勝手にふるえてろ / Tremble All You Want

勝手にふるえてろ / Tremble All You Want

『勝手にふるえてろ』とは2017年に公開された日本のラブコメディ映画。芥川賞作家の綿矢りさの原作小説を松岡茉優主演で映画化。10年間も中学の同級生に片想い中で恋愛経験ゼロのヒロイン「ヨシカ」。そんな彼女に人生初めての彼氏ができる。ヨシカは片想いだけど妄想彼氏の「イチ」と初めて告白されてできた彼氏・会社の同僚「二」で勝手に二股を作り葛藤する。傷つきながらも暴走する主人公をコミカルに描く。監督は『でーれーガールズ』の大九明子。「第30回東京国際映画祭コンペティション部門」で観客賞を受賞した話題作。

勝手にふるえてろ / Tremble All You Wantのレビュー・評価・感想

勝手にふるえてろ / Tremble All You Want
9

共感

松岡茉優さん演じるヨシカが、中学から片思いをしている「イチ」と、ヨシカに告白した会社の同僚「ニ」の間で、どちらを選ぶかに葛藤する恋愛コメディー映画です。
正直、「イチ」と「ニ」どちらを選ぶか結末が気になるといった感じではなく、日々「イチ」と「ニ」の間で葛藤しているヨシカを見ているのが面白かったです。
ヨシカは年齢=彼氏いない歴で、脳内に「イチ」を召喚し恋愛をしているこじらせ女子。映画は終始ヨシカの妄想が繰り広げらており、自分もこんな妄想したことあるなと思いながら見てました。
作中の、仕事が終わり帰宅してから、晩御飯を食べる様子や寝るまでの趣味の時間など、リアルでとても好きなシーンです。女性監督作品というのもあって、女子の共感部分が多く楽しめます。例えば、初恋の人を忘れられないところや、妄想で恋愛するところなど。(笑)
松岡茉優さんの演技力(間の取り方が上手い)も見どころです。松岡茉優ちゃんの可愛さが最大限に引き出されてます。「イチ」役の北村匠海さんの冷たい感じや「ニ」役の渡辺大知さんのちょっと鬱陶しい感じもはまり役でした。
王道の恋愛映画は苦手ですが、この作品はなんとなく現実味があり、自分と重ね合わせてみることができます。
仕事や恋愛に疲れた時に何度も見返しており、大好きな作品です。

勝手にふるえてろ / Tremble All You Want
8

ありえないようで胸をえぐられるようなリアルさ

主演の松岡茉優さんが好きだったのと、綿矢りささんが原作ということで、面白そうだと思い、見に行きました。
恋愛経験の乏しい主人公のヨシカは、中学生の頃から片想いし続けているイチへの想いを駅員さん、近所で釣りをしているおじさん、コンビニの店員さんや、行きつけのお店の店員さんに毎日のように話しています。恋愛経験が乏しくても、これだけ良好な人間関係を築けるなら素敵じゃないか、と思うのですが。いざ、イチとの関係を進めるために計画した同窓会では、SNSのアカウントで他人になりすまして企画、当日は如何にも根暗な挙動不審、挙句の果てに、イチはヨシカのことを覚えていないという…。ここで発覚するのが、今まで話していた街の人との会話や関係性も、全てが妄想だったという衝撃的な事実。こじらせすぎ、痛すぎです。
でも、根暗な部分、好きな人を目で追いかけてしまう気持ち、気を引きたくてずるをしてしまうこと、本当はこうありたいと妄想してしまうこと、自分を気にかけてくれている人へのモヤモヤした気持ち、苛立って親友などにあたってしまう気持ち、どこかに絶対共感出来ると思います。だからこそ、フィクションでありながら、胸をえぐられるようなリアルさがある映画だと思いました。女性は共感できる人もいると思いますが、男性から見るとどうなのか、気になります。