坂道のアポロン / Kids on the Slope

坂道のアポロン / Kids on the Slope

『坂道のアポロン』とは、2007年から2012年まで小玉ユキが『月刊フラワーズ』(小学館)にて連載していたジャズと青春をテーマにした少女漫画、およびそれを原作としたアニメ、実写映画である。舞台は1966年の長崎県。主人公の薫が、横須賀から長崎の高校へ転入したところから始まる。父の仕事の都合で転校ばかりしていた薫にとって、学校は息苦しくストレスばかりの場所であった。しかし、そこで不良の千太郎と心優しい律子、そしてジャズに出会い薫の生活は一変する。美しい友情と交錯する恋心が魅力的に描かれている。

坂道のアポロン / Kids on the Slopeのレビュー・評価・感想

坂道のアポロン / Kids on the Slope
9

2人の絆に感動

有名漫画作品「坂道のアポロン」ですが、アニメがとてもおすすめです。
もちろん、漫画の作画もとても素敵なことは大前提です。
まず、アニメ版の魅力は、この漫画の要でもあるジャズミュージックが音として聴けることです。
薫と千太郎のでこぼこコンビが奏でるジャズは、色々なシーンで重要となってきます。

中盤の見どころとしてはやはり、学園祭のシーンです。
千太郎は他の生徒の手伝いとしてバンドの一員になります。
口下手な薫は真相も確かめぬまま、一人で拗ねて千太郎との仲はこじれてしまいます。
しかし、あるトラブルから千太郎たちの演奏が突然できなくなってしまいます。
そこに仲たがいしていたはずの薫がピアノを独奏し始め、そこに千太郎も参加し、2人のセッションが始まります。

ここのシーンには、いろいろなもやもやとした気持ちを抱えながらも、ピンチを救う薫の真の格好良さが表れています。
いつもはおどおどしていて陰のような存在ですが、実は芯には情熱と強さがあるキャラクターです。
そして、千太郎の人を想う心、疑うことのないまっすぐとした気持ちが、徐々に薫の安心できる居場所になったのだと感じました。
そしてなんといっても、二人のセッションのシーンは圧巻です。
漫画で読んでいても鳥肌が立つセッションのシーンに実際に音楽が加わると、想像以上の感動です。

坂道のアポロン / Kids on the Slope
8

青春を感じるストーリー

最近、ジャズに興味を持ち始めたので、ぴったりな作品でした。
都会からやってきた秀才が田舎にやってきて自分を見つめみたい直す話は結構あると思うのですが、ジャズを通して周りと交流を深めていくという点はあんまりない話なのかなという印象です。
ジャズという音楽を取り扱っているところがのだめカンタービレを思い出させますが、のだめよりは深くジャズの曲など印象などは書かれていない感じがあり、人間関係が色濃く描かれています。
それぞれのキャラクターが魅力的で、その中でも千は一番魅力を感じるキャラクターです。
みんなから好かれる反面、心に抱えているものが深く、物語が進んでいく中で過去が分かっていきます。
彼の幼馴染、律子は田舎の清純な女の子というイメージ。清く正しく、可憐な律子に薫が恋してしまう気持ちもわからなくありません。
私にとって一番良く分からないキャラクターは薫です。どうしてそんな行動してしまうの?と疑問に思うことが多かったです。頭の良い癖に、うまく立ち回れないところが人間臭くて良いのかもしれません。