BECK / ベック

BECK / ベック

『BECK』とは2008年まで『月刊少年マガジン』で連載されていた作品で、主人公・コユキの成長と恋愛、バンドの成功を描いたストーリー。2002年に第26回講談社漫画賞少年部門受賞。2004年にはTVアニメ化している。全34巻とガイドブック4冊が刊行され、作中の楽器のシグネチャーモデルも販売された。2010年には水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健人が出演した実写映画が公開となった。

BECK / ベックのレビュー・評価・感想

BECK / ベック
8

バンド漫画の金字塔

あらすじ
平凡な中学生だった田中幸雄(コユキ)は南竜介と出会う。竜介からギターを借りたコユキはギターにのめりこんでいく。竜介は自分の理想のバンドを作るためにベースの平義行と、MCの千葉恒美と共にBECKというバンドを作る。ある日コユキは転校生である桜井裕志(サク)と仲良くなり親友になる。その後竜介のバンドに誘われコユキはギターボーカル、サクはドラムとしてBECKに参加することとなる。この五人で自分たちの理想のバンドを目指していく物語となる。

BECKの面白さとは?
ライブの書き方がうまく、音がない漫画であっても本当に音が聞こえてくるような臨場感がある。また、メンバーが個性的であり、見ていて飽きないことも面白さの要因だ。まだ若く青臭い所もあるが、青春を思い出させる良い要素だと思う。そして物語が進んでいくうちにキャラクターが成長していっている様子にも注目だ。
ストーリーの面白さもあるが、なんといってもバンドのリアルさが面白さの要因の一つだ。バンドならではの金欠や、ライブ後の打ち上げ、機材のリアリティは見ていてとても面白く感じる。

残念な点
少しばかりストーリーが重複したような場面や物語の進みが遅い場面がありストレスがかかるかもしれない。しかしながら、それすらも最後のライブで吹き飛ぶ爽快感がある。

BECK / ベック
10

若者の努力と音楽の持つ力

何も楽しいことがない。普通の人生を送っていくのだろう。このような誰にでもある悩みを当たり前に抱え込んでいる、男の子の話。主人公はこれといった特徴もなく、成績も中の下。絵にかいたような「普通の少年」である。ある日、いつものように下校していると犬が子供たちにいじめられているのを目撃する。普段なら見て見ぬふりをするが、その犬のただならぬ容姿を見てほっとけなくなる。ほどなくして飼い主『R』が現れ、これが今後の主人公の人生を大きく変えていく。何度も犬の飼い主と接点を持っていくうちに、彼がバンドマンであることがわかる。普段日本歌謡などの音楽しか聴かない主人公だが、吸い寄せられるように彼らのバンドのライブを見に行く。そして、音楽に目覚める一歩となったのだ。心に響く、青春漫画。

BECK / ベック
10

バンド漫画の金字塔

音楽をジャンルとした漫画の中でも頭一つ抜けた面白さで、この漫画に影響を受けてバンドを結成したり音楽を始めた人も多いのではないだろうか。
平凡で目立たない主人公と天才ギタリスト、唯一無二で親友のドラム、破天荒なボーカル、ファンキーで包容力のあるベース。それぞれの個性がケミストリーを起こし紆余曲折を経て日本、さらには世界を席巻していく。
とりわけこの作品の最大の魅力の一つであるのが『演奏・歌唱の表現力』である。もちろんストーリーやキャラ設定・世界観などいくつも魅力はあるが、この点が一番の魅力であり、ストーリーに厚みを持たせている一番の要因だろう。主人公の歌唱シーン、バンドのライブパフォーマンスなど、実際にその場に立って漫画の中のオーディエンスと同じ熱量でライブを体感できるといっても過言ではないだろう。
もう一つ大きな魅力として挙げられるのが『人間関係』だ。バンドメンバーそれぞれが抱える思いや葛藤が入り乱れ、バンドシーンでそれらがバックボーンとして語られ、クライマックスでその全てが昇華されていく。
全34巻ながら息つく暇を与えず、あっという間に読み終われるほどの疾走感で駆け抜けていく主人公たちの物語は、一見の価値ありだ。

BECK / ベック
10

なにかに挑戦する人を触発させる漫画

初めて『BECK』に出会ったのは高校生の時。高校を卒業した後何をしようか、どう生きようか迷っていた時に出会った最高の漫画。
内容はその当時の自分と重なるような平凡な日々に飽き飽きとしていた一人の学生が主人公の音楽漫画。一人のギタリストとの出会いから人生が変わっていき、主人公の恋愛や成長を事細かく細部までこだわって書いてあり、この漫画に出てくる表紙絵なども現存するバンドのアルバムのパロディーなど、音楽が好きな人ならクスッと笑ってしまう場面もあり、遊び心満載かつ主人公の人生や主人公が属するバンドの大きくなる様子、時代の流れなどが描かれています。
僕自身当時ギターをやっていたのもあり、この漫画は教則本のような物でした。決断の仕方、生き様などが描かれていて、何回も読み返しました。漫画は単行本で34話まであり、完結しています。
佐藤健や水嶋ヒロなどが実写の映画『BECK』に出演し、映画化もされている漫画です。映画は原作の始めの方をメインに映像化されています。アニメ化もされていて、使用されている音源などもカッコいいです。映画の主題歌はレッドホットチリペッパーズの『Around the world』。ロック好きにはたまらない名曲です。何かに触発されてやる気が出ることが多い方、夢を叶えたい方、音楽が好きな方、老若男女問わず人気のこの漫画は絶対に読んで損は無いと思います。