メッセージ / Arrival

メッセージ / Arrival

『メッセージ』(原題:Arrival)とは、本作後に「ブレードランナー2049」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFムービー。
突如地球上に現れた巨大な宇宙船。飛来した目的を探ろうと、船内の異星人とコミュニケーションをとるため軍に依頼された女性言語学者が、彼らと接触するうちに未来を見ることが出来るようになり、自分の人生を見つめ直していくシリアスタッチの知的なドラマ。2016年製作のアメリカ作品。

メッセージ / Arrivalのレビュー・評価・感想

メッセージ / Arrival
10

対話が生み出す生きることの答え

2017年公開のSFミステリー映画。
突如世界中に現れた宇宙船。搭乗する知的生命体の目的を聞き出すため、言語学者のルイーズが彼らとの対話に挑む物語が展開されていきます。

人間の業を、深く、繊細に描くことに定評のあるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作。
壮大なスケールのSF作品になっていつつ、ゆったりと静かに進んでいく展開は、今作のテーマの1つとなっている"傷を癒す対話"のようにも感じられます。
知的生命体"ヘプタポッド"が扱う未知の言語や、作中で流れるモールス信号のような音楽など、ビジュアルやサウンドの両面で"対話"を表現しているのも注目したいポイント。

そうして描かれていく物語の結末は、あまりにも美しく衝撃的です。
見る人によっては美しく感じ、また、見る人によってはショックを受ける人もいるでしょう。
賛否の分かれるラストだと言えます。

それでも私が本作を素晴らしいと思う理由は、結末を見て感じたどの感情も、私たち人間でなければ感じ得ないものだというメッセージを体現している作品だからです。
この作品の終盤で明かされるある仕掛けは、私たち人類が言語を"話す"ことで理解できる生き物だということ、そしてそれによって"人生"が形成されていることを仄めかしてます。

生きることは、流れる時間の中で様々な感情に直面することだと言ってもいいでしょう。
正の感情、負の感情をどうとらえるか、その問いに1つの答えを出しているのが本作『メッセージ』だと感じます。時間のある方は、ぜひ続けて2回見てほしい。きっと、より美しく衝撃的な結末を感じられるでしょう。

メッセージ / Arrival
7

悲しい未来が見えるなんて

異星人が来て、彼らとのコミュニケーションをはかるためには、まず言語を理解しなければならないというのはもっともな話で、
今までの宇宙人って翻訳こんにゃく的なものを持ってるか、有無も言わさず攻撃してきてたから、当たり前のことをしている本作がとても新しい感じがしました。
こういう仕事を頼まれるのは言語学者なんですね。
意味不明な音から、言語を導き出すなんて、すごいなと思います。
でも、彼女が仕事に就く過程がちょっと荒唐無稽というか、政府関係者がなんで彼女のところに来たのか、そして、なんであんな上から目線なのかよくわかりませんでした。
もう少しスムーズに話に持って行けよと思いました。
そして、本作はその異星人との話がメインというより、彼女に与えられた運命の話がメインみたいなところがあったと思います。
彼女は異星人から未来が見える能力をもらうのですが、そのせいで自分の悲しい未来を知ってしまうのです。
知っていることなのに、回避したらいいのに、それでも娘に会いたいと思う母心に泣いてしまいました。
あれは反則だと思います。地球のため、あんなに尽力した彼女がなんでこんな目にと悲しくなってしまいました。
ちょっと強引なところはありましたが面白かったです。