スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』とは、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』で有名な押井守監督による作品である。声優陣に加瀬亮や菊地凛子、竹中直人を迎える。完全な平和が成立している時代。戦争はショーとして存在している。ショーは空でのみ繰り広げられ、殺し合いを成立させているのは年を取らない子供たち「キルドレ」である。彼らは毎日同じ日々を過ごす。戦争を仕事としてこなしながら、死なない限り、毎日同じ日々がやってくる。何かを変えたくても変えられない人々の日常。

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スカイ・クロラ The Sky Crawlersのレビュー・評価・感想

スカイ・クロラ The Sky Crawlers
9

「太陽があんまりにも眩しかったから」

「キルドレ」私たちは映画のテーマでもある、それを憶測で語ることしかできない。
なぜなら作中、一度もキルドレという謎に対して有効なアプローチなどないからだ。
まず「キルドレ」を説明すると、文字通り大人になれない子供たちのことだ。ではなぜそうなってしまったのかということは上記した通りさっぱりわからない。
私たちはわからないを背負って、この映画を見て分析し、見終わったあとには、一段と大きくなったクエッションマークを頭に浮かべるだろう。
主人公は戦闘機に乗り、基地へと無事に帰還したら無感動に女を抱く。
この映画には、愛だの友情だのと世間であれだけ騒がれているテーマはまるでない。むしろそれらが存在しない世界に彼らは生きている。
映画を見終わったあと、その不可解な内容にもう二度と見たくないと言う者も大勢いるだろう。なぜなら、普段私たちが手掛かりにしている、愛、友情、家族といったキーワードがまるでないのだから。
だがその反対にまるで宗教のように、この世界観にどっぷりと浸かってしまう者もいる。
私がそうだ。普段煩わしいと思っている概念は、所詮人間が作った概念。だがそれゆえに私たちは、感情を摩耗しながら生きている。
自分の人生なのに一つも思い通りにいかないと思うかもしれない。
ただスカイ・クロラの世界はうんざりするほど主張が激しい、愛だの友情だの家族だのという概念を一度方から下ろしてみることができる。
その世界はあまりに誠実に見えるし、純粋にも見える。透き通っている
もはや私たちはキルドレの謎の解明という使命を忘れる。
ただ映画を見ることによって、束の間、ある種の自由を獲得することができるのだ。

物語は起伏がなく、大きな展開や派手な演出もない。キルドレの恒常的な日常が描かれている。それなのに魅了され続けている。何年経っても、何年経っても戻ってきてしまう。

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