スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight

スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight

『スポットライト 世紀のスクープ』とは2015年に製作された伝記・犯罪・ドラマを扱ったアメリカ映画である。第88回アカデミー賞において作品賞を受賞するなど、様々な映画賞で受賞する非常に大きな評価をされた作品である。カトリック教会の神父による小児への性的虐待への真相を暴いた、新聞社『ボストン・グローブ』の特集記事『スポットライト』を担当しているメンバーが奔走する姿を描いた、実話に基づいている。監督はトム・マッカーシーが務め、『アベンジャーズ』シリーズのマーク・ラファロらが出演した。

スポットライト 世紀のスクープ / Spotlightのレビュー・評価・感想

スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight
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ジャーナリストのあるべき姿

米国の新聞「ボストン・グローブ」の《スポットライト》という名の特集記事を担当する記者たちが、牧師たちの性的虐待と組織ぐるみの隠蔽の闇をあばきだした様子をみせる実話を基にした映画です。日本に住む私にはあまり馴染みはないことですが、キリスト教徒がたくさんいて、それぞれ行く教会があってという世界で、教会を標的にするのはとても大変だし勇気のいることだったと思います。それでもジャーナリストとして、取材を続ける記者たちはかっこいいと思いましたし、ある意味、よそ者の編集長が来たからこそできたことだなと思いました。教会による性的虐待は、よく映画でも題材になったり、ニュースになっていたりするのであるのは知っていましたが、ここまで多くの事件があったとは驚きでした。こんなに頻繁に起きていたのなら、誰だって被害者たりえたはずです。自分の子どもたちのことを思ったり、もしかしたら自分が被害者だったかもしれないと感じた記者たちの気持ちがよくわかりました。この頃のマスコミとかは、事件が起きた時、すごい取材合戦とかして被害者の気持ちを考えてないと思うことが多々ありますが、この映画のジャーナリストこそ、ジャーナリストのあるべき姿だと思います。

スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight
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信仰と報道ー真実が向かう行先

神父による児童虐待を暴いたボストングローブの記者たちを描いた作品。
カトリック信者にとって心の拠り所となる神父による児童虐待。その事実にも衝撃を受けるが、事件そのものを何年にも渡り、組織で隠ぺいし続けていた、というにわかには信じがたい目を背けたくなるような真の事実にはまさに「開いた口が塞がらない」状態。その規模の大きさに、劇中でその事実が明るみに出たシーンで記者たちが言葉を失くしたように、私もまさに言葉を失くし、吐き気すら覚えた。体験者の団体、SNAPの代表の「精神のレイプ」と訴える言葉、「priests...!」とつぶやくセリフが胸を貫く。
ボストン、というカトリック教徒が比較的多い地域で、その事実を知り、公表することの辛さ、難しさ。それでも真実を追い続けた記者たち。取材をしていく中で家庭やプライベートや、自らの信仰心をも犠牲にしながらも真実を追い続ける姿は、まさに記者とは、報道とは何なのかというその神髄を見るようだ。そして取材の中で見える様々な人たちのすべては、現代のアメリカ、カトリックの姿を浮き彫りにしている。
エンディング、記事となって世にで出たシーンは本当に爽快で、真実の反響は凄まじいものであったのだが、実はつい先日もペンシルバニアで70年にも渡る児童虐待が明るみになっている。まだ続いているのである。今カトリック教会は次々に起こされた裁判で破産が相次いでいる。私はこの映画をきっかけにボストングローブのネット版を定期購読している。スポットライトも健在で、この児童虐待も加え、さまざまな記事を提供し続けてくれている。この映画を通じて、キリスト教の人も、そうでない人も何かを感じてもらいたい。