これはダメでしょ
ドイツ製スリラー映画『ピエロがお前を嘲笑う』
ハリウッドリメイク争奪戦が繰り広げられる!や誰も結末を予想できないどんでん返しのマインドファック・ムービー!などの宣伝の謳い文句はすごいですが、実際に見てみてがっかりです。
ハッキング事件を起こし、殺人容疑もかけられている天才ハッカーの主人公は、警察に出頭し自分はある黒幕にはめられたのだとこれまでの経緯を自分語りで説明していくというあらすじですが、ここまでを読んで既視感を覚えるはずです。どんでん返しの名作「ユージュアル・サスペクツ」とまったく同じ構成です。
さらにオチは実は主人公が2重人格者でハッカー仲間などはおらず、すべて自分の犯行だった。
と思いきや実は主人公の作戦で2重人格者のふりをして逮捕を免れるといった具合に今度は「ファイト・クラブ」のオチにそれをちょっと捻っただけのオチ。
結末は誰にも読めないとの謳い文句ですが、過去の名作の良いところをパクっただけでこれといった目新しさもなく、オマージュにもなっていません。
また、主人公たちの動機づけが薄く(ハッカー界のカリスマに関心を持ってもらいたいから犯罪を繰り返す)、行き当たりばったりな行動が目立つのでまったく感情移入できません。
また、どんでん返しと銘打っていますが、それまでの伏線など特になく、主人公の自分語りだけで進行されるため、何が本当で何が嘘かわかりません。それだと何でもありになります。
意識してオマージュをしているのでしょうが、これでは元の作品に対しての愛が感じられません。
表面だけパクった独りよがりの作品だと感じました。