ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式

ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式

「ファイナルファンタジー 零式(れいしき)」 (FF零式) とは、2011年にスクウェア・エニックスより発売されたプレイステーションポータブル(PSP)用ロールプレイングゲーム(RPG)。戦争をテーマに、クリスタルと神、人間の命と死について描かれるFFシリーズの外伝的作品。舞台は「オリエンス」という世界で、主人公の14人の少年少女たちは、アギトと呼ばれる救世主になるために厳しい訓練をこなしながら戦争に身を投じていく。

ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式のレビュー・評価・感想

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ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式
9

切なく重々しい

HDバージョンをプレイしました。2010年に発売されたFINALFANTASY零式のグラフィックを更に美しく、カメラや操作などシステムの調整などもされたバージョンです。
ストーリーを一貫して言えることはかなり重たい、ということです。主人公たちは学生ですが戦争を描いているのでストーリーに関わってきたキャラクターも死んでいきます。死んだ人のことは記憶から消えてしまうという世界なので、その人が死んだことは証拠があるため分かるものの、その人がどんな人だったか思い出せない主人公たちを見るたびに胸が痛みました。戦争を終結させたと思った矢先に訪れる世界の危機と、それに唯一対抗できる主人公たちとその結末は涙もろい人が見たら泣いてしまうでしょう。
操作キャラ全員が主人公というかなり主人公が多いゲームとなっていますが、それが理解できるほどの内容です。そしてその中で強いて一番の主人公を挙げるのなら、となったら始めはパッケージで中央にいて、冒頭のチュートリアルやストーリーでメインだったエース、と即答しそうになりますが一度クリアすると最初はただエースたちに助けられ、監視のために入ってきたマキナとレムが語り手という意味でメインなのではないかといろいろ考えてしまう、そんな一筋縄ではいかないようなゲームです。

ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式
9

アクションRPGが苦手な人も大丈夫、ハマります

ファイナルファンタジーシリーズの外伝的な作品ですが、一つの完成された作品です。操作できるキャラは14人います。それぞれ特性や長所、短所、ストーリーでの役割が違いますので飽きません。おすすめとしましては、自分の得意なキャラを見つけて、操作に慣れ、他のキャラにも応用することです。どうしてもキャラに対して向き不向きが出てしまうため、レベルや熟練度に開きが出てしまいます。接近戦に強いキャラや、遠距離からの攻撃が可能など戦略もありますので、クリアを目指すためにもキャラを使いこなすことが必要となってきます。
ストーリーは、メインとサブの話が進行していきますので、一度クリアしただけでは分からない部分が残ります。2回3回と続けてプレイしないといけなくなります。
ストーリーに深みがありますので、いろいろな断片が少しずつ組み合わさっていく感じです。人にもよりますが、感情移入しやすい人や特定のキャラに思い入れがある人なら引き込まれていきます。
戦闘システムは、アクションを主体としていますが、操作に慣れてくれば、苦にならなくなります。特にキルサイトという一撃で倒せる攻撃は爽快です。うまくコツを掴むと連続でできます。ボタン操作は複雑ではありません。

ファイナルファンタジー 零式 / FINAL FANTASY TYPE-0 / FF零式
10

どう生きるかを考えさせられる作品

4ヶ国が互いの国の有するクリスタルを奪い合う戦争に、若き14人の戦士たちが身を投じる物語です。

朱雀、白虎、青龍、玄武の4ヵ国が治めるクリスタルは、それぞれの能力は違うものの統一された特殊な力があります。それは死者の記憶を全て失ってしまうというものです。名前も顔も関係性も、全ての記憶を失ってしまいます。自分が命を奪う瞬間の相手の顔さえも忘れてしまうのです。
14人の主人公達が属する朱雀には魔導院という、いわば学校のようなものがあります。彼らは終わらぬ戦争の救世主となる「アギト」を目指し、その候補生として戦闘術などの勉学に励みます。

14人の主人公達は他の候補生とは大きな違いがありました。それは特殊な力を使い、戦いの最中に命を落としても再び蘇ることが出来るのです。つまり彼らは他の候補生とは違い、死の恐怖を知りません。一方的に命を奪うだけの存在となり、魔導院の中でも特別な存在となる彼らはこの戦争において大きな鍵となりました。

戦争を繰り返すこの4ヵ国の歴史を記した書にはこのような文があります。
「9と9が9を迎えるとき、識なる底脈動せし。そして始まりの封が切れし時、いかずちの如き声音が響かん。我ら来たれり」と。
それはこの戦争の行く末を記したものであり、彼らもここに大きく関わっていきます。
死の恐怖を知らない彼らも物語が進むにつれてそれに直面することになり、限られた命をどう生きるのか最期の選択を迫られます。

このゲームのキャッチコピーは「人は生まれる場所も時代も選ぶことは出来ない。でも、どう生きるかを決めることは出来る」というものです。
死の恐怖に直面した彼ら14人の最期の選択、互いを思う”独りではない”という気持ち、戦いの歴史に呑まれる彼らの運命は、涙無しには語れません。
物語もさることながら14人の個性溢れた戦闘スタイル、戦術の広さは他のゲームでは味わえないスリルと楽しさがあります。
今までいろんなゲームをプレイしてきましたが、ここまでハマったゲームは後にも先にもありません。
彼らの運命と選択、そして多彩な戦術を是非楽しんで頂きたいです。