マイルス・デイヴィス

マイルス・デイヴィスのレビュー・評価・感想

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マイルス・デイヴィス
9

モダンジャズの帝王 その生き様

Miles Davis(マイルス・デイヴィス)はアメリカ合衆国イリノイ州オールトン出身のジャズトランペット奏者、作曲家、編曲家であり、数多の世に放った名演奏と作品たちはジャズ界に大きな影響を与えました。
音楽において自身の探求は凄まじく、人種差別による白人と黒人の対立が激化する時代の中、『良い音を出す奴に人種は関係ない』というスタンスを一貫し、ジャズというジャンルの枠に収まらない、ある意味音楽によって人種を一つにした稀有な存在です。
名盤といわれる『カインド・オブ・ブルー』では従来のコードトーンを意識した音選びではなく、クラシック的な教会音楽にみられるスケールでの音選び、『モード奏法』という新たな演奏のアプローチを実践し、一つのジャズの在り方を確立させました。
モダンジャズ屈指の傑作と称される本作は、革新的ながら聴きやすくジャズのお手本ともいわれ初めてジャズに触れるリスナーにとって登竜門のような作品でもあります。
また常に新しいことへの追及を求め、『In A Silent Way』でもみられるジャズにして初めての電子楽器導入など常にジャンルを越えたパイオニアのような存在です。
マイルス・デイヴィスが残した信念とその情熱で作られた作品たちは今も多くのミュージシャンに影響を与えています。
モダンジャズの帝王の生き様、是非堪能してください!

マイルス・デイヴィス
7

80年代のマイルス

70年代後半から80年代初頭まで病気療養中だったマイルスが81年「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」で復活!活動凍結前の「アガルタ」「パンゲア」などの諸作品は演奏時間が20分ぐらいの曲が殆どだったが、フュージョンブームの影響もあってか復帰後の曲は10分以下と聴きやすくなっている。
世間的評価では「ユア・アンダー・アレスト」と「TuTu」だろうか。前者ではマイケル・ジャクソン、シンディー・ローパー、後者ではスクリッテイ・ポリッティをカバーしている。あとはマーカス・ミラーとの共同クレジットになる「シエスタ」だ。これは映画のサントラ盤だが一つのアルバムとしても十分に鑑賞できる作品だ。
やはり80年代のマイルスを語るにおいてマーカス・ミラーの存在は大きい。「シエスタ」の次の作品は「アマンドラ」だがここでもマーカスが大半の曲を提供している。特に前述の「TuTu」では殆どの楽器をマーカスが担当していることに注目してもらいたい。当時マイルスは60歳、マーカスは27歳だったが年齢の壁を超越していたように思える。とはいうもののライヴ・ステージでのサポートではマーカスは’83年初頭までとなっている。アルバムとしては前述の「アマンドラ」の次は「ドゥー・バップ」が最後のスタジオ・レコーディングだ。