ピエロがお前を嘲笑う

ピエロがお前を嘲笑う

『ピエロがお前を嘲笑う』(原題:Who Am I - Kein System ist sicher)とは、2014年に製作されたドイツ映画。日本では2015年9月に公開された。ジャンルはテクノスリラーである。監督はバラン・ボー・オダー、主演はトム・シリングが務めた。警察に出頭した天才ハッカーの自白から、彼らがどのような事件に関わったのかが描かれ、最後には衝撃的な事実が明らかになる。。ドイツ・アカデミー賞で6部門にノミネートされた作品だ。

ピエロがお前を嘲笑うのレビュー・評価・感想

ピエロがお前を嘲笑う
9

ネット社会って怖い

・あらすじ
警察に出頭した天才ハッカーのベンヤミンは、学校ではイジメられ冴えない男子学生。
バイトでも馬鹿にされ思いを寄せているマリにも相手にされない。
ある日思いを寄せるマリに試験問題をハッキングして手に入れようとするが失敗に終わり、罰として社会奉仕活動を命じられそこでそこで野心家のマックスと出会う。
2人はハッキングという共通の趣味で意気投合し、ハッキングにより世間を騒がせる。
ネット社会で有名なMRXに認めてもらうため世間を騒がせ殺人事件にまで関与を疑われ、国際指名手配される。ベンヤミンが語る真相とは。

・感想
機械やPC、インターネットに弱い私はハッキングといっても漠然としかハッキングのことを知りませんでした。
この映画を観てまだ、なんとなくですがハッキングの怖さを分かりました。
冴えない男子学生のベンヤミンがマックスの仲間とともにハッキングを繰り返し自分に自信をつけていき、ハッキングもどんどんエスカレートしていくストーリーも怖いですが、
ネット社会の複雑さや簡単にハッキングをやってのけ、個人情報などを最も簡単に抜き取ることができることに恐怖を感じました。
これからはどんどんとネットも進んでいき複雑化もしていくだろうと思うので「分からない」と初めから背を向けるのではなく、少しずつでも知っておくことが大切だと感じさせられた映画でした。

ピエロがお前を嘲笑う
1

これはダメでしょ

ドイツ製スリラー映画『ピエロがお前を嘲笑う』
ハリウッドリメイク争奪戦が繰り広げられる!や誰も結末を予想できないどんでん返しのマインドファック・ムービー!などの宣伝の謳い文句はすごいですが、実際に見てみてがっかりです。
ハッキング事件を起こし、殺人容疑もかけられている天才ハッカーの主人公は、警察に出頭し自分はある黒幕にはめられたのだとこれまでの経緯を自分語りで説明していくというあらすじですが、ここまでを読んで既視感を覚えるはずです。どんでん返しの名作「ユージュアル・サスペクツ」とまったく同じ構成です。
さらにオチは実は主人公が2重人格者でハッカー仲間などはおらず、すべて自分の犯行だった。
と思いきや実は主人公の作戦で2重人格者のふりをして逮捕を免れるといった具合に今度は「ファイト・クラブ」のオチにそれをちょっと捻っただけのオチ。
結末は誰にも読めないとの謳い文句ですが、過去の名作の良いところをパクっただけでこれといった目新しさもなく、オマージュにもなっていません。
また、主人公たちの動機づけが薄く(ハッカー界のカリスマに関心を持ってもらいたいから犯罪を繰り返す)、行き当たりばったりな行動が目立つのでまったく感情移入できません。
また、どんでん返しと銘打っていますが、それまでの伏線など特になく、主人公の自分語りだけで進行されるため、何が本当で何が嘘かわかりません。それだと何でもありになります。
意識してオマージュをしているのでしょうが、これでは元の作品に対しての愛が感じられません。
表面だけパクった独りよがりの作品だと感じました。

ピエロがお前を嘲笑う
9

トリックと人

この映画は主人公が殺人現場にいるところを映したところから始まり、その出来事が起こるまでの経緯を事情聴取の形で語りながら物語は進んでいきます。主人公はベンヤミンというスーパーヒーローに憧れを持った少年なので、自分自身を”透明人間”だというほど影の薄い人間です。
そんなベンヤミンが好きな女の子に大学の試験問題を盗んで欲しいと言われ、その子のために行動するのですが、あっけなく捕まり、その奉仕活動をしていた時にマックスという一人の人間に出会います。ここがベンヤミンの人生の転機で、マックスに誘われたベンヤミンは他の仲間とCLAYというハッカー集団を結成します。このクレイという「名前はピエロがお前を嘲笑う」を英語に訳した頭文字です。
映画のタイトルにもなっているピエロがお前を嘲笑うですが、個人的には英語のタイトルの『WHO AM I』の方がかっこいいのになと思いました。
クレイの犯行動機は、ダークネット界でカリスマ的存在のMRXという人に自分たちを認めてもらうことでしたが、MRXにはなかなか認められず、その方法をめぐってグループ内で対立していきます。
この映画のすごいところはトリックが所々に散りばめられているところとカメラワークで、最高の106分を過ごせます。