ヨーロッパの小公国にあるカリオストロ家にまつわる財宝とそれを手に入れようとする伯爵と少女クラリスを助けるルパンとの戦い
原作のモーリスルブランの青い目の少女も読んだのだが、見事な出来の作品である。悪党のカリオストロ伯爵の狡猾さ、邪悪さでクラリスの清純さ、清らかさが光る。ルパンはクラリスを全力で守るが、随所に過去のクラリスとの因縁の思い出やちょい悪オジサマの1面がギャグとともに描かれる。激しいカーチェイス、ウィットにとんだ会話、少々現実離れはしているが息もつかせぬアクションの展開、見どころ満載である。カリオストロの財宝を探っていて見つけてしまったカリオストロ公国の紙幣偽造の秘密を暴くため、宿敵銭形警部と協力して伯爵にさらわれたクラリスを助け、偽札製造の事実をインターポールに告発する。見ていて途中で時間を気にすることがなかった。古城の湖底に古代ローマの町が眠っていたという結末は原作と同じである。ルパンは明晰な頭脳を持っていて、自分を信じてくれるもののためには全世界を敵に回しても戦おうとするが、相手を助けた後、相手がルパンについていこうとしても、自分の職業が泥棒で闇の世界、相手を支えてやることができない弱い自分をいやというほど知っている。だから未練たっぷり残して心だけ盗って去っていく、癒さっていかざるを得ない。それがルパンではないかと思う。自分の皮肉な運命を軽いジョークで笑い飛ばして、次の獲物を狙い、盗みに全力を賭ける、魅力ある主人公である。