花芯

花芯

『花芯』とは、2016年に公開された日本映画である。原作は瀬戸内寂聴による1957年の恋愛小説。村川絵梨演じる園子は、親が選んだ雨宮清彦(演:林遣都)と結婚する。しかし園子は夫の上司である越智泰範(演:安藤政信)に惹かれてしまい、初めて抱いた恋心に戸惑う園子の葛藤を描く。「子宮」という言葉が多く登場し、原作小説出版当時は批判も多い作品だった。

花芯のレビュー・評価・感想

花芯
7

表情の変化に注目

ロボットのように無表情だった、村川絵梨演じるヒロインの園子ですが、越智と出会った後に表情が出てきます。ただしそのまま表情豊かになるかと思いきや、じきにまた彼女から表情が消えてしまいます。だからこそ、表情を見せる数少ないシーンでの彼女は、非常に魅力的だったり、逆にとても醜かったり、目を離すことができません。この役を演じた村川絵梨の演技力に脱帽です。
園子のような女性は、大抵の人、特に女性からは好かれないと思います。そういう意味で万民向きの映画とはとても言えませんが、戦後の自由な空気の中、女性の中に押し込められていたものが爆発する雰囲気をよく描いているのではないでしょうか。園子自身にも、恐らく自分がなぜこのようにしかなれないのか、理解できていなかったのだと思います。ただただ自分の中から出てくる衝動に身を任せるしかなかったのでしょう。
隠れた注目点として、村川絵梨と藤本泉の容姿が、見事に姉妹的な似方をしている点が挙げられます。映画やドラマでは、似ても似つかない人々が親子役・兄弟姉妹役を演じていることが多いので、村川絵梨と藤本泉を姉妹役に選んだ人に拍手を送りたいです。
なお、園子がトーストをかじりながら小説を書くシーンは、もちろんお行儀の悪いことをしているにも関わらず、蓮っ葉な感じが可愛く、なぜかとても印象に残りました。