機動戦士ガンダム THE ORIGIN / Mobile Suit Gundam: The Origin

機動戦士ガンダム THE ORIGIN / Mobile Suit Gundam: The Origin

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とは、アニメ「機動戦士ガンダム」の作画監督を務めた安彦良和が原作アニメ設定やストーリーを再構築したコミカライズ(マンガ化)作品をアニメ化したもの。
アニメ化に際し、原作マンガの描いた79年の原作アニメの前日談の部分を再構築し、原作アニメにつながるストーリーとなっている。79年のアニメでは主人公アムロ・レイの好敵手であるシャア・アズナブルが本作の主人公として描かれている。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN / Mobile Suit Gundam: The Originのレビュー・評価・感想

機動戦士ガンダム THE ORIGIN / Mobile Suit Gundam: The Origin
8

シャア誕生秘話とガンダム世界の歴史

あまりにも有名なアニメ作品「ガンダム」。その敵役としてこれまたあまりにも有名で人気のシャア・アズナブル。彼はいかにしてシャア・アズナブルとなったのか、また、なぜ仮面をかぶらなければならなくなったのか。これらがほぼシャアを主人公として、ガンダム世界の歴史を通して語られるファーストガンダムといわれる物語の前日譚的ストーリー。ガンダムファンには、シャアという名前が偽名であることは有名だが、どういう経緯でその偽名を語ることになったのかがわかる作品となっている。知らない人にとっても、一つのアニメ作品としてエンターテインメントとして楽しめる作品となっている。
アニメの作画などがファーストガンダム放映当時の技術とは比べられないほど進化しており、戦闘シーンの迫力は見ごたえあり。今の若い人たちにも見やすくなっているのではないかと思う。内容は戦争のリアルや悲惨さなどが描かれており、考えさせられるものがあるのもガンダム作品の特徴。ジオンという独裁国家。その国と戦う地球連邦。この構図は、何もこの作品だけに言えることではないのではないか、リアルでもどこか似ている構図があるのではないか、そんなことを考えてしまう。この作品を見れば、大抵の人はシャアのファンになってしまうこと請け合い。
なお、ランバラルというキャラクターが出ているのだが、この作品のランバラルとファーストガンダムに出てくるランバラルの老け具合がだいぶ違うのはお愛嬌。多分、宇宙から地上に降りたことで、重力の影響を受けたのではないかと思われる。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN / Mobile Suit Gundam: The Origin
9

ガンダムの原点を知ろう!

初代ガンダムのストーリーは正直一回見ただけではわかりにくい。
ガンダム好きではない人が初代ガンダムのストーリーを観たら、率直にそう思うのではないかと思う。それは登場人物の多さと、特徴ある兵器が何の前触れもなくいきなり登場するからだと思う。そもそもこの人達は一体誰なんだ?このモビルスーツは一体何なんだ?そもそも何で戦争なんかやっているのだ?という疑問が無数に湧き上がってくる。一応、物語の序盤に、戦況の解説はあるものの、ストーリー全体を描写する説明はなかった。

しかし、今回のジ・オリジンを観て、その疑問の多くが解消された!この物語は、シャー・アズナブルの生い立ちを追うという内容だ。シャー・アズナブルの生い立ちを描くなかで、モビルスーツ(ザク)の開発過程、セイラ、アムロ、ミライ、ランバラル、ハモン、ララなどのキャラクターの戦争前の姿、そして地球連邦とジオン公国が戦争に至るまでの過程を知ることになる。

また、ジ・オリジンではアニメとは思えないほど、残酷なシーンもある。アニメであるにも関わらず、戦争ということが残酷なものであることを感じさせる作品になっていることも見逃せない。ただのロボットアニメではないのだ。
ジ・オリジンを観た後で初代ガンダムストーリーを観ると、ガンダムがザクを上回る性能を持っていることがいかに凄いことであるかということがわかる。さらに、それぞれのキャラクターの生い立ちを知った上で、もう一度初代ストーリを観ると、新鮮な感覚で観る事ができるのだ。

このジ・オリジンはガンダムに興味がない人でも、楽しめる内容なのではないかと思う。