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日本ロック界重鎮最高の轟音アルバム
このアルバムの凄いところはなんといっても、1つの作品として、アルバムの域を超えて、音楽を聴いているだけなのに、映画を見ているような錯覚にまで陥ることだ。
人の情緒を全てさらけ出したかのような、田淵ひさ子のギターの轟音は特にあなたの「胸を踊らせる」こと間違いなしだ。
そして、このblood thirsty butchers を語る上で彼を外すことはできない。それはボーカルギターの吉村秀樹だ。
彼の生き様は楽曲をより色濃くし、私たちをエモーショナルの「ocean」に連れ出してくれる。残念ながらというべきは、迷うところだが、彼は2013年の5月27日に急性心不全のためにこの世を去った。46歳であった。そんなこともありながら、ブッチャーズは僕たちに生きる希望を投げかけてくれる。同じ「サッポロ」のバンドはたくさんいるが、彼らは間違いなく伝説であろう。
僕は、向井秀徳率いるナンバーガールや、吉野寿の率いるイースタンユースも同じ音楽として大好きなのだが、なぜか核小体に染みるような音はブッチャーズ以外生み出せていない。彼の名盤中の名盤「Kocorono」をまずは手に入れて欲しいのだ。楽曲だけではない。アルバム全てが物語なのだ。吉村という男の人生を感じて欲しい。