも難点("出きる" など)。
ではキャラを操作せずBGM鑑賞用としての使用も考えたが、そのBGMまでもが破綻しておりモヤモヤしながらプレイすることになるだろう。
パッケージイラストはそこそこ良い出来で、キャラも可愛く描かれており親しみやすい。
当時は知る人ぞ知るとんでもないゲームだったが、最近では動画サイト等で徐々に認知されており、変な方向で人気のゲームとなっている。誇張抜きで1円で売り買いされていたゲームだったが、近年ではその数千倍の価格になっており謎のプレミアがついている。

アンシャントロマン 〜Power of Dark Side〜
2

一周回って芸術作品として評価したい。

昨今のゲームではなかなか味わえない、全方面にわたる不親切さが特徴。

オープニングで"主人公の身分"をさらっと表示するという、大胆なネタバレが待ち受けている。
いきなり重要な設定を流され、どんな心境でプレイすればいいのだろうか。
OP後のムービーも「目を見開いたオッサンのポリゴンが砕け散る」というシーンが印象的で、本作品を語る上で必ず話題にしたい内容の1つ。

BGMも多くが首をかしげるような出来で、目が覚めること間違いなし。
加えてバリュエーションも乏しいため、曲の使いまわしが非常に目立つ。
ちなみに、サウンドトラックの音源は上出来なので聞き比べてほしい。
RPGの要である戦闘もバランス崩壊気味。

攻撃時の効果音が乱暴、かつ読み込みに1秒足らずのウェイトが入るので煩わしい。
戦闘エフェクトも安っぽいので、一連のバトルが作業のように感じてしまう。
その他、グラフィックやボイスも技術不足。
ストーリーも練り込まれておらず、急展開やご都合主義が多い。

メジャーではない部類のゲームだが、オープニングからエンディングまでネタに事欠かない作品。
「時間が余っている+過去のゲームに興味がある」のなら、手を出してみては。
ちなみに私は、未だに所有している。